第117話 両親の告白と大問題

結局眠れず、睡眠不足のまま朝を迎えた

考えてみたが、妹が俺にキスしたのは理解できなかった……

考えても分からなかったんだし、寝ればよかったな

なんだっけ?

バカは考えるだけ無駄って感じのことわざあったよな

なんちゃらかんちゃら休むになんちゃら

やべ、全然分かってない

頭回ってねぇな……

はぁ、だるい



とりあえず顔でも洗ってくるか


洗面台のある1階に下りる


あ、顔洗う前にトイレ行っとこ


1階のトイレのドアを開けると……妹が用をたしていた……?


俺「は?」


妹「え?……いやぁーーーーーーーーーーー!!」

キーーーーンと耳と頭に響く高音の悲鳴


俺「うっるせー……」


妹「もう!早く閉めてよ!!変態!!ド変態!!信じらんない!!ノックくらいしてよぉ!!!」

これでもかと悪態ついてくる妹

あー、イライラする

お前のせいでこちとら寝不足なんだぞ?


俺「あ?ふざけんなよ?ちゃんとカギ閉めてないのがいけないんだろ……」


妹「いいから早く閉めてよ!!もう!!」

これ以上騒がれても煩いだけだな

ドアを閉めて先に顔を洗いに行く


顔を洗ってリビングを覗くと妹がテーブルに突っ伏していた

よし、トイレ空いたな


やっとトイレに入れるな

ノブを捻るが

ガチャ……

クソっ

今度は誰だよ!!


父「入ってるぞ」


俺「父さんかよ!」


父「もう出るから、少し待ってくれ」

言った通りに少しして水を流す音が聞こえ、父さんが出てくる


俺「チッ」


父「急いでたのか、すまんな」


無言のままトイレに入ってカギをかける

はぁ……眠い……


ゆっくりと用をたしてリビングへ入る


母「今日は二人とも早いのね」


俺「ん、ああ。寝てないから……」


母「また徹夜したの?ちゃんと寝ないとダメよ?」

いつもいつも、うっとうしいなぁ


俺「理由があんだよ……」


リビングに家族全員が揃い朝食を食べる


母「この子、ずっとこうしてるけど何かあったの?何か大声出してたけど」


俺「ほっといていいんじゃない?自業自得だから」


父「何か機嫌悪いな……どうした?」


俺「はぁ……父さん、母さん何で妹の事黙ってたの?」

父さんと血が繋がってないって話した時に、一緒に話してくれた方が良かったのに


母「何のこと?」


俺「しらばっくれないでよ。妹を産んだの母さんじゃないんでしょ?」


母「……っ⁉」

父「どうしてソレをお前が」


俺「妹が母さん達が話してるの聞いたんだってさ。その反応からして事実みたいだな」


母「それは……」


父「話さなかったのは理由があるんだ。お前の時もそうだが、もう少し大きくなってから話そうって、母さんと相談して決めたんだ」


俺「でも、もう知っちゃったからさ。隠さないで話してよ」

これは、どういう事なんだよ


母「…………」


父「その、だな。結論から言えば、確かにこの子は母さんとは別の女性の子だ」


俺「それで?」


父「この子を産んだ女性と私は当時付き合っていた。母さんと出会ったのはこの子が生まれた後だ。その女性は持病で体が弱かった……それでも子供が欲しいと、そう言って……この子を産んだ時に、出産に体が耐えられず死亡したんだ……なんとかこの子は助かったが、私にはどうする事も出来なかった……」


って事は、不倫だの不貞行為があったわけじゃないのか

もしあったら父さんだろうとぶん殴るつもりだったけど


父「この子には悪いが、施設に預けて……私は死のうと、そう考えていたよ。この子を見てると思い出してしまうから……儚くも強かったあの女性ひとの事を……」


俺「でも、そうしなかった」


父「ああ、病室に私宛の遺書手紙があったんだ。『もし自分が死んだなら、娘の事を私以上に愛してください。じゃないと許さないです。私は多分、どの道長くは生きられません。だから、貴方に託します。どうか幸せな未来を手にして、笑って暮らしてください』そう書いてあったよ。所々に涙で濡れた跡があったその手紙を読んで……私はなんて身勝手なんだと、思い知ったよ。この小さな命を守り育てよう……そう誓ったんだ」

一度飲み物を飲み、一息つく父さん


父「だがな……彼女の実家からは縁を切られて、実家に連れて帰るしかないと思っていたんだ。そしたら、今ある仕事も何もかもを捨てなければならない。仕事が無ければ食べていく事も出来ない。そんな時、母さんと出会ったんだ」


母「あの時のアナタったら、悲壮感一杯で見てられなかったわ。私も彼を失って困っていたし、少しでも気を紛らわせようと声をかけたのよ」


父「そう、だったのか……」

おい、父さん

そんなんで本当に大丈夫なのか……?


母「それで話してみたら、私とそっくりな状況だったから……もういっその事結婚しちゃいましょうって」

それで結婚しちゃうあたり、ウチの両親って変わってるのかもな……


父「あと、話してないのは」


俺「まだあんのか……?」


父「今となっては最も大事なことだ」

そんな前置きをされて、やっと妹が顔を上げ話を聞く体勢になった


父「この子の母親は、“深窓の令嬢”“可憐なる一凛の百合”と呼ばれていた」

おいおい……それって二つ名だろ……

まさか……⁉


父「彼女は、青山あおやま 瑠璃るり……名前持ちだったんだ」

なんだそれ……


俺「俺と同じ、なのか……」

両親揃って名前持ちと付き合ってたのか⁉

しかも、どっちも先立たれる?

そんなのあり得るのか⁉

信じられない……そんな偶然あるわけないだろ⁉

変な陰謀論者じゃないつもりだけど……これは絶対何かあるだろ⁉


妹「同じ……?おにーのお父さんは」


母「そう、名前持ちなのよ……もう、この世にはいないけどね」


ちょっと待てよ!

それじゃあ、もし南城さんと堀北さんが影響して

俺が名前持ちに変化しそうになってるのが事実なら……


妹も、そうなる可能性があるんじゃないか……?

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