第446話 控え室で集合

妹「それじゃ、次はRちゃん達の友達に会いに行くね」

了解


俺「ええ、分かったわ」


その後、RちゃんTちゃんUちゃんYちゃん

それぞれの友達のいる場所をめぐり、宣伝していく


そして、控え室へ行く時間になった









控え室は、最初に待ち合わせた教室だった


俺「南城さん達に連絡入れる?」

ここなら、大丈夫じゃない?


妹「そうだね。そろそろ一度合流しよ」

おっけ


最初の教室に来るように連絡を入れて、とりあえず待つ


少しして、堀北さんから向かうと連絡が返ってくる

ワンチャン、制服姿で来てくれないかなぁ


でも、南城さんは着ぐるみを脱がないと教室入れないよなぁ……




待ってる間、妹達の事を観察する


妹は、机に座って足をブラブラさせている

この仕草は、少し緊張してるっぽいな


Rちゃんは、スティックをペンみたいにクルクル回してる

指があれだけ動くなら、多分そこまで緊張はしてないな


Yちゃんは、静かに背筋を伸ばしてイスに座っている

全く緊張してる素振りはない


Tちゃんは、ヘッドホンで音楽を聴いて頭を揺らしている

緊張してるけど、好きな曲聞いてリラックスしようとしてる感じかな


Uちゃんは、一定の間隔で頷いてリズムをとっている

もしかして、結構緊張してるかもしれない



全体的にはそこまで緊張してはなさそうだ




俺は、めっちゃ緊張してるけどな!!


何でそんなに落ち着いていられるの⁉

緊張で間隔だ鋭敏になってるトコに、教室のドアをノックする音がやけに大きく聞こえる


ビクっとして、ドアの方を向くとソコには知らない男子が立っていた


「文化祭実行委員会・体育館使用管理係の者です」

ずいぶんと長い肩書だなぁ……


妹「はい、ちゃんとメンバー全員揃ってます」


「分かりました。そちらの方は……校外の方ですよね?」

あ、俺?


俺「そうです」

妹「ちゃんと申請書には書いてありますよね?」


「……そうですね。スペシャルゲスト、ですか?」


妹「はい」


「分かりました、それではステージ頑張ってください。何か変更などあればすぐに報告してください」


妹「分かりました」


事務的なやり取りだけして、担当者は出て行った


R「何か、さっきの男子ずっとお姉さま見てたよね?」

そうか?


U「うん、見てた」

へぇ、そうか


俺「全然気づかなかったわ」

まぁ、校外の奴がいたら注目するよな


T「あれだけ熱い視線送ってたのに、全然気づかれないってちょっと可哀そうだね」

え?

そんな不審者感出てる⁉



やべぇな、もっと自然体でいないとダメかな



そんな話をしてると、もう1度教室のドアがノックされる


ドアを開けて顔を出したのは、南城さんだった

着ぐるみの頭を外して手に持った状態で教室に入ってくる


その後ろには見慣れない着ぐるみが1人いた

頭も被ったままだから、誰だかわからないな


俺「もしかして、堀北さん?」

制服姿がイヤだったから、着ぐるみに着替えてきた?


南城「違うよ」

って事は仁科さんか


被り物を外すと、汗をかいた仁科さんが顔を出した


仁科「あっつい~……」

倒れそうなくらい、ヘトヘトになってるな


俺「仁科さん、大丈夫?」


仁科「うん、なんとかね~」

入口に突っ立ったまま話すんじゃなくて、入ってきていいよ?


俺「ほら、こっち来てイスに座りなよ」

休まないと倒れちゃうよ?


仁科「そうしたいのはやまやまなんだけど……」

そう言って仁科さんが背中の方を見る


その着ぐるみ、座れないくらいのしっぽでも生えてるのかな?


南城「もう、春香!豊が倒れちゃうから離して!」

え?

堀北さん⁉


少し跳ねて仁科さんの後ろを覗くと、そこには黒髪の女子が1人いた


堀北「いやよ!なんで着替える時間くれなかったの⁉千秋達だって着替えて来た方が良かったでしょ⁉」

そうなの?


南城「え?別に私は大丈夫だよ?」

まぁ、南城さんなら……そうだろうなぁ


仁科「私は、すぐに休憩したかったから……」

ふらふらだもんな


堀北「なんでよ⁉」


俺「堀北さん、そのちょっと恥ずかしいかもしれないけどさ……俺にも見せてくれないかな?」

そんなに恥ずかしがらないでさ


堀北「いくらアナタの頼みでも」

ちょっと、揺らいできたかな?


俺「きっと、似合ってて可愛いだろうから見たいんだけど……ダメかな?」

それに早くしないと、仁科さんがマジでぶっ倒れちゃうから


堀北「笑わない?」

当たり前でしょ


俺「笑わないよ」


堀北「本当に?」


俺「本当だよ。と言うか、俺のこと信用できない?」

そんな事で、堀北さんを笑い者にする奴だと思われてる?


堀北「わ、分かったわ……」

仁科さんが解放されて、イスに倒れるように座り

その後ろから姿を現したのは、妹達と同じ制服を着た堀北さんだ


堀北「そ、そんなにじろじろ見ないで……」

いや、それは無理!


俺「かわいい」

自然と口から言葉が漏れる


妹「私だって、いつも制服着てるのに……」

お前は妹だし、それが当たり前だろ

堀北さんは違うからな


南城「ほらね!」

うん?


仁科「千秋ちゃんの言った通りだったね~。まさか彼が制服フェチだったとはね」

制服フェチ⁉


俺「違うよ⁉ちょっと、南城さん⁉」


南城「違くないよー!だって、前に君の家行った時妹ちゃんの制服を着た春香見て見惚れてたじゃん!」

そ、それは……


俺「あれは、ちょっと驚いて固まってただけだから」


南城「でも、あの時も可愛かったよね?」

そ、そりゃ……まぁ


俺「可愛かったけど」

それでフェチだなんて、言いがかりも甚だしいよ!


南城「やっぱり~」


俺「いや、口に出してないだけで……その、私服姿の時の南城さんも可愛いと思ってたし」

って何言ってんだよ、俺⁉


南城「え?ちょ、待って!今そんな話ししてなかったじゃん!もう!」

急に褒められて、動揺を隠せない南城さん

そして、急に変な事を口走ってテンパる俺


仁科「みんな、元気だね……」

会話に交ざるほどの気力もない仁科さんは、疲れた笑顔でそう言った




あ~、もう!

誰のせいだよ!

この変な空気にしたのは!!

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