準備しておこう。チャンスはいつか訪れるものだ。

・I will prepare and some day my chance will come.


「どうする?学校で作戦会議とかたまったもんじゃないしな……」

「俺の家は?」


 俺のボヤキに亘が答える。そうか……。


「そっちの方がいいな。屋上もあるし邪魔させてもらうか…」

「ん……。賛成」

「よくわかんないけどいいんじゃない?」

「俺に選択権なんてないだろ。任せるよ」

「わかった。車呼ぶから待ってて」


 亘がスマホを開き、電話をする……。


「えっ…?電車じゃないのか?」


 京之助が誰にとは言えないような質問をする。


「ん〜。確か紅月家って株がどうたらこうたらでって聞いた事あるけど……」

「なんだそれ?」


 京之助の質問に須藤が答える。


「まぁ面にあんま出て来ないから株マニアでもあんま知らないしな…」


 俺が答えると須藤の顔の血がサァーっと引いていく。はは。物知りを見せようとして墓穴掘ったな。


「へぇ。奈々華さんって物知りだね。いいじゃん」


 おお。京之助ナイスフォロー!


「んじゃあ後30分で来るから荷物まとめて校門集合な」

「わかった。クラスに一旦戻るわ」


 じゃあ、作戦会議でもしましょうかね。


====


「うおーーーー!日本にリムジンとか初めて見た!」

「ん〜!高級車は流石ね。シートがうちのベットよりフカフカ」

「まぁでも一番凄いのは全く揺れない運転してる運転手だがな」


 俺は興奮している須藤と京之助を抑える。


「海斗様、有難う御座います。そう言って頂けると光栄にございます」

「いえいえ。こちらもどうも。わざわざ乗せてもらって」

「ぼっちゃまのご友人とあらば当然でございます」

「おい。八代さん。坊っちゃまはやめて」

「いえいえ。そうですな……子供が成長するのは早いものですな…」


 あっ。話逸らしたな…。


「到着いたしました。ではごゆっくり」


 でっかいマンションのエントランス前に車を止められ、そこで降りる。運転手は頭を下げると車を運転してどこかに行った。


「いつ見ても相変わらずでっけーな〜」

「ウッヒョー。何階なんだ?」

「最上階とその下だ。いこう」

「え?」


 京之助の興奮した声での質問に亘がなんて事無さそうな声質でいう。京之助は止まっていた。エレベーターに乗りカードリーダーにカードを当てる亘。ちょっと元気が無い?


