第454話 アンコール決定

俺「ちょっと⁉」

出るなんて言ってないんだけど⁉


妹「お願い、お姉ちゃん!」

なんで……


R「最っ高に楽しい思い出になりそう!」

T「やろ!」

Y「いいわね」

U「ふふふっ」


……うん

分かったよ


出ればいいんだろ!!



俺「はぁ……」

少しは見て回りたかったなぁ


妹「ありがとね!それじゃ、皆!!出番アンコールまで遊びに行くよー!」


R「おー!」

T「どこ行く⁉」

U「早くしないと時間ないね!」

Y「全部、制覇したいわね」


元気だなぁ……


妹「ほら!お姉ちゃん、行くよ!」

はいはい


俺「南城さん達に連絡してからね」

どっかで一度合流しておきたいな


妹「あ、そうだ!お母さん達に、連絡しなきゃ!」

そうだった

そういえば、母さん達どうしてるんだ?


妹「あ、電話かかってきちゃった」

母さんからか?


妹「もしもし、うん、うん、えへへ、この後?遊びに行くよ?」

もしかして、父さんか?


妹「えっと、それじゃ……校庭の方に出るよ。お腹?うん、少しすいてるけど……うん!やった!それじゃ、そこで!はーい、バイバイ」

結局、誰だったんだ?


俺「どうしたの?」


妹「お父さんが、校庭の模擬店で何か奢ってくれるって!」

やっぱり父さんか


R「え?いいの⁉」


妹「うん!是非ご馳走させてほしいって!」

父さんがソコまで言うなら、ご馳走になってやるか


俺「それじゃ、校庭行こっか」


Y「はい」





6人揃って校庭へ向かおうと廊下へ出た瞬間……


「わぁーーーーーー!!!!」

と歓声が上がった⁉



びっくりして固まる俺達をよそに、歓声を上げたヤツらが囲んでくる

本能的に恐怖を感じ、一度教室へ戻る



俺「あ、あれ……なに?」


妹「わかんない……」


R「う~ん……もしかして、出待ち?」

出待ち⁉


T「何か芸能人みたいだね!」

嬉しそうだね⁉


U「嬉しいけど……」

え?

Uちゃん、怖くないの⁉


Y「あれじゃ、外出れないわね」

何で怖がってないの⁉


妹「どうしよ……」

そんな事、俺に分かるわけないだろ?


R「よし!ここは私に任せて!」

何か良い案があるの⁉


Rちゃんが1人で教室の外へ出る


今度は、歓声が上がらない……?

おお⁉

もしかして、Rちゃんが抑えてくれたのかな⁉


Rちゃん、すげー!!


少ししてRちゃんが教室に戻ってきた


何故か肩を落として……



R「……じゃないって」

うん?


妹「どうしたの?」


R「私じゃ……ないって……」


妹「え?」


R「出待ちされてたの……私じゃなくて」


T「もしかして、私⁉」

Rちゃんを労わってあげようよ⁉

首を横に振られ、否定されるTちゃん


T「だよね~……はぁ」

そんなに期待してたの⁉


Rちゃんがおもむろに、妹を右人差し指でさす


R「Aちゃん……」

そうか、あの出待ち連中は妹目当てか


妹「え?私?」


俺「……よし、それなら生け贄になってもらって」

その間に俺達は校庭に行こう!


妹「お姉ちゃん⁉」

許せ

これも人気者の役割だ


R「と、お姉さま」

うんんん⁉

今度は左人差し指で俺をさした⁉


俺「まさか……」

俺も、なのか⁉


コクリと頷くRちゃん


R「私たちだって、一緒にステージに出たのに……」

いや、そもそも俺なんて2曲しか出てないんだけど⁉


妹「お姉ちゃん、生け贄って言ったよね?」

いや、ちょっと待て⁉


俺「言ってないよ?そんなこと言うわけないじゃないの」

オホホホホ……


Y「それなら、私たちは安全に抜けられるって事よね?」

いや、まぁ……そうだろうけど!


俺「置いて行ったりしないよね?」

妹と2人で、この状況を切り抜けるのは不可能だと思うんだけど⁉


Y「大丈夫ですよ!きっと2人でなら、なんとかできますから」

置いて行くのかーー⁉


T「そうだよね。私たちは別に出待ちされてるわけじゃないもんね」


U「うんうん、行こう」

お、お前ら……⁉


俺「あ、ちょっ……」

本当に行きやがった……


教室に俺と妹の2人だけが残された


妹「おにぃ……」

うん……これは、どうしたものかなぁ


とりあえず、南城さん……いや


俺「堀北さんに聞いてみよかな」


スマホを操作して、堀北さんに電話をかける

運よく、すぐに電話に気付いて出てくれた


俺「あ、もしもし」


堀北『どうしたの?もう校庭着いたのかしら?』


俺「あ~、いや……その、困った事になっちゃってさ」

お知恵を拝借できないかな、と


堀北『何かあったのね……今説明できる?』

説明……説明かぁ……


俺「うん。実は……教室から出られなくなって」


堀北『え?化粧落としなら』

あ、そっちの問題じゃなくて


俺「そうじゃなくて……教室の外に、出待ち的な人だかりができちゃって」

どうしたらいい?


堀北『出待ちって……なるほど、そういう事ね。助けに行きたいのはやまやまなのだけど……私も今動けないのよ』

え⁉


俺「堀北さん、大丈夫なの?」

何か困ってるなら助けに、は行けないけど

相談にはのるよ?


堀北『え、ええ……私は大丈夫よ。でも、すぐに向かう事は出来ないのよ……ごめんなさい』

いや、その大変な時にコッチこそごめん


俺「そっか、何かゴメンね」


堀北『私の方こそ、力になれなくてごめんなさい。千秋なら、きっと助けになってくれるから、それじゃ後でね!』


通話が切られ……次は堀北さんの言う通り

南城さんに電話をかける事にした


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