第171話 妹へご褒美

お腹一杯食べて帰宅する

お店の雰囲気はとてよかったけど、職人さんの眼が怖かったな……

味は、多分美味しかったんじゃないかな!


父「良い店だっただろ?」


母「ええ、また今度連れて行ってほしいわね」


父「そうだな。次の休暇の時にでも行こう」

なんか会計終わった時の父さん、少し震えてたけど……

これ当分の間帰って来ないんじゃないかな?


母「楽しみにしてるわ」


妹「とっても美味しかったよね」


俺「ああ、そうだな」


父「さて、では私は部屋でゆっくりするとしよう」


母「なら私もお供しますね」


父「いや、私は一人で」


母「ご一緒します」

あ~、そういえば父さんのコレクション検分するんだっけか

父さん、ドンマイ!


俺「それじゃ、俺はお風呂入っちゃおうかな」


妹「あ、じゃあ私もー!」

ん?


俺「じゃ、先に入れよ。俺は後でいいから」


妹「あれ?一緒に入ってくんないの?」

何で一緒に入ると思ったの?

どういう頭してるとそうなるの?


俺「一緒に入るわけないだろ。ふざけてないで入ってこいよ」


妹「むぅ~……」


俺「あんまり変な事言うと明日の祭りは無しだからな」


妹「それはダメ!えっと、じゃあ、先入るね?」


俺「ああ。部屋に居るから出てきたら声かけてくれ」




自分の部屋で一息吐く


あ、そうだ

明日の祭り何着て行くかな……

普段着で良い気もするけど、妹は絶対浴衣着て行くだろうし

俺も浴衣着た方がいいのか?


着ないと何か言ってきそうだな

後で母さんに浴衣何処にあるか聞いておくか


あ~……

何もする事ない!!


最近はずっと宿題漬けだったからな

やる事が何もないと、それはそれで落ち着かないな……


あ、そうだ

撮り溜めたアニメ消化しないと……


俺がアニメを忘れるなんてな


宿題ってやつは、悪い文明だな!!


どうせ妹は長風呂だろうし、一気に観るぞ!!


テレビとレコーダーの電源を入れ録画リストを確認する

え~っと、どれから見るかな……

ま、どうせ全部観るんだしどれからでもいいか


テキトーに再生する


あ~、そうそう!

この凄い気になる所だ!

前話の時

え⁉そこで次週!?

って思ったんだよ

へぇ、なるほど


やっぱアニメっていいなぁ

久しぶりに心から楽しんでる気がする!!



























幾つかのアニメを観たとこで、ドアがノックされる


妹「おにぃ」

頭にタオル巻いた妹がドアを開けてコッチを覗いてた


俺「ああ、出たのか」

さて、俺も風呂入るか


妹「うん」


俺「了解、そんじゃ」


妹「あ、あのね。後で私の部屋来てほしいんだけど、ダメかな?」

ん?

怪しい……怪しいが、最近は大人しいし

そろそろ警戒度を下げてもいいか?


俺「わかった。風呂出たら行くよ」


妹「うん!待ってるね」


さて、部屋着を持ってっと……


階段を下りたら、ちょうど母さんを見つけられた


俺「母さん」


母「これからお風呂?」

よかった、もう全然怒ってないみたい

父さんが何とかしたのかな……


俺「うん。あのさ、俺の浴衣ってどこにあるっけ?」


母「浴衣?もう無いわよ」

あれ?


俺「明日着ようかなって思ったんだけど」

無いの?


母「それはどっちにしても無理じゃない?もうサイズ合わないわよね?」

え?

あ~、そっか……

最後に着たの進学前か……

すっかり忘れてたな

妹が不貞腐れなきゃいいけど……


俺「無いなら仕方ないな」


母「どうしたの?前着た時はイヤがってたのに」

そうだっけ?

