第106話 打ち合わせはトイレで

教室へ到着すると四季島と目が合った

これはチャンスかも!

わざと大きめの声で

俺「ちょっとトイレ行ってくるね!」


カバンだけ机に置いて教室を出る

四季島!頼む、気付いてくれ!!



一番近いトイレへ歩いて向かう

気付いていれば、そろそろ追いつくはず……





来ないな

気付いてもらえなかったか……

くそっ……



一人トイレに入る

数人の男子が入れ替わるように出て行く


偶然にもトイレには俺一人だけ

四季島が来てくれれば、完璧だったのになぁ



別に催してるわけでもないし、少し時間潰して教室に戻るか


今日の放課後は南城さんと堀北さんとカラオケか……

カラオケ自体は問題ないんだけど、今日じゃなくても良いのにな


さて、そろそろ戻るか

ドアに手を掛けた時、勢いよくドアが開き四季島が入ってきた⁉


俺「し、四季島⁉」


四季島「ふぅ、間に合ったか。お前のサイン自体は気づいていたが、女の子達が中々離れてくれなくてな」

いや、トイレ行ってくるって言えば済むだろ?


四季島「本当に参ったよ。トイレに行くって言った途端、具合が悪いんじゃないかって無駄に心配してくれたもんだから……」

お、おう……

そこまで心配されるのも大変だな


俺「そろそろ戻ろうと思ってた所だったから、来てくれて助かったよ」

じゃないと、休み時間の度にトイレに来るはめになるところだった


四季島「それで、何か話があるんだろ?」


俺「ああ、今日の放課後なんだが……南城さん達とカラオケに行くことになった」

どうにかして断る言い訳を教えてもらわないと


四季島「帰っていいか?」

なんでだよ⁉


俺「待てって、何で帰るんだよ」

こっちは困ってるんだぞ?


四季島「そんな自慢話を聞かせるために呼び出されたとは思わなかったよ」


俺「自慢じゃなくて、困ってるんだって!何とかして断れないかな?」

じゃないと、お前とゆっくり話もできない


四季島「なんで断るんだ?行ってこいよ」


俺「いやいや!俺達まだ話さないといけない事がたくさんあるだろう!?」


四季島「……そうだったか?」

とぼけるんじゃねーよ!!


俺「まだ打開策とやら聞いてないんだが⁉少なくともそれだけは聞かないと!」


四季島「落ち着け、ちょっとした冗談だ」

冗談に聞こえないっつーの!!


俺「それで、打開策ってなんだ?」

すぐに話してくれ!

そろそろ教室に戻らないと変に思われるだろ


四季島「ふぅ……よし、俺もカラオケに行く」


俺「はぁ~~~~⁉⁉」

何言ってんのコイツ!?


四季島「それじゃ、カラオケでな」

それだけ言って四季島はトイレを出て行った


え?

マジで何?

どういうこと?

カラオケに行けってこと?

でも、何で?

まさか一緒にカラオケ行くの??

それはイヤだよ⁉

何で名前持ち3人とカラオケに行かなきゃならないんだよ……⁉


キーンコーンカーンコーン


あぁっ!!

予鈴鳴っちゃったじゃん!!

俺も急いで教室戻らないと……!!!


急いで教室に戻ると

心配そうな表情を向けてくる南城さんと堀北さんと目が合った


大丈夫と小さくジェスチャーをしておくけど……伝わったかなぁ



自分の席に着き今日の授業が始まるのを待つ




















そして昼過ぎに今日の授業が終わる

そう、今日は土曜日だ

半日しか授業はない

よって、自由に遊べる時間は普段より多い


南城「終わったね~。で、カラオケどうする?」

とりあえず四季島の奴もカラオケ行くって話だし


俺「行こっか」


堀北「ふふ、楽しみね」


南城「よーし!いっぱい歌うよ~!!」

ほら!四季島!こっち来い!!

いつもみたいにサラッと混ざりに来い!!


おい!何で来ないんだ⁉

お前もカラオケ来るんだろ⁉

おい……まさか、お前……俺のこと騙しやがったのか⁉


南城「それじゃ早く行こっ!!」


俺「う、うん」

くそがっ……


堀北「どうかしたの?」


俺「ううん、何でもないよ。行こうか」


こうして俺は南城さんと堀北さんと一緒にカラオケに向かう事になった


四季島……覚えていやがれ……この怨み、いつか絶対晴らしてやるからな……!!

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