第115話 久々?に父さんと会話

皆と別れた後

帰宅途中で妹は限界に達して、寝落ちしやがった……

仕方ないから俺が背負って連れ帰るしかなく、重い思いをして帰宅する


俺「ただいまー」


母「あら、おかえりなさい、って…どうしたの?」

妹が俺の背中で眠ってるのを見て驚く母さん


俺「寝た」


母「寝てるの?」


俺「そう。はしゃぎ過ぎたんだろ……」


妹「う、ん?おにー?」


俺「起きたか?」


妹「ここは?」

寝ぼけてんな


俺「家だぞ」


妹「お家ついたの?」


俺「そーだぞー、だから降りろ」

起きたなら重いから降りてくれ……


妹「いやぁ、ベッドまで連れてってぇ……」

ったく……


俺「しょーがねぇなぁ」

ガッツリしがみついている妹を剥がすより、連れてった方が楽だろうな


母「ふふ、それじゃよろしくね」


俺「はいはい」

妹を2階の部屋まで運びベッドへ寝かせる


小さなテーブルには勉強に使っていたテキストとノートが広げられたまま置いてある

勉強、頑張ってんなぁ


そーっと寝かせて部屋を出る


階段を下りて、リビングに入ると父さんがまだ居た


俺「あれ?父さん、まだいたんだ」


父「息子よ、そんなに父は邪魔か……?」

え?


俺「あ、そういう意味じゃなくて!いつも帰ってきても直ぐに仕事行っちゃうから」


父「そうか……構ってやれなくてすまないな」


俺「いや、構って欲しいとかじゃなくて」


父「……そうか」


母「それで、今日は何があったの?」

お茶の入った湯呑を父さんに、コーヒーの入ったマグカップを俺に持ってきてくれる


俺「ありがと、母さん。えっと……今日は、南城さんと堀北さんとカラオケに行ったんだけど」


父「今朝の子達か」

そうそう


母「それで?」


俺「あ、うん。店で順番待ってたら妹とその友達が来て」


母「そう、カラオケ行ったのね。お昼前に友達から遊びに誘われたって、飛び出して行ったのよ。よっぽど嬉しかったのねぇ」

よっぽど遊びに行きたかったんだな……


父「その友達というのは……男か?」

そんなの心配する必要ないと思うけど……


俺「いや、女の子達だよ。それで、何か大部屋が用意されちゃったみたいで、どうせなら一緒にって事で妹の友達も込みで」


父「ん?お前……その時、男は」

ああ、そうだよ……


俺「俺一人だよ……ほんと場の空気が女子側に傾いてて、大変だった」


父「そうか……大変だったのか……」


母「あら、ハーレム?って感じで良かったじゃない」

良くねーよ

てかハーレムじゃねーよ!!


俺「そんでカラオケで歌った後は、妹の友達は帰って俺達はゲーセンに行ったんだよ」


母「いつもいつも同じ様な感じね。ちょっとは変えてみたら?」


俺「俺の提案じゃねーよ。俺は付いて行っただけ」


父「すでに尻に敷かれてるのか……将来、大丈夫だろうか……」

なんでそうなるんだよ⁉


俺「まぁ、そんな感じで遊んで解散した。帰ってくる途中でアイツが体力の限界に達して、寝落ちした」

ったく、体力の管理くらいちゃんとしとけよなぁ


母「そう。よっぽど楽しかったのね……」


父「まぁ、楽しんでたなら良かったよ……」


俺「それと、四季島の奴とまた少し話したよ」


母「何か言ってた?」


俺「ああ、俺が名前持ちにならないで済む方法を聞いたよ」


父「そうか。それで?どんな方法なんだ?何か私達に手伝える事はあるか?」

あれ?父さんにも話したっけか?

