第392話 ハイテンションな佐々木さん

俺「何か、前会った時よりも……元気?」

無理してないかな……


佐々木「もちろん、元気だとも!何故そんな事を聞くのか分からないな!」

自覚症状、無し


俺「いや、テンションおかしいでしょ?前はもっと落ち着いた感じだったのに……」

なんで残念な感じにテンション上がってるの?


佐々木「あ、ああ!この場においては、この私が正常なんだよ。ここは私の心の中だからね、所謂“素”ってやつだよ」

え……?

それ、素なの?


俺「そ、そうなんだ……」

うわぁ……知りたくなかったな

もっと知的な感じがしてた気がするのになぁ


佐々木「……そんな事より、君また何かあったね?」

まぁ、何もなければ来れない場所だからね


俺「まぁね」

色々あったよ……


佐々木「君の現実世界の肉体は、既に名前持ちへ馴染みはじめている……と思われる。この状況では君の優先権はかなり低いね。よって何もしないなら、君は次第に消えていくよ」

そんな事言われてもね


俺「今の俺に何ができるって言うんだ?」

残りカスみたいなモンなんでしょ?


佐々木「だから、例え低くても可能性にかけてみようじゃないか」

可能性?


俺「どんな?」

一体どんな可能性があるっていうんだ?


佐々木「それは、まだ言えない」

言えない?


俺「実は、そんな方法無いんじゃないの?」

口から出まかせ言ってるだけで


佐々木「あるよ!」

嘘くさぁ


俺「じゃあ何で言えないんだよ」

おかしいでしょ?


佐々木「今の君に言っても、信じないだろうし必ず否定したくなるからね」

信じられない様な事なのか……

ココで死ぬとか?

いや、それなら漫画なんかでもある展開だし信じられるな


俺「教えたくないなら、まぁいいけどさ」

いずれは消える運命なんだし


佐々木「もう……。それはそうと、君公園で可愛い女の子に会ったって言ってたよいね?」

可愛いか可愛くないかで言えば、可愛かったけど

俺は一言も可愛いとは言ってない!


俺「あ~、あの子ね」

良い子だったよ


佐々木「そう!あんまりに可愛いからって、何か変な事しなかったよね?」

するわけねーだろ⁉


俺「俺はロリコンじゃねーよ!!」

酷い言いがかりだ!!


佐々木「それは良かった……私より先に昔の私が大人の階段を上るなんて、悪夢でしかないからね!」

いやいやいや、心配してたのソコ⁉


俺「そんな事あるわけないだろ……」

ほんと、どういう思考回路してんだよ


佐々木「なら安心だ。君は昔の私に指1本触れてないって事だろ?」

安心しきってるトコ悪いけど……


俺「いや、触れてないとは言ってないだろ」

転びそうになったから助けたし


佐々木「なっ、何!?触れたのかい⁉あの私に⁉」

触れたというか


俺「こう、ひょいっと抱えて」

ジェスチャーをして説明する

だって、転びそうになってたら普通助けるよね?


佐々木「そ、それは……君は昔の私の身体に触れたと、そういう事かい!?」

まぁ、そうだな


俺「うん」

直接肌に触れるような事はないけど


佐々木「しかも、その動きから察するに……胴体を触ったんだね?」

まぁ、その方が安全だからね

手とか掴んだら逆に怪我しそうだったし


俺「そうだな」

結果的に俺が尻餅をついただけだったから、正解だったんじゃないかな


佐々木「破廉恥な!幼女の身体を触るなんて……変態だ!おまわりさーーん!!」

なんでだよ⁉


俺「おい、ちょっと待て!なんでそうなる⁉」

転びそうな子供を助けたら、事案発生か⁉


佐々木「だって、君は抵抗できないか弱い幼女の身体を」

こいつ……!


俺「何勘違いしてんだよ⁉俺は転びそうになったのを身を挺して助けただけだぞ⁉」

さては佐々木さんの本性は、変態だな⁉


佐々木「え?転びそうになった?」

うん、と頷く


佐々木「誰が?」

俺なわけねぇだろ……


俺「小さい佐々木さんがだよ」

あれ、本当に昔の佐々木さんなのか?

あのまま汚れなく成長してほしかったな……


佐々木「そ、そそそ、そうだったのか……!いやぁ、その節はご迷惑をおかけしまして」

やっと理解したか


俺「少しは落ち着きなよ……みっともない」

テンパり過ぎだっての


佐々木「面目ない……でも、しょうがないじゃないか!片思いしてる相手と2人っきりの世界にいるんだよ⁉そりゃ、舞い上がるなって方が無理な話だよ!」

えぇ……開き直りやがった


俺「そうかそうか。でも、落ち着け」

今の所、有用な情報は一切ないんだから


佐々木「そ、そうだね。ちょっと深呼吸するから出て行ってくれるかい?」

なんで⁉


俺「なんで深呼吸するぐらいで出て行かなきゃならないんだよ……」

意味が分からない


佐々木「そんなの決まってるだろ⁉深く息を吸い込んだ時、君の香りが入って来たら心臓が破裂してしまうからさ!」

ホント何言ってんだよ……


俺「あ~、はいはい。出て行けばいいんでしょ」

このノリ、苦手だなぁ


佐々木「十分に換気したら呼ぶから、廊下で待ってて」

はいはい


何か換気しないと深呼吸も出来ないって……俺が臭いみたいじゃん


え?


俺臭くないよね⁉

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