Live to the point of tears.

・涙が出そうになるぐらいに生きろ。



 はぁ。長すぎる。もう10分だぞ。さっきから全然進んで無い。”∞”歩進んで”∞−1”歩戻るみたいな……。




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「僕と!けk、結婚を、前提に付き合って……ください!」




 とうとう言った。言ってしまった。今は5時間目。なぜ授業中にしたかと言うと、相談相手の紅月君の目がサバンナのライオンのような目をしていたからだ。




「は、はいぃ!」




 雪音さんが僕に抱きついてきた。僕も抱き返す。はぁ。よかった……。




「あなた、好き……前から」




 すごい支離滅裂だ。さっきはよく言い切ったな……。




「あなたじゃなくて雪音って呼んで……」


「はい…ゆ、雪音さん……」


「さんはいらない……」


「っ!……ゆ、雪音…」




 抱き締めるのを強める。よかった……。今なら紅月君も撮影してないだろう。




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「うっし!ばっちし!」




 小声でガッツポーズを取る。俺は三脚のビデをを止めて、一眼レフのマイクロSDを抜き、NPCノートパソコンに挿入。気がすむまで編集をし、もう二つのマイクロSDにコピーして、プラスチックケースに入れ、二つは包装する。へへん。どうせ俺を避けると思って、5時間目の授業サボった甲斐があったぜ。歴史だしなんとかなるだろう。海斗と違うし……。


 気が付いたらイチャイチャしていた2人は居なくなっていた。パソコンをリュックに入れ、マイクロSDを持って田中さんと雪音さんの提出箱に入れておく。提出箱は課題を入れるポストみたいなもんだ。


 さてと……。まだ後30分弱あるな……。自販機でコンポタージュを買い飲み干してから、考える。何をしようか……。




====




「ほら亘から送られてきた写真。確かに雪音ちゃんと田中さんが抱き合ってるだろ?5時間目に張り込みして撮ってたらしいぞ」




 俺は綾との帰り道で亘から送られてきた写真を見せる。




「へぇ……。ようやくくっついたんだ……」


「ん?どうし……。あぁ。昨日結局俺の事伝えてなかったな……。ごめん。絶対言うからみんな集まった時でもいいか?」


「うん。大丈夫だから……」




 やっぱ優しいな……。




「ごめんな。きの…」




 唇を人差し指で抑えられた。おお。こんなシュチュエーション…。




「ありがとうの方が良い……」


「わかった。ありがとう。綾」


「ん……。近道しよ……」




 照れたのかな?かわいい……。




「そだな。久しぶりにSCショートカットするか」




 裏路地の奥の方に入ってきた。そう言えばこの反対側で金崎兄とやりあったけ?




ーーーー




「おい!テメェ!綾を返せ!」




 いきなり黒服の男に綾を奪われた。くそっ!近道した途端これかよ……。周りには10人のチンピラと黒服の男1人がいる。黒服は……絶対強い。雷操はまだ合法的に使えねぇし……。


 俺はリュックを下ろし、ヌンチャクを出す。落ち着け……。これは多分黒屋組だ。




「黒ちんは居ないのか?」


「若様はお前の様な低俗が対面出来るようなお方では無い」




 宗教かよ……。




「ボス。この男使っても良いですか?」




 一瞬背筋に悪寒が走った。おい。まさか後ろの……。




「ダメだ。若様は傷を少なめで連れてこいとの命令だ」


「え〜。じゃあ張り合いがないっすよ」


「報酬は出す。それで女は買え」


「了解っす」




 よかった……。まだマシだ……。




「カイ……。終わったらナデナデ……」




 摑まりながらもそんな事言う綾。優しすぎだろ!




「おう!頑張ります!」


「今なら弁明を許そう。若様のお気に触れたそうだな。謝罪の使用では、若様に伝えんこともない」


「あ”?」




 まだあの法律は行使されない。俺が高校入ってからだ……。雷操は使えないか……。


 チンピラが襲い掛かってきた。舐めているのか2人しかこない。




「君にはチンピラ1号の銘を授けよう!」




 1号金髪にまずは中断蹴り。




「攻めが遅いから技出す前にすぐ倒れんだよ!」


「ゴフッ!」


「二号!ダッサイ真紅のTーシャツ!君には空側からミスリルが!」




 俺は二号に対し下から上にヌンチャクを振り上げ投げたように見せ、もう一回転させて顎を強打。




「別に日本の空とは言っていない。こいよお前ら」




 少し警戒したのか三人で掛かってくる。




「戦隊モノでもなんでも3、4、5号ってキャラの説明薄いよね!」




 3号に向かって走り、3号の大振りの拳を難なく避け、すれ違いつつ3号の鼻に背中から回したヌンチャクを当てて、肩を通して左手でキャッチして、回し蹴りで3号の尾骶骨を打つ。しばらく立てないだろうな〜。


 その遠心力で4号にヌンチャクを投げ、そのまま5号に近づき、いきなりしゃがんで金的。俺に向かって倒れるその巨体の顎にアッパー。


 6号が鉄棒で俺を叩こうとするも5号を盾にする。6号は動きが止まるので、鉄棒を奪って4号に投げる。4号は不規則に動くヌンチャクを難多くキャッチしていたので追撃の鉄棒に反応できず、腹に当たって蹲る。


 そして俺は5号の下から出て、回復して起き上がろうとする1号の頭の上にジャンプし、背中から突進する6号に後方倒立回転で脳天を蹴る。4号にローキックの要領で顳顬こめかみをキック。




「喋るのめんどくさくなってきた。7、8、9、10。お前ら帰れ」




 丁寧に手で向こうへ行けとも合図する。優しい俺!感激!




