私は穢い阿婆擦れで……。彼は白馬の王子様。

 思えば前世の今の口調というか喋り癖は逆転していたんだな〜って感慨深い。運命なのかな?ってときめいたりもする。その都度、自己嫌悪に陥ってしまうが……。


「何してるの?」


 オルは近くの岩に座って麻の巾着から魔石を数個取り出し、二本短剣を抜いた。その短剣は血塗れで、オルはそれを睨んでから鞘に仕舞い、綺麗な短剣を取り出した。


「火を点ける。風邪引くだろ…」


 オルは魔石を私達の真ん中にある焚き火の跡っぽい所に転がし短剣を十字に構え、何回も滑らせる。甲高い音が数度響き、魔石に火が付いた。

 オルは短剣をしまって洞窟の奥に向かい、数十秒後、布を数枚持ってきた。それを私に突き出す。


「服、乾かして…。これ着て…」


 私は布を受け取り着替える。オルは私の方に腰を下ろし、私に背中を向けて何かを組み立て始めた。布を毛布の様にして数枚羽織、振り返ると焚き火の上に物干し竿が出来ていて、いつの間にか私の服が干されていた。

 オルは上の服だけを脱ぎ捨てて布を羽織った。


「ここ…オルト君の家?」


 私は洞窟内を見回して聞く。焚き火の跡もあったし、奥から布も取ってきてたからだ。


「いや…。中継拠点だ…。一応数日は籠城出来る…。あとオルトじゃなくてオルでいい……」


 ボソボソとしか呟いていなかったが、顔は誇らしそうな顔で、その時は私より精神年齢が大人過ぎたので気付けなかったが、オルも子供らしく秘密基地とかにロマンを持ってたんだな〜って思う。

 私はオルの事をもっと知りたいと思って話しかけようとしたその時にそれは来た。


「ねぇ…オルt……」

「シッ!奥に下がって…」


 オルは唇に人差し指を立てて私を黙らせると、そろりと立ち上がって服を素早く、音を立てずに着て、胸当てを付け、短剣を逆手で抜いた。

 私は言われた通りに洞窟の奥に下がって岩陰から様子を伺う…。そして外から大きな影が忍び寄る…。入ってきたのは大きなオークだった。



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