第381話 始末完了

坂本「ひっ……やめ……」

みっともなく尻餅をついて後退る


俺「さっきまでの威勢はどうしたんだ?」

鉄パイプを担いで1歩近寄る


坂本「わ、悪かった!」

今更?


俺「何が悪かったって?」

悪いなんて微塵も思ってないんだろ?


坂本「お、お前らにはもう手を出さない!」

ふ~ん


俺「そんなのは当たり前だよね?」

何言ってんの?


坂本「何でも言う事を聞く!だから命だけは!!」

あ~、なるほどね


俺「それは安心していいよ。殺すつもりはないから」

はね


坂本「何でも言ってくれ、俺の命以外ならなんでもくれてやる!そこの名前無しザコ共だって好きにしていい」

へぇ、あっそ


俺「それも興味ないなぁ」

今の俺にとって、名前無しは脅威ではないからね


坂本「な、何が望みだ?」

望みかぁ

鉄パイプで肩をトントンとしつつ、考える


こいつが2度とこんな事出来ないようにするには、どうすればいいかなぁ?

どうすれば、に心折れるかなぁ


天井を見上げて、思案するをする


坂本「うぅおりゃぁぁぁっ!!」

両手を潰しても、それでも向かってくるなんて……バカなの?


俺の足を狙って蹴りを放つ坂本

その場で垂直跳びをして、あっさりと避ける


完全に不意を打ったつもりなんだろうけどさ


俺「無駄だよ」

その目が闘志を失ってないのは、見れば分かる


何か仕掛けてくるとしたら、それは足技だろ?

今のこいつの体勢で使える足技は、回し蹴り程度だ


わざわざ足の届くギリギリまで近寄ってやったんだ、やってこない訳がない


俺「さて、何でも言う事を聞くって言ったよね?」

追加で蹴りを放とうとしてる坂本を見下ろす

なら、追加で足の1本くらいイッとくか


鉄パイプを振り下ろして、脛を打つ


ガツン!!


ちょっと威力が足りなかったみたいだな

まぁ、ヒビくらいは入ったかな?


坂本「があぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

うっるさいなぁ!


俺「さて、まだやるつもりかな?」

もう諦めてほしいんだけど


坂本「や、やらない!もう、何も出来ない!」

そりゃ、片足だけじゃ何もできないよな

でも、不安だから


俺「そっか、それは良かった。それじゃ、念の為にもう1本の方も潰しておこうか」

蹴りを放った方とは逆の足、左足の膝目掛けて容赦なく振り下ろす


坂本「あああああああああああああああああああああ!!!!」

信じられないって顔してるけど、俺何か間違った事した?


俺「当然、徹底的に潰すよ。だって、君たちみたいな奴は怖いからね」

痛みで涙を零し、鼻水を垂らす坂本


やっと無抵抗になった坂本へ更に鉄パイプを振り下ろす

ドスン、ドスンと鈍い音が部屋に響く


俺と坂本の戦いを見ていた下っ端共は、もう何もできないだろうな


数度殴り、腕がもう痺れてきて殴るのを止める


咳き込み吐血する坂本の耳元へ口を近づける


俺「なぁ、お前さ。自分の名前かけたよな?」

戦う前に、意気揚々とさ


坂本「ひっ……」

そう怯えるなよ


俺「もう負け確定だよな、今から俺を殺すなんてできないだろ?」

坂本「はぁ……ひぃ……」

息が荒いな


俺「なら、お前はもう名前持ちネームドじゃないだろ?」

さて、名前持ちが名前を失うとどうなるんだろうなぁ


坂本「い、いやだ……名前無しになんかなりたくないっ……」

もう遅い


俺「へぇ、名前無しになるのか。それは見てみたいな」


坂本「いやだいやだいやだいやだいやだいやだ」

そんなに嫌がることなのか


俺「でも、残念な事に俺達は忙しいんだよ。お前がどう変化するのか見れなくて残念だよ」


さて、そろそろお終いにしようか


俺「おい、お前ら」

壁際で動けなくなった名前無し下っ端に声をかける


「「「ひっ」」」

そう怯えるなよ


俺「こいつを病院へ運んでやれ」

ほっといたら死んじゃうかもしれないし

殺さないって言っちゃったしな


俺「この怪我はお前らの仕業だ。いいな?」

コクコクと頷くしかない下っ端たち


俺「それじゃ、俺の気が変わる前に行けよ。他の奴等も解散しろ」

一瞬静かになるが釈放を言い渡されて、我先に逃げ出す下っ端たち


きっと、こいつ等は2度とこんな事に手を貸す事はないだろうな

更生してくれたら、いいんだけどな



ボロボロの坂本を数人で支えて運び出したのを確認してから


鉄パイプを捨てて、俺はみんなの元へ行く


目隠しを外された東雲さんと目が合った



なんでかな?

東雲さんの目は敵意に満ちているように見えるな

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