「この野郎!舐めやがって!」




 一気に向かってくる……。流石に4人同時はな……。




「あっ!あそこに超清楚系美少女が!」




 一瞬動きが止まるが、振り返らない。流石だな……。だが……。




「本当にいるんだよ?ほら綾が」




 右肩にヌンチャクを通して、7号に当てる振りをして後ろに投げる。その代わり7号には金的をしてあげた。ん?ヌンチャク?自分に来ないと思ってた8号の眉間にずコーンだよ。




 そしてこの業界の絶対に嘘でも耳に入って動きが止まる瞬殺語を使おう。




「あっ!サツじゃねぇか!やっべ!逃げろ!」




 俺は本当に逃げる振りをして9号に近づき、回し蹴り。10号の大振りの拳を掴んで合気道で投げ飛ばす。あっ!ミスッた。10号は中途半端に投げられ、頭から落ちた。ある意味こっちの方がよかったか。




「怪我の功名功名!正義は勝つ!いや、違うか、勝つから正義なのか……」




 俺は倒れているチンピラの頭の上で一人一人ジャンプしながらそんな呑気なことを言っていた。ヌンチャクはすでに回収済みだ。さてと、ここからが問題だ。




「どう?俺の実力はこんなもん。戦うならアンタの実力も知りたいんだが、まぁNothing is more important than peace. って言いますし?ここはお互い引きません?」


「引く理由がない」




 一瞬で間合いが詰まる。と言うか……消えた⁉︎いや、そんな訳……。何が何かわからないまま地面と接触する瞬間、勢いがなくなった。がそれでもかなり痛い。額にぬるりとした感覚が走る。出血したな……。カコンと軽い音がする。水筒が転がってきた。綾が投げてくれたのか…。さすが、身体能力は低くても戦場での情報把握は素早いな…。


 立ち上がって考える。なぜ消えた?魔法は使っていないはずだ。それこそ非魔族に魔法まで使ってようやく確保したなんてなったら恥だからな…。




「では行くぞ」




 また男が消えた。魔法でも無いのにどうやって消えるんだ。約190の巨体が……。勘でブリッチをすると、いきなり目の前に男が現れ鼻のてっぺんに焼けるような熱を感じた。そのまま足を上げ。金的を狙うも、もうそこにはいない。こんなの雷操ありでも下手したら負けるぞ。


 男の後ろ回し蹴りに飛び前転で股をくぐってかわして反撃を狙うも、また直に間合いを取られた。こんなん肉を切らせて骨を断つとか以前に、骨断てないしそもそも肉切らせるだけで済むかもわからん。




「ゲホっ!」




 男が本当に消えた。さっきは霞んで見えたのに、俺の目に残像も残さずに消えた。そして、路地裏の壁と背中が衝突する。綾を見ると、リュックを下げて、クラウチングスタートを取っている。まだ走り出さなかったり、サツ呼ばないのはそれをした瞬間に追いつかれるって事だろう……。




「クッソ。なんつーことすんだよおっさん。」


「降参するか?」




 クッソ…。このままじゃまじで黒屋に殺される……。




「もう少し…。やってみる」




 立ち上がってヌンチャクを構える。が、ふらっとした。綾が一瞬ビクッとする。おい。何やってんだよ。今ので心配してたらサツ呼べる時に呼べ無いぞ…。モーローとしながらも必死に頭を回転させる。脳を酷使しないとすぐに意識を失いそうだ……。




「ではもう一回」




 また消えた。ヌンチャクを後ろから下投げのモーションで振る。すると迫っていた切迫感がなくなる。え?もしかして……。


 こいつは身長が高い。俺は常に見上げている。それもかなり。なら、いきなり小さくなればどうだろう?しゃがめば視界から消える。そのままクラウチングスタートで間合いを詰め、立ち上がる。初見殺しの姿眩ましの完成だ。


 くそ、亘なら一回でわかるはずなのに……。拳を握って下を向く……。くそ。




「どうした?」




 はぁ。くそ。ホント…クソだ。




「この世界はほんとよく出来てんなって思ってさ」




 男がもう一度消えた。ロー回し蹴りをする。手応えがあった。が、息が止まった。気付いたら壁に叩きつけられていた。目の前の男は凄い形相だった。




「私がいつ毎回避けると言った?」




 そうだ。わかったいなかった。別にこいつは攻撃を受けるリスクを避けると入っていなかった。




「俺は……。どうだ。角……生え…てたか?」


「ああ。非魔族の中ではな。だが世界的にみると角はないだろうな」




 世間一般的に言われている比喩と俺の「角」と言う言葉をすぐ理解して返してくる。流石だ……。




「そうか……。でも…その角は…」




 俺は男に手を伸ばす。ここからが……角丸出しの戦いだ…。




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