If you would be loved, love and be lovable.

・愛されたいなら、愛し、愛らしくあれ。


「う〜し。全員いるな〜」




 元気だな……。俺は黒屋に合わないか怯えているのに……。ほんと昨日はバカだった。黒屋に殴りかかるなんて……。魔法では勝てないだろうに……。




「今日は伝達だ。昨日屋上への階段の踊り場で魔法感知がされた。知っている奴がいたら情報をくれ。っと言ってもこのクラスにはいないだろうが……」




 そこで俺を見て笑う女教師。おい!




「あと、助けになれるような事があったら言ってくれ。できるかぎり協力する」




 へぇ。いい教師じゃん。その言葉が本当なら……。




「んまぁ一限は数学だな。準備しとけよー。あら、田中先生ご苦労様です」




 イケメン数学教師田中がきて突然猫を被る担任。名前で呼んでやるか、原本雪音。どうせ職員室で性格モロバレだろ。


 そしてただ会釈するだけの田中。と思ったら最前列の俺だけ聞こえた。




「こっ………はぁ……」




 そう、この田中。コミュ障だ。




====




 あぁ……今日も素敵でした……。雪音さん……。僕にだけ態度を変えてくれるのが年上なのに可愛らしいと思ってしまう……。僕がコミュ障でなければ……。


 彼女は僕に好意を持ってくれているはずだ……。じゃなかったら忘年会でわざわざ毎年長々と話しかけてこないはずだ……。時々生徒にからかわれているけど否定しないところもそうだ。そろそろ僕らは20後半。プロポーズをしなければ……。誰かのアドバイスが……。




「せんせ〜ボーッとしてないで号令かけなよ。それとも原本先生の事考えてた?」




 そうだ!この生徒が……。


 僕は両手を上に向けて号令を掛けた。


 号令後、出席番号順に生徒が群がるので前回の小テストを返す。10点満点で平均6.5だ。だがこれは生徒の頭が悪い訳じゃない。逆に良いのだ。他のクラスの平均点は5点を下回る。


 満点はいつもの2人。鳩山と堂上だ。9点が紅月1人。どうやったらこんな点数を取れるのだろう。


 知能はどこに行っても低く見られる。だから、高速、絶対正解、誰もが理解する解説力、があってようやく魔定3級と同じ地位となる。試験時間は5分。完当3点の5問の文章計算問題。証明問題一問3点。問題の解説を作る問題4点。


 満点の2人がテストの解説している。僕は今回の授業の準備として黒板に練習問題の解説を書いていく。




「えっと……。まぁ初見だからしょうがないけどここは補助線引くと……」


「あっ!そうか」


「うん。いけるいける」


「ありがとう海斗くん!」


「おう」




 はぁ。コミュ障は嫌だな…。






====




「んぐ。ぷはぁ〜。いつになったらくっつくかね。あの2人」




 亘が水を飲み込んで黄昏たように呟く。




「しらね〜。んでそうやって話ずらすだろ。って事は俺の言っていた事がtrue」


「為して英語なん?」


「知らん。カッコつけじゃない?またずらしただからこのカードだ!」




 俺はカードを引く。




「ぷっ、ククククっ」




 綾が笑い出す。って事は……。




「はいかかった!」




 俺らは今、5枚のカードで1枚ジョーカを選ぶ。そこでカードを選ぶ側はそれ以外のカードを全て引く心理ゲームをやっていた。昨日の事なんて無かった風に接してくれる。




「俺はこの世界における世…」


「ピンポンパンぽ〜ん」


『……。キーン!』


「わっうるせえな!」


『わっ。……』




 なんか言ってる。マイクの向こうで何が起きている?




『え〜っと。三年一組紅月亘!田中先生が呼んでいます!職員室に来なさいい!え?説教じゃない?あら。すいませんねぇ』




 原本の声が聞こえる。




「えっ?俺?」


「三年一組紅月亘ってお前以外にいるか?」


「う〜ん。行ってくるわ」


「行ってらっしゃ〜い」




 職員室に向かう亘。その背中は困惑に満ちていた。




「俺なんかしたっけな……」






====




 職員室で田中さんについていく。向かった先は面談室。何どすえぇ?


