誰もが才能を持っている。でも能力を得るには努力が必要だ。

・Everybody has talent, but ability takes hard work.


「じゃあ海斗くん!貴方にはこちら!バイブソード!」

「俺は短剣を使わない!遠距離武器がいい!」

「なら煙幕!」

「使い捨ては持ち運びがいや!」

「なら手裏剣!」

「俺は忍者じゃない!」

「なら……」


 問答が続く。3人ともさっさと買いすぎなんだよ……。


「はぁはぁはぁはぁ。海斗くん手厳しいわね…」

「ハァハァハァ……。舞さんもしつこいっすね……」

「じゃあもう苦しめ!これだぁ!電磁加速のレールガン!」

「俺は……。いや、これいいんじゃね?」


 その銃は大きさこそ拳銃以下だったがコードの先はでっかい機械に繋がれている。


「え!いいの!?場所食うだけでどうしようか悩んでたのよ!」


 押し付けかよ!でも……。これはいいかもしれん。電気は俺が供給できるし……。


「じゃあそのコード切ってから頂戴」

「それだと押し付けた意味がない!」

「だったら買わない!」

「分かった切る!」


 素直でよろしい。舞さんは酔った勢いでコードを切る意味のない行動を何の疑いも無く行った。


「はい!エレクトロガン落札ぅ!」


==俺は結局騙された==


「貴方は?」

「私は別に……」


 須藤が最後まで残った。意外……。しかも優柔不断で未だに決まらない。

 そんな須藤に手を伸ばす者はれ1人としていない。俺は運動場で銃をぶっ放して、亘もスナイパーライフルをぶっ放す、綾はチャクラムを振り回し、京之助は剣先を飛ばしまくってる。

 一言……。カオス。


====


 結局決まらなかった。私……適性無いのかも……。どんな武器も合わないし……。舞さんと吟味したけど全く分からない……。うぅ……。


 そんな事を考えながら隣に寝てる綾ちゃんを起こさないように起き上がる。今は朝の2時……。真っ暗でメイドさんも起きていない……。ヤバイ……。トイレ行きたい…….でも場所が分からないし……。手当たり次第探そうと部屋を抜け出す。迷宮のようなお家だ。トイレの場所が見当たらないし……。そろそろ本当にヤバイ……。

 そんな中人影を見つけた。ベランダで空を見ている。カイトか……。助かったけどどうして起きてるの?


「カイト?」

「ぎゃっ!」


 カイトは肩を跳ねさせて振り返る。そして私の顔を見て安堵とも不満とも取れる表情をする。


「なにしてんの?」

「月が綺麗ですね……」


 いきなりカイトがそんな事を言い出す。

 えっ!カイトなに?こ、こ。告白!?でもカイトには綾ちゃんがいるし……。


「アダッ!」


 いきなりデコピンをされる。カイトは呆れ顔をしていた。何よ……。


「俺は…。綾一筋だ。月が綺麗なのは当然。快晴だしスーパームーンだしな…」

「じゃあ何で起きてんのよ……」

「ん?ああ。別に……。ただ、こうやって空の向こうって星とかいっぱいあるじゃん?その中に地球外生命体がいるかも知れないしさ。しかも宇宙って今も広がってんだよ」


 カイトは空を見ながら身振り手振りで表す。


「でもさ…その外側になにがあるか分からないし今いるこの地点が現実かも定かじゃないんだよな……。もしかしたら胎児の夢だったかも知んないしなぁ……」


 そう言いながら空に手を伸ばすカイト。なんか遠いなぁ……。私には届かないなぁ……。


「ははっ。なにカッコつけてんだろ。でも……。まさか他の星にいるなんてないだろうけどな……」


 儚げな顔を初めて見た。別にかっこいいとか惚れた訳じゃない。でも……その顔は悲しさよりも恐怖が勝ってた気がする。もっと私の観察眼があれば憎さも見れたかも知れない……。


「で?どうしてここに?」


 カイトが聞いてくる。あっ!


「実はトイレが……」


====


 はぁ……。何で身体15で心が32の人間がJKと連れションしてんだか……。


「お待たせ……」

「待った待った。そういえば武器決まんなかったな……」

「うん……」


 下を向く須藤に話し掛ける。須藤はどんな武器にも難色を示していたしな……。こりゃ舞さんの発明武器は合わないかもな……。あれを見せてやるか……。


「明日いい所に連れてってやる」

「え?」

「明日までのお楽しみな。じゃ、おやすぅ〜」


====


「おっはよ〜」


 小春さんに起こされ至福の時を名残り惜しく感じながら朝風呂を浴びて、リビングに出る。みんな眠そうな顔をしている。何だ何だ?気合が足りんぞぉ!


「おは………よ…」


 完全に寝たままの京之助が返事をする。椅子に座っていびきをかきながら舟を漕ぐ。


「ぐーてん……もーに……」


 亘は寝ながらでもおふざけを忘れない。ってどこ!?亘どこ?居ないのだ。その癖声は聞こえる。探してみると机の下に寝転んでいた。どこのギャグ漫画だ!?


