第404話 その方法は
俺「で、その方法は?」
佐々木「第一に、この場所の主を君に変更するよ」
主の変更?
俺「うん?」
どういうことだ?
佐々木「う~ん……。まぁ、簡単に言うと……この空間で自由にできる権限を君が手に入れるって事かな」
自由にできる権限?
俺「それを手に入れると、帰れるの?」
何か、拍子抜けな感じがするけど……
佐々木「いいや、空間を自由には出来ても君が現実に直接干渉できるわけじゃないからね。私がやったみたいに、
招待できるだけ……じゃあ出れないじゃん?
俺「それじゃ帰れないんじゃない?」
どうすんの?
佐々木「これは、あくまで最低限の条件だよ」
俺「そっか」
まだ続きがあるのか
佐々木「そして、次からが大変だよ。現実の君の肉体は、今名前持ち化した君が所有してるよね?」
そうだと思うけど……
俺「うん」
あれ?
名前持ち化したのって、いつ話したっけ?
まぁ、いいか
佐々木「その名前持ち化してる君を、ここに招く」
え?
俺が俺をここに呼ぶってこと?
俺「どうやって?」
佐々木「名前持ち化してる君、仮にAと呼ぶけど。Aの意識が無い時にコッチに引きずり込むんだよ」
なるほど……?
俺「どうやって引きずり込むんだ?」
縄でもひっかけて引っ張るとか?
佐々木「それは、君のイメージ次第だよ」
もしかして、何でもあり?
俺「それで、その後は?」
引きずり込むって事は、ここで何かするって事だよね?
佐々木「現実への帰還を賭けて、何かしらの勝負を仕掛けるんだよ。そして、その勝負に勝つ!そうすれば、君は現実へ帰る事ができるよ」
①ここの主になる
②名前持ち化した
③勝負に勝って帰る
って事か
俺「なるほど……確かに最後の部分が難関だな」
名前持ち化してるからなぁ……
俺が、俺に勝つには……何かしらの策がいるかも
佐々木「勝負に関しては、Aと君の同意がいるから話し合って決めてね」
やっぱりか……
俺が一方的に勝つ勝負だったら、勝負自体を拒否されてお終いって事だ
俺「了解」
さて、どうするか
何なら、名前持ち化した俺に勝てる……?
佐々木「それじゃ、まずはここの権限を君へ移譲するよ」
ちょっと緊張するな……
俺「うん」
佐々木さんが本棚から見慣れないファイルを1つ取り出す
そこから1枚の紙を取り出し机の上に置く
なんだこれ、契約書みたいに細かく色々書いてあるな……
佐々木「細かく書いてあるけど、要約するとここの管理と責任を負うって意味だよ」
そっか
俺「それで、どうすればいいんだ?」
佐々木「ここに、君が引き受けるってサインを入れて」
サイン?
俺「サインなんて、名前無しには無いけど」
佐々木「あ~……じゃあ、“ぼいん”でいいよ」
ボイン?
俺「何それ?」
聞いた事ない言葉だな
佐々木「拇印っていうのは手の親指で押すハンコだよ」
なるほど!
あれか!
何かのコミックで見たことある!!
俺「分かった」
名前無しだから指紋もないけど……きっと押してある事に意味があるんだよな
佐々木「はい、朱肉」
出された朱肉に親指を付けて、サインを書く位置へ押し付ける
ぐぐっと強めに押し付け、指を離すと
契約書が発光し、弾けた⁉
佐々木「はい。これでここの権限は全て君へ移ったよ」
よし……それじゃ次は……
俺「名前持ち化してる俺を、こっちへ引っ張り込むんだよね?」
どうすれば、できるのかよく分からないけど……
佐々木「そうだよ。手錠や縄をかけてもいいし、手を繋いで連れてくるでもいいし。連れてくるってイメージが大事だから」
イメージか……
俺「よし」
とりあえず手錠と足枷をかける!
逃げられないようにしてから、縄でグルグル巻きにして……
荷物のように、運び込む!!
すると、空中からいきなり1人の男が出現した⁉
おお!できた!!
そして、呼び出し方悪かったのか机の上へ落下した……
ガシャン!!
A「いってぇ!!」
そうか……これが、名前持ち化した俺なのか
鏡とかを通して見るのとは違うなぁ
佐々木「随分と乱暴に呼び出したね……」
あはは
俺「逃げられないように、念には念を入れたんだけど」
ちょっとやり過ぎたかな
A「うん?なんだよ、ここ⁉はぁ⁉どこだよ⁉」
慌ててるなぁ
まぁ、気持ちは分からなくもないけどさ
俺「ようこそ、虚無と現実の狭間へ」
A「お、お前……⁉」
そんな睨むなよ
俺「よっ、俺!」
元気してたか?
A「俺なのか!?」
そうだよ
初めて、俺と
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます