第192話 妹と昼飯

妹「ありがとね!」

改めてお礼を言ってくる妹……また何か企んでるのか?


俺「それじゃ帰るか」

これ以上の出費は、ラノベ用の金に負担がかかる


妹「えー、もう帰るの?」

用事は済んだだろ?


俺「帰って、一眠りする。変に朝起きたせいで、少し眠いんだよ」


妹「そっかぁ。私お腹空いたなぁ~」

家帰って何か食えばいいだろ


俺「そうか、それは大変だな。家帰って飯食べろ」


妹「もう!おにぃの意地悪ー!」

意地悪じゃねーよ


俺「水着ソレで満足してくれ。これ以上の出費は困るんだ」

趣味のお金が無くなるだろうが……!

ただでさえ明日はプールに行くってのに!


妹「え~、お昼食べてこうよ~!」

何でそんなに外食に固執するんだよ!


俺「だが断る!」


妹「そんな事言うんだ~?」

当たり前だろ!


妹「先輩達にメッセージ送っちゃおっかなぁ」

ああ、送りたければ送れ!

俺が意地悪だって送ったところで、関係ないな!


俺「勝手にしろ」


妹「いいの?『おにぃに水着選んでもらっちゃいました!^ ^』って送るけど」

何だよ、その顔文字……


俺「そんな内容のメッセージ送ってなんの意味があるんだよ」

それでどんなデメリットがあるんだ?


妹「意味ならあるよ。先輩達が私に嫉妬して、おにぃに水着を選んでって言ってくるようになるんだよ!そして、おにぃはそれを断れない!頑張って三人の水着選んであげてね!」

なんだそのピタゴラスイッチみたいな展開……

そんな事ある訳ないだろ


俺「そもそも南城さんはもう買ってあるって言ってたじゃん……堀北さんはそこまで嫉妬しないと思うし、仁科さんは……どうだろ。言ってくるかもしれないな……」

でもまぁ、仁科さんの分を選ぶ程度なら何とかなるだろ


妹「じゃ、送信っと!」

本当に送ったのか


そして、妹の送ったメッセージはすぐに既読が付き返事が返ってきた



千秋 いいなぁ~!私も選んでほしいなぁ!!


春香 私の水着も選んでくれるかしら?


豊  えっ⁉私今さっき買ったばっかなんだけど⁉



妹「ね?」

ね?じゃねーよ!?


俺「で?」

なんだよ?


妹「このままほっとくと、おにぃの方に連絡が行くよ?」


俺「来ても断ればいいだろ」

それくらいは、できる


妹「実際に来ればわかるよ。断れないって」

何言ってんだか


少しすると、本当に俺の方へ電話がかかってきた!?

相手は……南城さんか


俺「はい?」

南城『あ、今大丈夫?』

俺「え、うん。何?」

南城『私の水着選んで!』

俺「いや、もう買ったんでしょ?」

南城『いいの!君が選んでくれるなら、それ着たいし!』

俺「もったいないよ」

南城『もしかして、私のは選びたくない?』

俺「いや、まぁ、なんというか」

南城『ふ~ん。やっぱりシスコン、なんだね……』

俺「そういう訳じゃないよ」

南城『でも、私の分は選んでくれないんでしょ?』

俺「だから、もう買ってあるなら勿体ないって」

南城『そう……そうなんだね……君がシスコンだって春香にも教えてあげないと』

俺「ちが」

ツーツーツー

切れた……

その瞬間、今度は堀北さんから電話がかかってきた


俺「はい」

堀北『私だけど、今いいかしら?』

俺「何かな?」

堀北『今、妹さんから水着選んでもらったって聞いたんだけど』

俺「えっと」

堀北『事実なら、私にも是非選んでもらいたいわ』

俺「…………なんで?」

堀北『決まってるじゃない。君の好みが知りたいからよ』

俺「俺の好み?」

堀北『ええ、そうよ』

俺「特に好みなんて無いけど……?」

堀北『そうかしら?お祭りの日に話した事、ちゃんと私は覚えてるんだけど』

俺「あれは、過去の事だからね?若気の至りってやつだよ?」

堀北『そうかしら?人って簡単には変われないと思うのだけど』

俺「えっと……」


妹「おにぃ!ちょっと来て!」

と隣で妹が大きめの声を出す

なんだよ、今通話中なんだよ!

お前のせいで!!