「うし。ついた。ちょっと待ってろ」


 エレベーターが開くと目の前に扉がある。亘は高速でボタンを連打し、ロックを解除した。


「あらら、間に合わなかったようで。お帰りなさいませ。ご友人方もようこそいらっしゃいました。ご無沙汰しておりましたね、海斗様に綾様」

「ただいま、小春さん。いつも言ってるけど出迎えはいいし俺の指に勝てるとは思わない方がいいよ」

「うわ、メイドだ」

「初めて見たわ……。キレーなねぇさんだこと……」

「あら、有難う御座います。」


 小春さんに連れられ、室内に入る。京之助と須藤はキョロキョロしていた。俺も最初の方はおんなじリアクションしてたな……。


「んじゃあ俺は風呂浴びてくるけど、みんな入るか?」

「欲しい……」

「俺もだな」

「こんな豪邸でしょ?見てみたいわ」

「確かに。俺もだ」

「じゃあ全員入るって事で、まぁ来て」


 連れられて廊下を進む。俺はもう何回も来たけどそれでも驚くな…。


「え〜っと。ここを右で女湯。左で男湯だ。多分今の時間帯はメイドも居ないだろうしゆっくりして大丈夫だ」

「えっ!?家に二つ?」


 須藤が驚いた声を出す。うんうん。それでもう驚きだよな。


「正確には三つだ。地下にも一個ある。まぁそれはアウトドアとかで汚れた時に服のままシャワー浴びるだけだが。まぁ入って入って」


 亘に連れられて俺は男湯に向かっていく。


「ほら京之助、行くぞ」


 ぼーっと突っ立てる京之助の腕を掴み風呂場に引っ張った。


====


「え〜っと、みんなサイズは合ってるか?」


 亘がリビングに集まって聞く。いやサイズが合ってるも何もなんで着替えが?私は自分の着ている下着、Tシャツに半ズボンを眺める。


「皆様がご入浴中にサイズを調べさせて買ってまいりました。ちなみに海斗様と綾様は前に着た時とサイズが変わっていなかったので前回の物をお出ししました」

「ありがとね〜。祐奈さん」

「ありがとう御座います……」


 バカイトと綾ちゃんは普通にしてる。どんだけこの家に訪れたら慣れるの?


「んじゃ、お昼にしようか…。海斗よろしくぅ!」

「「「え?」」」


 私と京ちゃんとバカイトが声を上げる?普通メイドじゃないの?


「私共からもお願いします。宜しければ我々の分も…」

「だー!もう!わかりました!いっつもお邪魔してますからね!毎回作りますよ!」


 バカイトがそう言いながら部屋を出る。


「料理をメイドからお願いされるって……」

「別にカイの料理技術は祐奈さん達より低い……。けど卵料理と炒め物は一年間売れば一生遊べる…」


 何それ?そんなに美味しいの?


「海斗…作れるんだ…」


 京ちゃんが驚いた声を出す……。


「まぁ来て来て。部屋で待ってよう。海斗メイド優先するから1時間かかるし」



====


「う〜し作りますかね〜」


 俺は祐奈さんからエプロンを借り、手を洗って冷蔵庫を漁る。後ろにはメイドが5人ぐらい集まっていた。


「何人居るんですか?」

「えっと…。メイドが6名、運転手1名、お客様4名、料理長が1名ですね」

「勝手に俺を雇うな!わかりました。12名か……。じゃあ二回に分けるか……」


 オムライスにでもしようか………。

 何故か常備されている既に切られた野菜ミックスをフライパンに打ち込み、適当にチキンブイヨンの粉をかける。そこにベーコンをザク切りにして打ち込みバターを4かけ入れる。溶けてバターが見えなくなって来たら炊飯器から米を5合打ち込み混ぜる。そこにデミグラスソースをかけ、色が満遍なく付いて来たら火を止める。そして米が固まらないように蓋をする。

 冷蔵庫から卵を8個出し、一気に割りカラザを素早く取っていく。塩を3cc、砂糖3cc、チキンブイヨンの粉3cc、牛乳120cc、溶かしバター2カケ入れ、かき混ぜ機で混ぜる。

 小さく底の深いフライパンにバターを入れ、卵液を100cc入れる。固まって来たらそこにご飯を乗せて卵で包みながら皿に乗せる。時間が経つと美味しくなくなるので順番を決めてもらってどんどん手をつけてもらう。これを6回*2回。

 終わった時には一時間経っていた。やっと終わった。腕が悲鳴を上げている。


====


「ぎゃー!何これ」


 私は口に運んで悲鳴を上げる。溶けた!卵なのに溶けた!反対側のオムライスの裾も口に運ぶ。


「ギョーー!おいしぃ!フワフワしてる!」

「うるせぇ!嬉しすぎて集中できん!今綾の分作ってんだ!黙れ!」


 そんな事言われても美味しすぎる。今度は米の部分も一緒に掬って口に運ぶ。デミグラスソースが絶妙に効いていてケチャップをかけるのが勿体無い。


「はい。綾」

「ありがと……頂きます」


 綾ちゃんも口にオムライスを運ぶ。そして口に入れた瞬間に顔がほころんだ。こんな顔は滅多に見れない。幸せそうでよかった。バカイトもいい事すんじゃん。





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