第378話 絶体絶命のピンチ

俺から気が逸れた瞬間、最後の力を振り絞って角材男に拳を叩き込む!!


俺「うおりゃぁーーー!!」

叫ぶだけで、声を出すだけで鋭い痛みが体を駆け抜ける


「ふんぬっ!!」

角材男は確かに油断していた……しかし、まさか……もう1人いるなんてっ

聞いてねーよ……!!

隠れていたのか、いつも間にかその場に居た別の男に

俺の渾身の一撃、最期の一撃はあっさりと打ち払われてしまった


角材男「うわっ」

「はぁっ!」

俺の攻撃を打ち払った男は、流れるように俺へパンチを1発入れてくる


俺「あ゛っ…………」

もう、だめ、だ

一矢報いてやろうと思ったのに、な……


なんか、喋ってるけど、もう何を喋ってるのか分からないし聞こえない


キーンという耳鳴りと、血流のドクドクという音しか……聞こえない


ああ、もうダメか……

後は、頼んだぞ


四季島……

























ふと、意識だけがハッキリする


真っ暗闇の中、身体はもう指1本動かせない


何も見えない、何も聞こえない、何も感じない


でも、これは……どういう事なんだろう


痛みだけは、感じない



頭の中をよぎるのは

南城さんと堀北さんに出会った時


仁科さんと一緒にお菓子作りをした事


妹が俺を想い流した涙


東雲さんの友達になった時




ああ、これが世にいう走馬燈ってやつか


皆の想いを、無駄にしちゃったな……ごめん



もう届かない声、心の中で祈るしかないけど……

























ドクンッと心臓の音が大きく響く


ドクンッと身体が震える


いつもと違う感覚、初めて……ではない?


この感じ、前にもどこかで……思い出せないけど、経験してる⁉



分からない……もう、自分が自分で分からない!!


でも、もしこれが……この感覚が、この状況を打開できるなら

何でもいいから、助けてくれ


皆を助ける力になってくれ!!



俺「うおぉぉぉぉぉ!!!!!!」

声が出た!

良く分からんが、立つ事もできた


角材男「な、なんだコイツ⁉」

「どっから現れやがった⁉」


どっからって、最初から居たろ?


ボス「敵だ!全員でかかれ!!」

号令に合わせて、今まで潜んでいた10人を超える男達が姿を現す

うわー、コイツはやべーなー


痛みは、無い

全体を俯瞰してみる冷静さもある

身体も調子がいい


もしかしたら、コレならヤれるかもしれない


うっし、ダメ元で対抗してみっか


俺「ほら、かかってこいよ」

できれば1人づつ順番に!


「「うおっりゃぁーー!!」」

2人の男が俺に向かってくる

武器は、メリケンサックか

当たったら痛そうだな


先ずは先に1人潰す!

殴りかかる男の腕を取り、肘へ負担がかかるように捻る!

ちょっと力を加えると、バキン!とイヤな音が聞こえる


「う、うぁあ゛ーーーーーーーーーーーーーーー!!」

腕が折れた

正確には肘関節が本来曲がらない方へ曲がった


「やろうっ」

もう1人が敵討ちのつもりか、突っ込んでくる

そんな直情的に殴り掛かってきたって、当たらないよ?


手首と腕を掴んで、そのまま全力で背負い投げをする

勢い良くコンクリートの床へ叩きつけられて、動かなくなった


あっけないな



コレなら……勝てる


そう確信して、俺のがクイっと上がった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る