Will justice always win?

・正義は必ず勝つのか?



 コート内に入り居住まいを正す。目の前には橋下、スケ番がいる。あの忌々しい女だ。このクソアマぁ!




「お互いに礼!」




 審判の号令で頭を軽く下げ所定位置の白線に立つ。スケ番は腕を組んだまま動かない。舐めてんのかゴラァ!なんてね。




「構え!」




 ヌンチャクを両手に持ち、右半身を下げ半身になる。しかし橋下に動きはない。




「それでは、始め!」




 審判の掛け声とともに摺り足で駆け寄り、橋下に向かって前蹴りを放つ。バックステップで躱され魔法を放とうとするのがわかる。




 はてさて、この世界の魔法について話そうか。




 この世界の魔法は『言魔法』と言って発言した意味の現象が起こる魔法だ。一見チートに見えるし実際非魔族の我々にとっては驚異以外の何物でも無い。しかし、この言魔法、魔力が弱ければ弱い程威力も効果も低く、更に現状から大きくかけ離れた事態…例えば『死』や『真空』などの事態はまず起こらない。存在しないが、魔定3段であっても難しいだろう。


 そして、言魔法を使う時、注意せねばならない点はイメージだ。いくら火玉と言ったところで水の球を思い浮かべていたら水の球が出て来るのである。逆に言えば『火玉』と言っておき、警戒させつつ、『水球』を強く思い浮かべれば不意打ちにも有効。


 言魔法は最初、光の玉の様な存在で、それを『魔体』と呼ぶ。それが標的に当たる、使用者が発動を望んだり、推進に一定以上の抵抗があったりすると発動するのだ。砂嵐とか相手に直接当てない魔法はその場で発動させればいい。 


 使用者が魔体を操れるのは、唯でも10秒かそこら。そしてこの魔法、最大の欠点は魔体の操作中は動けない事だ。避けられたら即座に魔体の操縦を諦め、相手の攻めに対応せねばならない。そこを突いて勝つしか無いのだ。




 そして、俺の世界の魔法に関して説明しようか。


 こちらは属性区分がされており、1人多くて一つの属性にしか適性がなく、2属性を操れるものは存在しない。これは遺伝子学的に証明されている。全11属性+魔法を使えない者の12種類。A、B、Cで表すとAが不完全優勢、B、Cは完全優勢で、親の遺伝子によって魔力属性が変わる。


 属性は、火、水、土、風、光、闇、雷、身体強化、契約、転移、空間の11属性。


 そして魔力を使う者にも区別がある。


 魔法を使う使者。、唱詠、魔法陣、魔紋による発動があり、それ以外の魔力の使用方法は無い。しかも、マニュアル通りのことしか出来ないのだ。


 その属性の物体を自在に操る操者。例えば、火属性なら火を自由に操ることが出来る。が、チートなんてものは神が許す訳も無く、操者はその場にある物しか操れないのだ。この欠点は後で話そう。


 そして、その属性に自分の体を変化させる成者だ。例えば、水属性なら、自分にが水になって動く事が可能だ。一回2秒が限界で三回連続で使うと誰だってバテる。こう見ると一番の雑魚に感じるだろう。ノンノンノン。成者は自分の属性の物体の間を一瞬で移動できるのだ。なので、水属性なら一瞬で海を渡れる。OH!転移魔法以上に強い!




 んでだ。俺は雷属性の操者だ。端的に言おう。使者、操者、成者のどれにおいても雑魚属性と呼ばれていた。なぜか?


 使者に関してはレパートリーが少ない。と言うか魔法が『落雷』か、『スパーク』ぐらいだ。しかも威力が雷魔法の中で最も高い『落雷』だって屋内では使えない。


 成者に関しては物体間を一瞬で移動できるのが取り柄なのにまず電気がそこら辺に無いから移動もクソも無い。


 そして操者。電気を集める方法が無いのだ。イオンとか分子とか電子とか電気の利便性も知らなかったオラが電気を操る方法なんてあるのか?いや、無い。


 更に追い打ちで魔力を持つ者は身体能力が低い。もう無理だよ!だから前世ではのたれ死んだんだ!駄菓子か〜し!俺にはイオンやらなんやらの知識がある!だから強い!そして逆説が二回続くが、前世の魔法を使おうもんならすぐ研究対象行きだ。解体されて終わりになるだけだ!使うもんか!






