第198話 ナンパ野郎VS

南城さん達の元へ戻ると、険悪や空気に包まれていた


俺「よし、逃げるか」

俺の手にはおえない


妹「良いの?」

良いも悪いもない!


俺「あの中行ったら、十中八九死ぬ」

ほとぼりが冷めるまで隠れていよう


「うぉーーりゃーーーー!!!」

と言う声と共に一人の男が別の男プールに投げ込まれる

しかし、投げ込んだ男もまた別の男にプールへ投げ込まれる

プールへ誰かが投げ込まれると歓声が上がる


そんな意味の分からないケンカをする男達の少し奥に、南城さん達が呆れた顔で立っている


どうしてこうなったのか、聞いてみたい気もするけど

それは安全な時にするべきことだ

つまり、今じゃない


俺「さて、どうするかな……。とりあえず、売店にでも行ってみるか」

ジュースでも飲んで時間を潰そう


妹「先輩達、大丈夫かな?」

そんな、心配するな


俺「大丈夫だ。むしろ俺が行った方が大変な事になる」

さぁ、一旦離れよう

離れる前にもう一度、南城さん達の様子を確認しようとすると

南城さんと目が合った、気がした


俺「まずい……!」


妹「え?」


南城「Aくーーん!!」

なんで声かけるの!?


南城さんが俺に向かって手を振る

堀北さんも二科さんも俺に気付いてコッチを見る


そんな事したら……っ!


男達「「「Aくん~?」」」


その場にいた男達が一斉に俺を見る


あ、死んだな……


ブンブン手を振る南城さんへ片手を軽く上げて返事する


俺「ハハハ……」

乾いた笑いしか出ねぇ……


南城「ほら、一緒に来てる人いるっていったでしょ!私達は彼と一緒に遊ぶから!」

男たちの間を抜けて俺の元へ来る3人の名前持ちネームドの美少女たち

その様子を見る男たちは、みな一様に固まっていた


堀北「楽しかったかしら?」

楽しかった?


俺「え?」

何が?


仁科「ウォータースライダー、行ってきたんでしょ?」

あ~、そっか


妹「楽しかったですよ?先輩達も行ってみますか?」

おいぃ!?

滑ってないだろ⁉

なんで嘘吐くの!?


仁科「へぇ、いいな~!」

良くない!!


妹「でも、先輩達じゃ難しいかもですね」

ん?

どういうことだ?


仁科「どういう事?」


妹「だって、あのウォータースライダーは二人で一緒に滑れるんですけど……それには二人が密着しないとダメなんですよ。先輩達、その恰好でおにぃに密着できるんですか?」

またそうやって煽るなよ!!

ほんと帰るよ?俺帰っちゃうよ!?


仁科さんは自分の着てる水着を見下ろし、顔を赤くする

堀北さんは一番露出が少ない水着だが、やっぱり恥ずかしいのか耳が赤くなる

南城さんだけは、満面の笑みだった……


仁科「その、今回は止めておこうかな」


堀北「そうね。次回にしましょう」


南城「えー!?行かないの!?私行くー!」

やっぱり!?

南城さんって羞恥心ないの!?


堀北「ダメ!」

仁科「ダメ!」

二人に反対される南城さん……


南城「え~?いいじゃん!楽しそうじゃん!」

もちろん、俺も反対だよ!!

楽しめるのは南城さんだけだよ!?


妹「ま、嘘なんですけどね」

やっとネタばらしか……

これは、帰ったらガチ説教タイムだな

母さんにも言いつけてやる!


南城「え?嘘なの?」

仁科「なーんだ」

堀北「そう……そうよね」


はぁ……よかった

これで滑らなくてすむよな


妹「それより、あの人達ほっといて良いんですか?」

俺たちのやり取りとずっと見せられた男たちが、憤りを感じて変なオーラを発している

ように見える


羨望、嫉妬、憤怒、憎悪

変なオーラ、段々黒く暗い色に変わっていってないかな?


その感情、俺に向けるのは間違いだと思うな~!


じゃあ誰に?って言われても困るんだけどサ!!


男「なぁ、俺思い付いたんだけどよ」

男「ああ、お前もか。俺も良い事思い付いたぜ」

男「俺も俺も!」

多分それはやっていい事じゃないからね⁉


男達「「「あの野郎、ぶっ飛ばそう」」」

さっきまでいがみ合ってた男たちは、俺をぶっ飛ばすという目的で意見が一致した

暴力反対!!


俺「あの~、話し合いとかで平和的解決は……?」

奇跡を信じて、念の為提案はしてみる!


男「ほう、俺たちを納得させられると?」

男「ああ、語り合おうぜ。拳でな」

男「俺たちの平和の為に犠牲になれよ」

無理デスヨネー!!


俺「ケンカとかいけないと思うな~」

一歩後ろに下がると、男たちも一歩前に出る


総勢20人ほどの半裸(水着姿)の男達ににじり寄られる……

怖い!怖い!!怖い!!!怖い!!!!

誰か助けて!!


男「大人しくボコされろ。大丈夫だ、すぐに気絶させてやる」

全っ然大丈夫じゃなーい!!!


俺の危機的状況に、原因となった南城さん達は……

まだウォータースライダーについて話していた!?


そろそろ気付いて!!俺を助けて!!



願いは虚しくも届かず

俺は一人、男達からの逃亡を決める


なんで、今日はこんな事ばっかなんだよー!!


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