第425話 明日の予定を

俺「それで、俺はどうすればいいんだ?」

ステージに出るのか?出ないのか?


妹「うん……、おにぃはどっちがいいと思う?」

ったく、俺に委ねてどうするんだよ


俺「俺が決めていいのか?」

お前の文化祭だろ


妹「うん」

そうか


俺「分かった。なら、お前が本心で思ってる方だ」

変に俺の事情とか考えないで、お前はお前のやりたい事をしろ


妹「え?」

出ないって答えると思ってたのか?


俺「あのな?お前にとって大事な文化祭だろ?」

今の友達で楽しむ最後の文化祭だろ?


妹「うん」

大事なら、思いっ切り楽しめ


俺「なら、後悔するような決断はするな」

時間は巻き戻せないんだからな


妹「……うん」

よし


俺「お前は、どうしたいんだ?」

言ってみ?


妹「私は……おにぃと一緒がいい」

そうだ

言いたい事、やりたい事はちゃんと言葉にしろ


俺「分かった。一緒に楽しもうな」

妹「うん!」

よし!


俺「なら、1度くらいは他のメンバーとも挨拶くらいはしておきたいな」

当日にぶっつけ本番は心配だしな


妹「あ、そっか。う~ん……なら、急だけど明日の放課後練習するから」

丁度いいな


俺「そこに参加させてもらってもいいか?」

全員集まるんだろ?


妹「とりあえず、聞いてみるね」

そうしてくれ


妹がスマホで電話をかける


妹「あ、もしもし。……あのね、明日の練習なんだけど……あ、それは大丈夫!そうじゃなくて、おにぃの事なんだけど……え?うん、そうだけど……いいの?じゃ、うん、明日ね」

大丈夫そうだな


俺「どうだった?」


妹「なんか、最初から呼ぶつもりだったって」

そっか

まぁ、あまり時間も無いしな


俺「それじゃ、どこに行けばいいんだ?」

待ち合わせは?


妹「じゃあ……うちの学校の前まで来てもらっていい?」

そっちの学校ね


俺「もしかして、練習場所って学校か?」

だとしたら、変装なりなんなりしないとダメか?


妹「ううん、違うよ。えっとメンバーの子の家なんだけど」

へぇ、練習できる家があるのか……


俺「すげぇな……」

金持ちか


妹「それじゃ、明日は放課後に練習だね」

おう!


俺「ま、そこでダメ出しされて降板になるかもしれないけどな」

そしたら、まぁ素直に引くけどな


妹「多分、それは大丈夫かな……」

そうか?


俺「とりあえず、明日だな」

うん


妹「ちょっと、不安だなぁ」

何が不安なのかね


さて、話も終わったしテキトーにアニメでも見るか?

……あ、そうだ

ちょっと思い付いちゃったなぁ


問題は材料があるか、だけど……

俺「ちょっと下いくから」


妹「うん。私も部屋戻るね」


よし、ちょうどいいな


妹と部屋を出て、俺は階段を下りる






えっと、冷蔵庫に……卵、バター、牛乳はあるなぁ


後は、粉系だけど……

はぁ⁉

薄力粉無いじゃん⁉

どうする?


これから買いに行くのは、ヤダなぁ

……う~ん


もしかして、だけど……仁科さんに頼んだら材料ごと家庭科室借りられないかな……?


連絡してみるか


厚かましいお願いだし、電話かなぁ

そういえば、電話かけるの初めてか?

……ちょっと緊張するな


スマホで仁科さんへ電話をかける


数コールしてから電話が繋がる


仁科『も、もしもし!』

なんか発音おかしくない?


俺「あ、俺。Aだけど」

どうしよ、声が上ずりそう!


仁科『う、うん!どうしたにょ⁉』

にょ?


俺「あのさ、……ちょっとお願いがあるんだけどいいかな?」

断られたら、ダッシュで買い物だなぁ


仁科『いいよ!』

いや、まだ何も言ってないよ⁉


俺「家庭科室って明日使える?」


仁科『うん。使えるけど……何か作る?』

良かった


俺「うん、クッキー作りたくてさ。できれば材料を分けてもらえないかなって」

ダメかなぁ


仁科『いいよ~。ただし1つ条件があるけど』

条件?


俺「何?」

難しい事じゃなきゃいいけど


仁科『私にそのクッキーを食べさせる事!』

え?


俺「それだけ?」

構わないけど……


仁科『うん。私のために用意されてるモノだからね、私が食べたいって頼んだ事にしないと怒られちゃうんだよね』

あ~……そっか


俺「ごめんね。助かるよ」

無理言ってゴメン!


仁科『いいよいいよ!私としては久しぶりに君の手作りクッキーが食べられるからね!』

そんなに食べたいモノかなぁ


俺「それじゃ、明日……できれば昼休みにお願いしたいんだけど」

いいかな?


仁科『おっけー、明日のお昼休みね。基本的なクッキーの材料は用意があるけど、もし一手間加えたかったら自分でもってきてね』

一手間かぁ


俺「了解。ありがとね」

よし、準備はできたな


仁科『ふふ、お安い御用だよ!楽しみだなぁ』

ほんと、お菓子作りとか好きなんだなぁ


俺「それじゃ、明日よろしくね。ばいばい」

一手間……

何か用意できるかなぁ?


仁科『うん!』

よし……っと


一手間……一手間……何がいいかなぁ

どうせなら、仁科さんにも喜んでもらえるモノを作りたいな



電話を切ると、玄関の方から物音がした

ちょうど母さんが帰ってきたみたいだな


聞かれなくて良かったぁ


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る