The future starts today, not tomorrow.

・未来は今日始まるのだ。明日始まるのでは無い。



「グァ!な、なんだその魔法は……」




 アヒルみたいな鳴き方をしながら感電して焼けた左肩を抑える男。俺は肩を上下させ呼吸を整える。綾はもう居なかった。任務完了♫




「言っておくが……俺の角は兎のじゃ…無いぜ?強いて言うなら……蛇か?」




 蛇と言ったのはまぁハッタリだ。兎の天敵、蛇。こいつは頭が良いからその事にすぐ気付くだろう。そしてこう、感覚的に考える。「こいつの魔法に自分の魔法は通用しない」と。


 男は刀を出した。俺は雷を手にスパークさせる。


 刃は銀色に鈍く光っている。峰は紫毒々しい色をしていた。


 男は無言で襲い掛かってきた。ヌンチャクで刀を受け止め、電気を流す。男は手を離す。柄の部分は木製で抵抗が大きいので、些か高過ぎる程の電圧を掛けると、柄は発火した。そして男は選択を誤った。




「水球」




 火は消える。が、俺が雷操で男に電気を通した。みんな思うだろう。何故感電してそうなのに死んでいないのか。


 簡単だ。雷操は物質に流すか化合物に流すか、動物のような色々な物が混合された物に流すかの3択だ。途中で買えるには俺を経由するしかない。つまり、空気を通して送った電流は人を通らない。だが、服が燃えれば当然火傷する。


 そして警察のサイレンが聞こえて来た……。男はジタバタしながら暑さに悶えている。




「舐めた真似してるからだ。テメェはチンピラと同じなんだよ」




 男の焼けていない服に触れ電気を送った。




「これは綾に触れた分な。」




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 簡単に言おう。俺は過剰正当防衛でお咎めなし。全く…良い世の中だ。男は「若様」とずっと言っていたそうだが、黒ちんがこんな奴知らないと言って傷害罪に問われ禁固刑に。あの刀は黒屋組から勝手に持ち出した物だそうだ。そこで俺は黒屋組との関係を強調し、俺に謝罪させた。


 つまり、黒屋組は俺に手を出しにくい存在となった訳だ。スバラシィ!


 男の服が燃えていたのは男の魔法と俺が証言し、黒屋組はあの男が魔法に失敗する筈がないと思いつつもそんな事言ったら関係が明るみになるので言い出せないでいた。


 そして荒山さ……康秀さんは見事堂上建設に入社し、コンサルの仕事をしている。最近は忙しくて連絡を取っていない。


 ベットから起きあがり、カーテンを開く。だが、静かな木漏れ日の優しさには包まれなかった。うん。当たり前だ。今12月だもん。


 向かいの綾の部屋の電気が付いた。向こうもカーテンを開く。目があった。手を振り合いながら慈善活動が盛んなお爺さんに今年は何を頼もうか考えていた。ドアを開けていたら、階下のテレビが東京の初雪を知らせていた。


 さてと、もうちょい頑張りますかね……。




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「……頑張ろっか…。カイ……」




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