えーっと……

あ~、走りにくいしチャリ乗れないしで嫌だったんだよ

そうだ、思い出した


俺「明日、妹と祭り行くからさ。あるなら着ようかなって思ったんだけど、無いなら仕方ないな。普通に洋服着て行くか」


母「そう、明日はあの子と行くのね」

あれ?

てっきり妹が言ってると思ってた


俺「あぁ、うん。約束しちゃったから」

宿題が終わったら行くって……あれ?

約束、したっけ?


母「そう。しっかり守るのよ」

守る?

迷子にならないようにはするけど、守るって何から?


俺「うん?」


母「それじゃ、早くお風呂入っちゃいなさい。出てきたらお父さんに声かけてあげてね」

次は父さんか


俺「はーい」

ま、いっか

さっさと風呂入っちゃおう!











風呂から出て父さんの部屋の前で声をかける


俺「父さ~ん!風呂空いたよー」

返事が無いな……中にいないのかな?

一応ノックしてドアを開ける

中を覗くと、父さんはイスに座ってボーっとしていた


俺「と、父さん?」


父「ん?ああ、どうした?」

何かすっごい疲れてない?


俺「風呂、どうぞ」


父「ああ、うん、わかった」

しかし、動こうとしない……


俺「大丈夫?」


父「ああ、大丈夫だとも……1時間ほど母さんに私の性癖趣味を全て説明しただけだ……何の問題も、ない」

あ~……

それはツライな

きっと母さんの事だから淡々と質問をしてくるんだろうな


俺「そっか……何かごめん。あ、妹に呼ばれてるからもう行くね」

居た堪れなさすぎるって!!


逃げるように父さんの部屋から出て、妹の部屋へ向かう














ドアをノックすると

妹が自分でドアを開け、招き入れる


妹「入って入って!」


俺「ああ」

さて、何の用があるんだ?


妹「えっとね……ご褒美、欲しいなって」

ご褒美?


俺「じゃ、俺は部屋戻るから」

回れ右して出て行こうとすると部屋着の襟を掴まれる


俺「ぐぇっ」

やや下からグッと掴まれると首締まって苦しいんだけど⁉


妹「もう!」

もうって言いたいのは俺の方だからな?


妹「一つだけだから、お願い!」

まぁ、宿題終わったのは妹の助力もあるから

一つくらいお願い聞くくらいは、いいけど


俺「変な事だったら母さんに言いつけるからな」


妹「変な事じゃないよ!はいっ」

俺にドライヤーを突きだしてくる


妹「髪、乾かしてほしいの」

何で俺が?


俺「自分でやった方が良いんじゃないか?」

他にお願いは無いのか?


妹「ううん。おにぃにやってもらいたいの」


俺「それがお願いでいいんだな?」

もっと変な事言ってくると思ったけど

全然そんな事なかったな


妹「うん!こっちこっち!」

どうやら自分の気に入った位置があるみたいだ

座って俺に背中を向けて、振り返る


妹「コンセントはそこね」

とりあえず、言う事聞いてやるか

コンセントに刺してドライヤーの電源を入れる

先ずは手に風を当てて温度を確認する

よし

温風が出るようになったら頭のタオルを外して

手ですくって根元の方へ温風を当てる

ドライヤーをフリフリして全体的に乾かしていく


毛先の方までしっかり乾いたかドライヤーを止めて確認する

よし、乾いたかな


俺「終わったぞ」


妹「えへへ、ありがと」

いつもこんなんでいいなら、楽でいいんだけどな


俺「それじゃ、俺は部屋戻るからな」


妹「うん!」










部屋に戻り、自分の頭はタオルでテキトーに乾かしつつアニメの続きを観る


明日は多分夕方に出るから、昼くらいまで寝てられるよな

それなら……26AM2時までアニメ三昧だ!!

よーっし、一気に観るぞ!!

再生ボタンを押し、流れるアニメを堪能する






結局27AM3時半まで観てしまった……

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