第240話 Yさんの告白

教室に戻る前に、手を洗い滲む血を洗い流す

ハンカチで押さえて止血し、ちゃんと止まったのを確認してから教室に入る


教室では南城さんと堀北さんが俺の席の近くで待っていた


俺「そんなとこで、どうしたの?」


南城「君が戻ってくるの待ってたんだよ」

何か用事かな?


俺「何かあった?」

いない間に誰か訪ねてきたとか?


堀北「いえ、特になにも無かったわ」

じゃあ何で、わざわざ俺の席で待ってたんだ?


南城「あ、あのね……、相手の子は」

ああ、やっぱ告白ソレが気になってるのか


俺「相手には悪いけど、断ったよ」

本当に、悪い事をした気がしてならない……


堀北「そ、そう」

つい安心した声が漏れるくらい、不安だったんだな


俺「詳しくは、ここじゃ話せないから……また後でね」


南城「うん。でも、話したくない事は言わなくていいからね?」

そんな気遣いをしてくれるくらいなら、普段から周りの視線を気遣ってほしいなぁ


俺「うん。大丈夫だよ。それじゃ次の授業の準備しよ」

教科書とノート出して、宿題の見直しとかしたいし


南城「うん」

堀北「そうね」

二人もそれぞれ自分の席に戻る





今日最後の授業が始まり、つつがなく終わる


帰りの前に担任が、明日のLHRロングホームルームの議題を告げた


担任「あ~、そうそう。明日は体育祭の選手決めするからなー。どの競技に出るか考えておけよー」

……体育祭?

そういえば、そんな話しもあったなぁ……

去年は何してたっけか?

なんか、走った気はするけど……リレーとかじゃなかったよなぁ



ま、いっか!

今はそれよりも、待ち合わせ場所に向かわなきゃな


手紙には校舎裏の花壇、ってことだけど


何か場所に意味ってあるのかな……?



とりあえず、行ってみることにしよう


上履きから靴に履き替えて、グルっと回り込んで校舎裏へ行く



しかし、そこには誰もいなかった……

まだ、来てないのか?

それもと、今度こそイタズラでまんまと騙されたか?


ま、少し待ってみて来ないようだったら帰るか


特にすることもないし、花壇でも見て暇つぶしするか……



ふ~ん……ちゃんと手入れされてるんだな

見たことのある花は……コスモスくらいか


意外といろんな花が咲いてるもんだな


コレって園芸部が手入れしてるのかな

あれ……?

でも、うちの学校に園芸部なんてあったっけ?

聞いたことないな……

まぁ、俺が知らないだけだろ


さてさて……まだ来ないのかなぁ……

ヒマだなぁ


咲いてる花の名前でも検索するか……

え~っと……今9月だろ……それで、花びらが多くて……赤っぽい色と白?かな


「その花はダリアだよ」

突然隣から声が聞こえ、パッとそっちを見ると


「ごめんなさい。お待たせしました、Yです」

この人が、Yさん……?


俺「えっと…初めまして、であってる?」


Y「は、はい。こうしてお話しするのは初めてです!」

おお、なんだろ……凄く新鮮な感じがする!?


俺「そっか。俺は」

自己紹介しようと思ったら


Y「Aくん!ですよね」

その必要はないみたいだ


Y「えと、えと……好きれふ!わたひと付き合ってくだひゃい!!」

あ、噛んだ……


噛み噛みの告白をしながら、直角にお辞儀して手を差し出すYさん



実は最初から断ろうと考えてたんだけど……気持ちが揺らぐな……

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