第211話 仁科さんとロッカーへ

 仁科さんとロッカーの並ぶ場所に来た


仁科「ちょっと待っててね」


そう言ってロッカーを開ける仁科さん


中から取り出したのは、小さな保冷バッグだった


という事は、中身は要冷蔵のお菓子ってことだな!?

保冷バッグの中を確認して、小さく頷く

仁科「うん。大丈夫そう。それじゃ、みんなのとこ戻ろっか」


俺「うん。それ、中身何?」

つい気になって聞いてみた


仁科「ヒミツだよ!でも会心の出来だから楽しみにしててね!」

ほう、それは俄然楽しみになってきたな

仁科さんが会心の出来とまで言う完成度か


俺「そっか。それじゃ早くみんなのトコ戻って食べたいな」


仁科「うん!」


フードコートの方へ二人で向かう俺達の前に、当然の様に立ちはだかるナンパ男たち(4人)

もう、なんか慣れてきたな……

最初の頃は滅茶苦茶オドオドしてたけどさ、もう定番過ぎてさ……


「君可愛いねー!」

「俺達と遊ぼうぜ」

ほんと、それしか無いのかな


仁科「すいません。友達と来てるのでお断りします。行こ」

流れるように断って横を通り抜けようとすると

ナンパ男達は横に並んで進行方向を塞ぐ


仁科「通してください」


「いいじゃん。俺達と遊ぼうぜ」

「友達って女の子でしょ?なら、俺達もまぜてよ」

「みんなで遊んだほうが楽しいって」


仁科「お断りします!そこを退いてください!」

イライラしてきてる?


「なんでよ?」

「いーじゃん」


俺、口挟んでもいい?ダメ?


「ねぇねぇ、ソレ大事そうに持ってるけど何?」

「タカラモノ的な?」

「俺達にも見せてよ!」

仁科さんが抱える保冷バッグに目を付けたナンパ男たちが、無作法に保冷バッグに手を伸ばす


仁科「触らないでください!」

パシーン!と伸ばされた手を払いのける


「ってーなぁ!!」

はぁ……

やっぱりこうなるよなぁ


俺「ちょっといいですか?」


「んだ、てめぇ!関係ねぇ奴はすっこんでろよ!!」

関係無い奴がずっとそばにいるわけないだろ……


俺「そろそろ本格的に迷惑なんで、どっか行ってもらってもいいですか?」


「舐めた口利いてんじゃねぇぞ」


俺「迷惑だって言ってるんですよ」


「迷惑だぁ?お前、いい加減にしないとぶっ潰すぞ?」


俺「そういうの、もう聞き飽きたんで」

塩対応をする俺に、ナンパ男達の怒りが頂点に達する


「殺す!」

ナンパ男の一人が俺に殴り掛かってくる

しかし、その拳が俺に振り下ろされる事はなかった


「何をしているのでしょうか?」

ナンパ男の手を止めたのは……東雲さんのメイドさんだった


「ああ?」

手を振り払おうとしたナンパ男は、次の瞬間

地面に転がっていた


メイドさんが武道か何かの技でひっくり返したみたいだ


「てめぇ!!」

明らかな敵対行動にナンパ男たちが集団でメイドさんに殴り掛かる

男3人がかりで女性に殴り掛かるなんて、プライドないのかな?

……そもそもあったらナンパなんてしないか

殴り掛かった男達の攻撃はその全てを打ち払われて、バランスを崩した男達はメイドさんの技によって地面に倒れ伏した


メイドさんがいるって事は……もちろん

東雲「危ないところだったわね」

いるよね……


俺「……東雲さん」


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