第405話 勝負は決まった

俺「初めて会うんだけど、初対面って感じはしないな」

やっぱ自分だからかな


佐々木「へぇ、名前持ち化した君ってイケメンなんだね」

え?

そうなの?


A「な、なんだよ!?ここどこだよ!?」

混乱してるな

さっきからソレしか言ってないし


俺「教えてほしいか?」

A「当たり前だろ!?」

だよな~


俺「じゃあ、俺と勝負してくれよ」

駆け引きはもう始まっているのだよ!


A「勝負?」

流石に警戒するか……


俺「そう、勝負。受けてくれるなら、今の状況を説明してやろう」

どうだ?


A「……勝負するのは、俺とお前だけか?」

あ~、佐々木さんが勝負するかもって思ってる?


俺「そうだよ。俺とお前だ」

これで、警戒心を緩めてくれるかな


A「いいだろう。その勝負受けた」

よっし!

内容も聞かずに受けるなんて、さすが名前持ち化した俺!

ザコいな!

何か、むなしいな……


俺「ここは、現実と虚無の狭間の世界だ」


A「は?」


俺「そして、ここへお前を呼んだのは俺だ」


A「……」


俺「俺なのに、記憶にないんだな」

名前持ち化すると、そういった記憶にも影響が出るのか


A「大体理解した。それで、お前とどんな勝負すればいいんだ?」

察しがよくて楽だな


俺「そうだなぁ……何がいいかなぁ」

1対1だと、佐々木さんの言う通り分が悪い

かと言って、さっき勝負するのは俺だって言っちゃったし


A「1つ、勝負の前に聞きたいんだが」

なんだ?

何か、仕掛けてくるのか?


俺「なんだよ?」


A「そこの子は?」

佐々木さんのこと?

そっか、ここの記憶が無いから知らないのか


俺「佐々木 乱子さんだよ」

何て言えばいいんだろ……

元管理人とか?


佐々木「よろしく!私は君たちの勝負を見届ける為にいるんだよ」

なるほど、そういう言い方が出来るんだ!


A「ふ~ん、そうか。なら、ちょうどいいから手伝ってもらおうぜ」

佐々木さんに何させる気だ⁉


A「俺から1つ提案だ」

提案……

マズイな、向こうのペースになりつつある……


俺「言ってみろよ」

まぁ、俺に不利な提案は全力で却下だけどな!


A「勝負の内容だが、まだ決まってないんだろ?」

う……


俺「そうだけど」

そこに口出しされると、勝率が著しく落ちるからな……


A「乱子ちゃんに告って、どっちがいいか選んでもらう。ってのはどうだ?」

はぁ!?


俺「お、おお、おまっ、何言ってんだよ!?」

そんな、告白で勝敗を決めるとか……不誠実だろ!?

俺のくせに!!!


A「どうかな?」

勝手に話しを進めるなし!!


佐々木「その……2人が私に告白するの?」


A「そうそう。それで、乱子ちゃんがって思った方が勝ち」


佐々木「私は、いいけど……本当にそんな勝負でいいの?」

いいの!?


A「いいとも。ほら、勝負するぞ。じゃーん、けーん、ぽんっ!」

あ、くそっ

勝手に決めやがって!!

反射的にグーを出してしまう


A「チッ、俺はチョキだ。先が後か、選べよ」

先攻後攻を決めるじゃんけんだったの!?


俺「どっちにすれば……」

もう勝負の内容は決まっちゃったし、有利に立つにはここでの選択は間違えられない

やはり、先手必勝か?


A「そんな迷うなら、俺に先行かせてくれよ」

やはり、名前持ち化した俺も先手を狙っている……


俺「いいや、先行は俺だ」

名前持ち化した俺が、先に告白して

俺の番が回ってくる前に試合終了ってのは、ごめんだからな


A「そうかよ。なら俺は廊下で待ってるから、終わったら出てこいよ」

名前持ち化した俺は、気楽そうに廊下へ出ていく


もう勝負は決まったみたいな、そんな気楽さを出すなんて……



結局は、名前持ちなんだな

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