第161話 妹・コーヒー

プリントをやる為に机に向かう

と、その前に……


どっかに隠しカメラが無いかの点検だけしておこう

盗撮の癖があるからなぁ……


俺「まずは……ベッド下とか?」

覗き込むが、何もない


俺「本棚の上?……ないな。あとは、クローゼットか」

中を確認するが、特にそれらしいものは見当たらない


流石に妹もそこまで暴走してないってことか……

よかったぁ


俺「よし、宿題宿題っと!」


机に向かって宿題に取り掛かる


よしよし、この辺は覚えてるぞ


えっと、それで……これは、こうで……うん

分かる分かるぞ!!


2枚目のプリントはスラスラと解ける!!


1枚目の半分くらいの時間で解き終わり、次のプリントへ取り掛かる


俺「3枚目っと」


内容はそこまで難しいわけじゃないんだよな


ただ、量がバカみたいに多いだけで……

まぁ、ペースさえ掴めば出来ないことはないな

妹さえ邪魔に来なければ、ちゃんと終わりそうだ

そう、妹さえ邪魔しに来なければ……


警戒しつつプリントをこなしていく



コンコンとノックの音がする

来たか⁉

どうする……無視するか?

でも、後が怖いんだよなぁ


コンコンともう一度ノックされる

仕方ないな……


俺「なんの用だ?」

ドアを開けると、やっぱり妹が立っている


妹「コーヒー持ってきたよ~」

なんで……妹が?


俺「飲むなら自分の部屋行けよ」

なんでわざわざ俺の部屋で飲むんだよ?


妹「もう!差し入れだよ!!私コーヒー飲まないよ!!」

あれ、そうだっけ?


俺「前飲んでなかった?」


妹「ミルク入れれば飲めるけど……ブラックは嫌い、苦いもん」

そうだったのか


俺「まぁ、どうでもいいか。それじゃ有難く貰っ……いや、一口飲め」

バカな俺でも学習したんだ

例え妹だとしても、薬を盛られる危険がある!!

また睡眠薬とか飲まされたら……

危険すぎる!!!


妹「え⁉ヤダよ!苦いの嫌いだよ!」

やはり、何か盛ったな……?


俺「いいから飲め」

じゃないと安心して飲めないからな……


妹「え~、何で私が飲まなきゃいけないの?おにぃの為に持ってきたのに」

そんな事言っても信用は得られないんだぞ


俺「飲むまで受け取らないからな」


妹「う~、もう……飲めばいいんでしょ?」

よし、飲めるもんなら飲んでみろ


マグカップに口を付け、コーヒーを口に含む


本当に飲んだのか……?


俺「う~ん……?」

まさか薬は入ってない、のか?


妹「うげぇ……苦いよぅ……」


俺「何ともなってない……のか?」

即効性ではない可能性があるのか?


妹「苦くて舌がピリピリしてるよ!もう!おにぃてば何がしたいの⁉」

ふむ……


俺「大丈夫そう、だな。じゃ、貰おうかな」

カップを受け取り香りを嗅ぐ

うん、普通のコーヒーの香りだな

まず、一口……

味も、大丈夫そう……か?

普通のコーヒーだと思う


いくらコーヒーに苦みがあっても薬の味を完全に打ち消すのは不可能だ

と、いう事は……薬が盛られてる可能性はなさそうだな


俺「ふぅ……普通のコーヒーだ」

よかった

変に緊張したせいで喉が渇いたな

ちょうどいいし、これ飲み干しちゃうか

ゴクゴクゴク……


俺「ぷはぁー……はい、ご馳走様」

マグカップを返すと、妹が俺の顔をじーっと見ている


俺「なんだよ?」


妹「う、ううん……何でもない!」


俺「そうか?あ、お替りは要らないから」


妹「う、うん。わかった……うへへ……」

気持ち悪い笑い方するなよ……


俺「じゃ、宿題の続きあるから、また後でな」

ドアを閉めて机に向かい直す


少し、疑い過ぎだったかな

もう少し警戒度を下げてもいいかもしれないな


コーヒーのおかげか、さっきよりペースを速めて進めている

この調子でいけば、今日のノルマは無事に終われそうだな


でも、妹がちょっかいかけてこない保障はない

できるだけ、プリントは進めておこう

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