堀北『今、妹さんと一緒なの?』

俺「あ、うん」

堀北『ふ~ん。そう』


妹「おにぃー!早くー!!」

俺「あ~、もう、なんだよ!?」

スマホから顔を離した瞬間、妹が俺のスマホを奪い通話を切りやがった


俺「お、おい!何してんだよ」


妹「あのまま話してたら、大変な事になってたよ?」

大変な事は、現在進行形で進んでるっての!!


妹「今一状況が分かってないおにぃに、教えてあげる」

なんだよ


妹「さっきみたいにはぐらかしても、明日には同じ状況になるんだよ?それでもいいの?」

よくないから、今通話してたんだろ


妹「それと!明日、おにぃは何で私の水着選んだのか質問されて……三人に詰め寄られるんだよ」

まぁ、そんなのはもう……慣れた


妹「さ・ら・に!私の水着を何を基準に選んだのか質問されるんだよ」

そんなのシンプルイズベストだからだ


妹「きっと、おにぃの答えに満足しない先輩達は勝手に推測を始めるんだよ」

推測って、そんなのしても意味ないんじゃないか?

俺が選んだ基準はシンプルかどうかだけだし


妹「邪推に邪推を重ねて、おにぃの趣味が勝手に決まっちゃうんだよ。例えばパレオが好きとか、青系の色が好きとか、ビキニが好きとか……」

いや、嫌いじゃねーよ?

寧ろ今は、シスコン疑惑の方がヤバイんだよ

お前のせいで洒落になってないんだから!


妹「そして、学校が再開した時にはおにぃの趣味が拡散されてるんだ……先輩達によってね」

なんだよ、それ

そんなの、ただの憶測だろ

実際にそうなると決まったわけじゃないし


俺「ま、まぁ、何だ……そうなったらそうなっただろ…………っくそ、学校行きたくねぇ」

チクショウ!!

どうする?

どうすれば、防げる?

俺の平穏な学校生活は、どうすれば守れる?


妹「一つだけ、そうならない方法があるんだけど……知りたい?」

なん……だと?

あるのか、そんな方法が!?


俺「知りたい」

もったいぶらないで教えろ


妹「それはそうと、おにぃ?お腹空かない?そろそろお昼時だけど」

そうか、最初からそれが狙いかよ……


俺「そ、そう……だな。ファミレスで何か食べるか」

ファミレスなら、安価な物もあるはずだし

お財布に優しいだろ


妹「えぇ~」

マジ金ねぇんだって……


俺「それじゃ……ラーメン屋」

多少高くつくが、致し方無い


妹「はぁ……しょうがないなぁ。ファミレスでいいよ」

なんだ?

ラーメン屋よりファミレスの方がいいのか?


俺「それじゃ、ファミレスで昼食べるか」

くそぉ……


妹「うん!」

現金な奴だな……


俺「それで、方法を教えろよ。どうすればいいんだ?」

それを聞いてからじゃないと、行かないからな?


妹「方法。それは、私が先輩達に『っていう夢を見ました』って送る!」

はぁ?

それだけ?


俺「そんなんで俺の平穏な学校生活守れるのか⁉」


妹「何それ、平穏って……先輩達と一緒に居る時点でそんなのあり得ないでしょ」

何を言う!


俺「学校ではギリギリ平穏なんだよ……むしろ明日の事とか考えると、胃が痛くなる」

休みの日が一番危険だ……


妹「ふ~ん。そうなんだ。っと送信完了!」

俺と話しながら妹がメッセージを送ると

またもやすぐに返事が返ってくる



千秋 なーんだ。夢かぁ


春香 夢で彼に逢えるなんて、羨ましいわね


豊  夢かぁ、危なかったぁ。返品するところだったよ



仁科さんは少し落ち着いた方がいいと思う

何でお菓子作り以外となると、そそっかしいのかな


妹「ね?大丈夫だったでしょ?」

大丈夫じゃねーよ


俺「今後こういった脅しは禁止だからな?もしやったら二度とお菓子作ってやらないからな?」

妹にはコレが一番効果的なんだよなぁ

ほんと、食い気が強くて……昔から花より団子だよなぁ


妹「うん。そもそもこの作戦は何度も使えるものじゃないからね」

作戦って……

他にも何か企んでいそうだな

何で妹との何気ない会話で、人生振り回されなきゃいけないんだか……







妹とファミレスで食事をした後、本屋に寄って新刊チェックをし帰宅した


なんと

ファミレスの代金はちゃんと自分の分は自分で出すと言って、奢らずにすんだ


自分で出すなら、最初から言ってくれよ……

無駄に疲れたじゃねーか

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