「ふぇ……。カャイ……。にゃ……」


 綾は俺に手を振りながら机に伏せている。猫!ネコ!ねこだァァァァァ!綾が……。俺は嬉しいよ……。ネコになった!ヤッタァァァァ!


「あっ!カイトじゃん。おっはー。それでどこに連れてってくれんの?」


 須藤は目の下にクマがあるのに俺以上にハキハキとしていた……。深夜ハイテンション続行中?


「なに!?どこ行くの?」


 京之助がいきなり跳ねる。その衝撃で綾も起きる。京之助反応早くね?


「もともとみんなで行く予定だったしな。高校生らしい事をしようではないか!」

「ほぇ……?」

「なにそれ……」


 ちなみに亘はまだ寝てる。起こすためにカーテンを開けると陽が当たり起きた。と思ったら俺のところまで這い蹲って来てカーテンを閉めてその場で寝た。おい。


「亘!起きろ!」


 もう一度カーテンを開ける。


「俺は……。本当は人を滅ぼすバンパイヤなんだ……。カーテンを……閉めてくれ…」


 なにその設定?中二病に目覚めたのか?


「もう…俺のことはいいから……先に行け……」


 悲劇の真っ最中のセリフを聞かされフリーズする。ナニイッテンダコイツハ。


「海斗様。朝日では起きません。亘様を起こすならこうです」


 小春さんがヌゥっと後ろから出て来て俺にダメ押しをする。

 そして……。亘を蹴った。


「ギャフぅ!オェ……。イダダダダダダ!いった!痛い!キャァ!」


 亘が数秒のたうち回り止まる。行動力がヤバス。


「おはよ……。小春さんも……ありがと……」


 食卓に着くと祐奈さんが朝食を運んできてくれたので頂く。うん。美味しい。いいねぇ……。朝がこんなにスッキリs……しないな……。


「行儀悪すぎだろ!いっつも学校では行儀いいだろ!」


 そう…。京之助は犬食い…。人なのか!?ぽちって呼ぶぞ!

 須藤は卵焼きを箸で串刺しに……。お前が串刺しになれや!

 亘は肘をついてゆっくり食べ……。肘をつくんじゃない!マナーのなってないやつめ!

 綾は……コーンスープを行儀良くお箸で飲んでいた……。可愛いな……。庇護欲を活性化させると言うか……。

 お陰で全てが許せたよ……。ありがとう綾……。

 俺は朝食を綺麗に完食してから流しに下げ、彼等がうだうだしている間に瞬間で家に戻り玄関に立て掛けてあるバッグを持って亘家に戻る。みんなを引き連れて……。


「それじゃ行こっか」


====


「ウィーーー!じゃあ一回戦は個人で!その成績でチームを決めよう。と言う事でお願いしま〜す。4名で」

「え?えっと……お客様5名いらっしゃいませんか?」

「あっ、俺は見てるだけなんで…」

「そ、そうですか…」


 あれれ?海斗がやらないムーブになってるぞ?


「すいません5名でお願いします」


 俺が横から割り込む。海斗を押さえて黙らせる。もがくな!


「えっと……」


 店員さんが困った顔をする。悪いことしたな…。


「これで5名入れますよね」


 俺は財布から愛しのマイハニーである真也君(一万円札)を5枚取り出して押し付ける。


「ちょ、多すぎです」

「お釣りはいいんで一番奥のコース使わせて頂きます」

「は、はい……。えっと……。5時間ですぅ……」


 俺はジタバタもがく海斗を離す。


「おい!亘!ナニしてくれとんねん!」

「いや、一緒に遊ぶだけだろ?」

「いや、だから…」

「黙ってろ。行くぞ。シューズは28と27.5!球は12二つ!」

「亘!わかってんだろお前!」


 ジタバタする海斗を引きずって奥の席に入った。


「いや〜お釣りは要らないか〜。一度は言ってみたいな〜」


 京之助がぼやく。金持ちの特権だぜ!


====


「え〜みなさま〜ボーリング〜しましょうか〜。最初は個人でやってスコアでチーム決めましょ〜」


 低い声で言う海斗。テンション低すぎ!


「自信のある人から投げましょ〜か〜」


 なんか暗いな…。てか背後に置いてる細長い革のバッグはなんだ?


「まぁ。じゃあ俺で」


 亘が机に置いてあるパネルを操作して自分の名前を入れる。亘上手だろうな……。


「んじゃ次は俺で」


 俺は自分の方にパネルを向け名前を打ち込む。え〜っと…京之助っと。


「私はそこそこだしできるし…。じゃあ3番手で!」


 奈々華さんが俺に身を寄せ名前を打ち込む。おお!髪から花の香りが!


「じゃあ…カイ…」


 綾さんが海斗にパネルを向ける。が。


「いやいやいやいや。綾だって。じゃあ綾っと。で5番手が俺かな」


 勝手に焦りを交えつつ打ち込む海斗。お前自分の巧さを引き立てようと……。


「えっ!でも…。」

「いいからいいから」

「じゃあ第1投行くぞ〜」


 亘がボールを持つ。まだ開店直後なので人は少なく、黙ると機械の合成音声しか聞こえない。

 そこに……亘が投げた。

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