第428話 家庭科室で作るクッキー

俺が弁当箱を片付けるタイミングで、仁科さんも小さなお弁当を完食していた


仁科「私も手伝うから、ちょっと待ってね」

マジか!


俺「助かるよ」

思いの外時間がないくて、内心焦ってたんだよね


直ぐに薄力粉を用意して、重さを量る

ふるいにかけてっと……


バターと、砂糖と……後はいつも通りで、ん?


俺「仁科さん、これって」

目に付いたを手に取る


仁科「あ~、それ?それはアーモンドパウダーだよ」

使っていいの?


俺「使用可?」

使えるなら、使いたいんだけど


仁科「もちろん、大丈夫だよ」

よっしゃ!


俺「そしたら、スノーボールクッキーも作るか」

あれ、美味しいから好きなんだよね


仁科「いいね!」

だよね!


俺「それじゃ、今日はそれで行こっか」

久々だなぁ


仁科「うん!」


レシピは前にネットで見つけたモノで、基本的なモノだと思う


俺が材料を用意してる間に着々と他の準備を進めてくれる仁科さん

さすがだな……

下準備を済ませてくれるから、後は材料を混ぜて焼くだけだな


俺が材料を混ぜている間に、予熱をかけてくれている


天板にクッキングシートを敷いて、小さく丸めて並べていく

今回は、人数多めだから前より数が必要だから天板3枚分になったな


間隔を空けて、並べていき

3枚全部が出来上がる前に予熱が終わる

先に出来た2枚を仁科さんへパスして、最後の1枚は並べ終わり次第自分でオーブンへ入れる


後は、焼けるのを待つだけだな


時計を確認すると、もう昼休みが終わりそうだった⁉


俺「これ、絶対間に合わないじゃん……」

どうしよ

クッキー作ってて遅れました~……なんて許してもらえないよな


仁科「大丈夫だよ。私がちゃんと焼けるまで見てるから」

いや、それは悪いよ


俺「仁科さんだって授業あるのに」

遅刻したら怒られちゃうよ?


仁科「大丈夫だよ。私、次の授業は遅れても大丈夫だから」

そんな授業あるの⁉


俺「どういう事?」

まさか、仁科さんって意外と不良生徒?


仁科「5時間目の授業は少しくらい遅刻しても、私は許されてるんだよ。家庭科室ココを使ってる日限定だけど」

な、なるほど……


俺「いいなぁ」


仁科「でもね、後で補習受けるから±プラマイ0なんだけど」

そっか

色々条件があるんだなぁ


俺「じゃあ、頼んじゃっていい?」

申し訳ないんだけど


仁科「いいよ~。少し摘まみ食いするけどいい?」

もちろん!


俺「うん。5時間目が終わり次第戻ってきていい?」

仕上げに粉糖をまぶすからね


仁科「うん。仕上げのパウダーシュガーだよね」

そうそう


俺「うん。その後、テキトーな袋に詰めて持っていくから……」

できれば、その辺のモノももらえると助かるな

持ってきてなかったから……


仁科「袋も用意はあるから安心していいよ。それで、……コレ誰に持っていくのかな?」

そういえば、言ってなかったな


俺「妹と、その友達だよ」

今日会うからね


仁科「へぇ、妹ちゃんと……その友達?」

そうそう


俺「うん」

それがどうかしたの?


南城「もしかしてバンドの?」

そうそう


俺「そうだよ。今日さ、そのメンバーの1人の家で練習するんだっていうから」

参加させてもらうんだよ


堀北「へぇ、楽しそうね」

あ~……さすがに南城さん達を呼ぶのは、マズいかな?

でも、観客がいた方がいいか?


俺「ちょっと待ってね」

家庭科室だし、スマホ使ってもバレないかな


妹へ

今大丈夫か?とメッセージを送る


向こうも昼休みだから気付けば返事が返ってくるだろう

と思っていたら、まさかの電話がかかってきた⁉


俺「もしもし?」

妹『兄さん、どうしたの?』

うん?


俺「今日の事なんだけどさ」

妹『もしかして来れなくなっちゃった?』

俺「いや、そうじゃなくて。提案なんだけど」

妹『何?』

俺「堀北さん達連れてってもいい?」

妹『え……?なんで?』

俺「いや、それはさ……」

妹『まぁ、私はいいけど……みんなに聞いてみないと』

俺「聞いてみてくれるか?」

妹『うん。でも、期待しないでね』

俺「うん。一応観客としてって感じで頼む」

妹『はーい』

俺「それじゃ、後でな」


ふぅ……


俺「というわけで、堀北さん……OKだったら来る?」

多分南城さんは聞くまでもない、来ると思うけど


堀北「ええ、もし可能なら行ってみたいわ」

うん、返ってくる返事次第だけどね


南城「私も行きたーい!」

それは、知ってた


俺「うん。仁科さんは?」

どうせなら来ない?


仁科「うん。行きたいな」

って事は、許可が出れば3人が観客か

この3人の前で緊張しないで出来れば、本番も難なくこなせるんじゃないかな


俺「それじゃ、また次の休み時間にね」

予鈴が鳴り、教室に戻らなきゃいけない時間になる


仁科「うん。後でね」


クッキーを仁科さんに任せて、俺と南城さん堀北さんは自分の教室へ戻った

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