第457話 堀北さんんんっ⁉⁉

俺「あ~、美味しかったぁ」

もう1回食べたくなるような味だったな……

どうしようかな

後で買いに行こうかな?


堀北「やっと、終わったわ……」

どこからか現れた堀北さんは、制服姿でぐったりしていた


俺「お疲れ様、堀北さん」

ずいぶんと疲れ切ってるね


堀北「あら、ちゃんと来れたのね」

あ、うん


俺「多分、南城さんのおかげでね」

直接会ってないからね


堀北「そう、それは良かったわね」

うん


俺「それはそうと、堀北さんはどうしたの?」

何があってそんなに疲れ果ててるの?


堀北「えっと、その……」


俺「何か言いづらい事?」

無理には聞かないけど、大変な事があったら手助けくらいはするよ?


堀北「いえ、そうじゃないのよ?ただ……その、ちょっと告白されただけで」

こ、告白⁉


俺「誰から⁉」

まさか、遊びに来てた名前持ちからとか⁉


堀北「その……在校生から」

在……校生?


俺「それって……」

妹と同い年の?


堀北「いくら制服を着てるからって、『君、何組?』って言ってくるのよ?」

あ~、なるほど……


俺「災難だったね」

その告白した男の子も、ね……


堀北「ホントよ……ただでさえこの恰好で恥ずかしいのに、なんで告白までされて注目を集めなきゃならないのよ⁉」

それで、囲まれて見当たらなかったのか


俺「まぁまぁ、それだけ魅力的に見えてるって事だからさ」

実際にその制服姿、かなり可愛いし!!


堀北「み、魅力的⁉」

驚くことかな?


俺「うん。魅力的だよ?」

今更、そこを疑うの?


堀北「そ、そう……私、魅力的なんだ」

今度は照れてる?

表情が忙しいなぁ


俺「そうだよ。ね?父さん」

近くにいた同じ男である父さんに話を振ってみる


父「うん?そうだなぁ、とても魅力的な女性だと私も思うよ」

だよな


俺「それはそうと、父さん」

1つ良いかな?


父「なんだ?」

冷静に聞いてほしいんだけど


俺「母さんがすっごい見てるけど」

大丈夫かな?


父「……母さん?」

怯える父さんなんて、見たくなかったな……


母「何かしら?」

わー、こんな上機嫌な母さん久しぶりだなー……

半分くらい俺のせいだよね、父さんゴメン


父「……いや、そうだ!向こうに美味しそうな屋台があったんだ!一緒に行かないかな?」

買収か……


母「そうね、それじゃ

上手いなぁ


父「それじゃ私は母さんと行ってくるから、また後でな」

素早く移動を開始する両親を見送って、再び堀北さんと向き合う


堀北「あ、あのね!」

うん?


俺「何?」


堀北「写真、撮りたいのだけど……」

客観的に見たいって事かな?


俺「いいよ」

スマホのカメラアプリを起動して堀北さん被写体へ向ける


俺「はい、チーズ」

と撮ろうとすると、なぜか堀北さんはレンズの前に手を出して撮影を邪魔してくる


堀北「違うよ!!」

え⁉


俺「なんで⁉」

写真撮りたかったんだよね⁉


堀北「私1人の写真じゃなくて、私達の写真がいいの!!」

それは世に言うツーショットってやつかな?


俺「できれば自分の今の姿の写真は残したくないのだけど?」

なんでよりにもよって女装した姿の写真残さなきゃならないの⁉


堀北「なんで⁉」

当たり前でしょ⁉


俺「もう写真は諦めて、他の話題にしよう。あ、堀北さんには伝えてなかったと思うけど……ラストステージでもう1曲やる事になったんだよね」

アンコールって事で!!


堀北「そうなの⁉」


俺「うん。だから、もし帰る前だったら見に来てね」

頑張るからさ


堀北「もちろんよ!絶対に見に行くわ」

そ、そう?

途中で帰ってくれてもいいよ?

何か、そこまで期待されるとプレッシャーがキツいんだけど……


俺「う、うん。ありがと」

さて、この後はどうしようかなぁ


俺と堀北さんが話してる所に、着ぐるみが1人ダッシュで近づいてきた⁉

この着ぐるみは……南城さんだな!


俺と堀北さんの脇を速度を落とさず通過して……そのまま通り過ぎて行った⁉

何しに来たんだ⁉


堀北「あれ、千秋よね?」


俺「うん」

そうだろうね


堀北「何、してるのかしらね……」

う~ん?


俺「追いかけっこだったりして?」

なんちゃって!


堀北「それは……あり得るわね」

あり得るの⁉


俺「もし、追いかけっこがあり得たとして……追いかけてるのって」

予想通りだったら……


堀北「もしかして……」

うん……俺、ヤバイかも⁉


俺「逃げなきゃっ」

囲まれる⁉


堀北「ちょっと待って」

うん⁉

今、急いで逃げなきゃいけないんだけど⁉

逃げる体勢から、堀北さんの方へ振りむいたら……







ぎゅっ、と堀北さんに抱きしめられた⁉

な、なななな、ななななな

何してるの⁉


俺「堀北さん⁉」


堀北「しっ!しっかり私の肩に顔近づけて!顔隠して!!」

はいぃ⁉


俺「ちょ、まっ」

躊躇っていたら、後頭部を手で押さえられて無理やり肩へ顔を押し付けられる


堀北「いいから、じっとしてて!」

むごっ⁉

耳元に堀北さんの声がぁーっ⁉⁉

それに鼻から吸い込んだ空気は柑橘系の良い香りがする……!

い、良い匂い!!

って、そうじゃなくて!!


近くをドタドタと集団が走り抜ける音だけが聞こえる


堀北「……行ったわね」

やっと手を離してくれて、顔をあげられる


俺「ぷはぁっ……」

はぁ……はぁ……

良い匂い過ぎて、おかしくなるかと思った……


堀北「もう、大丈夫よ」


いや、ちょっと待って!

今現在俺の精神状態が大丈夫じゃないから!!

精神を落ち着かせる為に、一度堀北さんと距離をとった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る