あ、母さんが話したのか……当たり前だよな


俺「方法は、俺が名前持ちから距離を取ること」

中々に難しい事だ

南城さんも堀北さんも俺を落とそうと近寄ってくるからなぁ


母「そう。……私の方から言ってあげようか?」

確かに母さんが言えば効力はありそうだけど


俺「いや、いいよ」

話がこんがらがっても面倒だし

もう一つの方法もあるし


母「そう?でも」

大丈夫だよ、母さん


俺「もう一つ、方法があるんだって」


父「そうか!それは良かった」


俺「ああ、ホント1つだけしか方法がなかったらどうしようかと思ったよ」


母「それで、もう一つの方法は?」


俺「俺が特定の異性と付き合う、だってさ」


母「そんなっ……そんなのどうすればいいのよ……⁉⁉」

なんでそんな絶望してんの⁉


父「心苦しいが……あの二人に母さんから距離を取るように何とか頼めないか?」

なんで父さんまで⁉


俺「なんでそんな反応なの⁉」


母「だって、アンタ…あの子達と付き合うつもりないんでしょ?」

そりゃ、まだ好きになってはないし

そんな中途半端な気持ちで付き合うのは良くないって流石の俺でも分かる


俺「まだ、付き合いたいとは思わないから。そんなの……不誠実かなって」


母「やっぱり、付き合わないんじゃない!期限が決まってるんだから、出来るだけ早く決めないといけないのよ?」

そんな大げさな


俺「大丈夫だって、きっと良い人見つかるさ」

頑張って、社交性を身に着けて素朴な感じの子に告白するんだ


母「そんな、呑気な……」


父「とりあえず、夏休みまでは見守るが……それまでに何の成果も上げられなければ、母さんと父さんも手を出すからな」


母「お父さん!そんな悠長なこと言ってたら」


父「息子を信じて待つんだ。親として、守りたい気持ちも……分かるつもりだ。だが、今はまだその時じゃないと私は思う」


俺「父さん、ありがと。夏休みまでって何か意味はあるの?」

ただ単に期限を決めた方が気持ちが入るってことかな


父「夏休み後は、カップルが増えるだろ?そしたらお前がどんな事をしても、裏目に出ると思う。だから、それまでだ。それまでに、好みの女性ヒトを見つけるんだ」


俺「わかった。それはそうと、何か食べるのない?」


母「何か食べてきたんじゃないの?」


俺「カラオケで軽くつまんだけど、足んなくてさ」

ポテトとか唐揚げだけじゃ、さすがに足りないんだよな


母「そうね、すぐ出来るのは……パスタかしら」

お、いいね


俺「作ってもらってもいい?」


母「いいわよ。あの子は大丈夫かしら?」

あ~、もしかしたら腹減って起きてくるかもな


俺「聞いてこようか?」

寝てるだろうけど


母「う~ん…起こすの可哀そうだから、何か冷めても大丈夫そうな物用意しておくわ」

さすが母さん


俺「それじゃ、パスタよろしく」


母「はいはい。すぐ作るからちょっと待っててね」

キッチンへ行く母さんを見送ると

父さんがボソっと発言する


父「いいか?尻に敷かれるのは、悪くはないが自由が欲しいならちゃんと話し合えよ?」

なんだ、そのありがたくないアドバイスは……


俺「うん?まぁ、気を付けるよ」


父「いつか、分かる日が来る……」

哀愁漂う雰囲気の父さん……なんか、やたら実感がこもってたな


父「そうだ。明日は何か予定はあるのか?」

明日?


俺「ないよ。久々にゆっくり出来る日の筈だよ」

ほんと最近は色々あり過ぎて、疲れちゃうよなぁ


父「そうか……どっか行きたい所とか無いか?」

行きたい所?


俺「ないない。明日は何もしないでダラダラ過ごすんだ」


父「そう、か」


そんな会話をしてる内に母さん特製パスタが出来上がる

具はあったりなかったりで、味はバターと塩胡椒や醤油

あり合わせの物で出来るお任せパスタだ


何気に癖になるんだよなぁ

俺的おふくろの味ってやつかな


パスタが来て食べていると父さんは自室に行ってしまい

母さんは妹の夜食予定の物を作りにキッチンに戻っていく






リビングで一人で食べる夕飯は、少し寂しい気がした

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