「バインド!」




 やーめーれー!こっちは魔族じゃ無いんだ!手加減しろ!


 ヌンチャクで抵抗を与え発動させ、難なく躱す。近寄ってキバおり!前中で躱される。かかと落としを仕掛けられたので後方倒立回転で間合いを取る。


 今更だがスケ番。相当俺を罵倒しているみたいだ。興味無かったから聞こえなかった。聞けば「このクズ」とか「角なし兎」とか言ってるみたい。俺に負けたら自他共に認められた「角なし兎」になるぞ。




「バインド!失禁!衝撃波!死ねこのクソガキ!」


「俺は不死身だ!このクソアマ!」




 スケ番は魔法を放ってすぐに間合いを詰めてくる。


 意味不なことを喚きながらバインドを左から右に、失禁を右下から左上に、急いでゴルフの様に構え直して…。




「衝ちゃん(衝撃波)飛んでけさよーならー!ファーーーー!」


「んなっ!」




 ゴルフスイングでふざけてヌンチャクを投げ衝撃波の魔体をぶっ飛ばす。ヌンチャクはブリッチで躱された。


 が、前方倒立回転で間合いを詰めて踵落とし。上段構えで受けられる。中断突きに十字構え、手刀に対し、掛け受け、飛び後ろ回し蹴りに上段受け。


 ここでスケ番のバランスが崩れた。そのまま突っ込み横蹴りぃ!




「グアァッ!」




 スケ番はコート外に吹っ飛んでいった。が、俺に鼬の最後っ屁で脇腹に蹴りを入れた。




「ゴフッ!がァァァ。いぢ〜。っつぁあああ。オエっ」




 腹を抱えてうずくまるもすぐに体勢を立て直し、カッコつける。


 弱かったな……。ふっ……。


 できれば此処で爆発が起きるといいのだがそこは求めすぎか……。




「勝者!堂上海斗!次の待合室はB室です」




 審判の掛け声と共に俺に歓声(罵声)が降り注ぐ。ふん!今の俺には何も効かない!


 B室に入ると視線が集まる。




「あっ。兄さん。ここ来なよ」




 唯が座っているソファーの横を叩く。そこに腰をドスンとおろした




「おう。亘は?」


「勿論勝利。有名よ。魔族に勝つ非魔族」




 へぇ。勝ったか。よかよか。




「えっへん」


「そんな誇らしげにしても第二試合でズタボロ負けでしょ。もし決勝まで来たとしても私が勝つから」




 クスクス笑う唯。亘よ。俺は綾と出会わなきゃ近親相姦をしていたかもしれない。




「でもここに亘さんがいないから悲しいな」


「でも次は同じ部屋だろ?いいじゃんいいじゃん」


「第二試合の対戦相手は?」




 唯がちょっと真面目な顔をして聞いてきた。確か……。




「栗田だった気がする。栗田真司。金崎の腰巾着……ってハッ!金崎と栗本に亘は囲まれているのか!」


「大丈夫でしょ。亘さんなら。そうね。栗本か…」




====その頃の亘




「いやー。海斗も勝ったかー。次勝ったら唯ちゃんとおんなじ部屋か。負けよっかな」


「おい角なし兎うっせよ」


「ん?どうした?金平五榜(金崎)に栗金……へクション!団(栗本)」




====




 顎に手を添え、考える唯。うむむ。かわゆいのぉ。




「ああ。思い出したわ。あのクズね」


「いや。そっちかい。金崎も忘れてたのかよ」


「冗談冗談。栗本はネチネチした攻めをしてくるわ。審判の判定を金崎の力で押し留めて、絶対に勝てる状況で弱火で炙る」


「おっそうか。降参でもするかな」


「とか言ってどうせ降参しないくせに」




 そう言って笑う唯。んじゃ、頑張りますかね。




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