第403話 世界の狭間で

俺「佐々木さん!俺ここから帰りたいんだけど、協力してくれる?」

ここで断られると、帰還の難易度が最大まで上がるんだけど……


佐々木「もちろん!それじゃ、ここに来ちゃった経緯とか教えてくれる?」

経緯か


俺「えっと、名前持ちの友達と妹と一緒に出掛けて」


佐々木「また女の子と出掛けたんだね?」

え?

まぁ、そうだけど


俺「うん。そしたら、またトラブルが発生して」


佐々木「当然のことの様に君は言ってるけど、トラブル多いね」

ホント、何でこんなにトラブルって続くのかね


俺「そのトラブルってのが大変で。何かヤバそうな男達に皆が捕まっちゃってさ」


佐々木「もしかしなくても、友達ってのはいつもの彼女達かな?」

そうそう


俺「うん。それで皆を助けに行って」


佐々木「へぇ、それは……あまり君らしくないね」

そう……かな


俺「まぁ、普通に負けて返り討ちに遭ってさ」

当然の結果なんだけど


佐々木「無茶するね⁉」

今となっては、自分でもそう思う


俺「マジで死にかけて……でも皆を助けなきゃって、そう思ったら」

必死だから、細かい事は覚えてないけど……


佐々木「ここに来ていた、か」

うん、と頷く


俺「とりあえず、そんな所かな」


佐々木「君ってやつは……なんで助けを呼ばなかった?君はいつも真面目で、ちゃんと頭で考える事のできる人だよね?」

そんな事言われたって……


俺「あの時は、気が動転してて」

なんか助けに行かなきゃって、そう思ったから


佐々木「らしくないね」

そんな俺らしさなんて、知らないよ


俺「そんな事言ったってさ」

あの時は、他の考えなんて浮かばなかったんだよ!


佐々木「いいや、明らかにおかしい。もしかして、その時君は既に正常では無かったんじゃないか?」

なんだよ⁉


俺「助けに行くなって、そう言ってるのか?」

そうだとしたら、流石に怒るよ?


佐々木「そうじゃない。結果的に言えば、君はまだ生きてるし消えてないし……その様子なら皆を助ける事もできたみたいだけど」

そうだよ!

危険な状況だったけど、ちゃんと皆を助けられたんだよ!


佐々木「君自身を救う方法を、君は持ってない」


俺「じゃあ、どうしろって言うんだよ!」


佐々木「落ち着いて話を聞いてほしい。君はもう消える一歩前なんだ、恐らく時間的猶予は少ない」

猶予が、ない……⁉


俺「そんな……」

折角ココまで戻ってこれたのに……


佐々木「だから、!君の気力が尽きてしまえば、本当に消えてしまう!」

そんな事言ったってさ……何か佐々木さんは俺の事責めるし……もう消える一歩手前って……


佐々木「消えないで済むには、方法を考えなきゃダメだよ!」


俺「方法ってなんだよ!そんなもの、あるのかよ⁉」


佐々木「あるとも!とっておきの方法が1つだけ」

とっておきの方法⁉


俺「なら教えてくれ、その方法ってやつを」

それで、俺が消えないで済むならやらせてくれ


佐々木「もちろん、君の為だから教えるよ。ただし、この方法は練習も無しのぶっつけ本番1度限りの賭けみたいな方法だから」

賭け……?


俺「勝率は?」

もし低くても、やるけどさ


佐々木「私の希望を含めて7:3で君が不利だろうね」

そっか、3割も勝算があるなら


俺「上等だ」

やってやる


その方法、やらせてくれ

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