 席に座るようにジェスチャーされたので田中さんの向かいに座る。田中さんはスケッチブックを机の下から取り出した。筆談か……。




『昼休み中呼び出してすまない。僕の恋愛相談に乗ってくれないか?』


「『もしよろしければ』が付いてない時点で断れる権利低いやんけ。まぁいっか。で?……。えっ!?まじで?自分から告白?原本さんに?」


『あぁ。そうだ。でもどうやって告白すれば良いのかわからない』


「だろうね。婚約?交際?どっちが良いの?」


『交際だ。でも1年後ぐらいには婚約したい』


「シュチュは?」


『シュチュ?シュチュエーションの事か?』




 今思ったけど田中さん文字書くの早いな。




「おう。どういう風に告白したい?」


『わからない……。まず告白そのものの仕方がわからない……』


「はぁ……。小学生かよ……」


『小学生?どうしてだ?』


「あのね小学生って…特に中学年以下はまだ交際とかそういうのが思いつかないじゃん?」


『そうなのか?小学生でも……』


「いやだから行ってみれば我らが中学生の時点で政略結婚でも無いのに婚約するのと似たようなもんなの。


 でそういう子供から思えば好きですって告白してもそのあと”で?”って話になるわけよ。まぁいいわ。話がずれたな。今の話忘れて。


 知らない?漫画とかで屋上呼び出してうんたらかんたらみたいなの」


『知らなくは無いが屋上以外に聞いた事がない……』




 はっ!まさか子供の頃からずっとそういうタイプのものに触れたことが無いのか!?




「えっと……。サプライズ?屋上とか校門とか?もしくは今の話題に乗っかって理科室で告ってそのまま逢……」


『やめなさい。洒落にならないから。サプライズはヘマをしそうだ。屋上とか校門とかかな?』


「身の丈分かってんじゃん。人前?2人きり?」


『彼女はある意味ツンデレだから人前だと逃げ出してしまいそうだ。後者がいい』




 なぜツンデレという言葉は知っているのに告白のシュチュを知らないんだ……。




「その後は何か無いの?」




 少し考えて書く田中。




『できれば夕食を一緒にしてバーにでも……』


「それ結局終電逃して最後まで行くよ?」


『彼女さえ良ければそれでいい』


「へぇ。じゃあ屋上にでも何でも呼び出して告ればいいんじゃね?」


『呼び出し方がわからない…』


「紙に書いて渡すでも普通に言うでもあるだろ」


『そうか…。でもどうやって言おうか……』


「そこは自分でしな。声に出すしか無いね。遅すぎると雰囲気察して原本さんに逆に告られるよ」


『それはダメだ……。贈り物とかはどうしよう?』


「いらないいらない。普通に告白しな。今日の方がいいな」




====




「堂上。教えろと言っている」


「あの〜ですね。雪音さん。あと三日待ってください」


「だから。なぜ紅月は呼び出された?」




 まさかヤンデレ!?は無いか……。




「いや、だからさ…。あと三日待ってってば」


「じゃあいい。その代わり教えろ。どうやって……その……田中先生に…こ、こ」


「こ?なんです?」




 分かってはいるがあえて意地悪してやろう。ん?違和感を…。




「こ、こく、こ、こくひゃくすればいい!?」




 あっ噛んだ。っ!かっ可愛い……。……。あれ?恥ずかしがってる?あれ?……。……………。




「えっ!えええええ!なに!純情ビッチだったの!?雪音ちゃん。貴方まさか告白出来ない訳!?」


「なっ!なにが純情ビッチだ!私は処……」


「だぁぁぁー!言うな!俺がセクハラにたいになるから!」




 はぁはぁ、なっまじかよ……。嘘でしょ……?




「じゃあなに?何で教師…しかも進学校の教師なのに金髪なの!?しかもこの学校染めてる奴金崎と一部の調子乗った不良と数人のハーフ以外全員ラノベと違って黒目黒髪だよ!?」


「私はハーフだ!祖父がロシア人だ!」


「えっ染めてないの!?嘘!まじで!?性格からしても金髪ギャルビッ…」


「ビッチビッチうるさーーい!もういい!自分で何とかする!」


「いや、待ってあと三日!」


「またな……」




 コンコンコン。




 ドアが叩かれた。あっ。




「はっはい…」


「ここは職員室に隣接しています迷惑なので静かにしてください」




 俺は雪音と目を合わせ睨み合った。




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