第101話 新事実の発覚?

四季島「お前は、自分のことをmobだと思っているみたいだが……mobんだ」

ただのmobじゃ、ない?


俺「それ、どういう意味だ?」

mobに特別も何もないはずだろ

だからこそのmobだ


四季島「俺も最初は信じられなかったが、お前のDNAには少なからず名前持ちのDNA、N-DNAタイプが含まれている」

名前持ちのDNA?

そんなモノあるの?


俺「なんかのジョーク?」

意味分かんなくて、まったく笑えないんだけど……


四季島「通常の名前無しmobのDNAはM-DNAタイプのみなんだが、何故かお前の中にはN-DNAタイプが含まれているんだ。割合としたら少ないが、確実に名前持ちしか持っていないモノが」


俺「ちょっと待ってくれ、さっきから何言ってんのか分かんないんだけど」

理解できるように言ってくれよ


四季島「そ、そうだな。すまない。まず、俺達名前持ちはN-DNAタイプという特殊な遺伝子を持って産まれてくるんだ」

N-DNA……


俺「それ以外は名前持ちじゃないってことか?」

それ以外…つまり俺たちmobだよな?


四季島「そうだ。名前持ちが生まれながらにして特別っていうのは、そういう事だ」


俺「でも、お前は前に言ったよな?後からでも名前持ちになれるって」

明らかに矛盾してるじゃないか


四季島「後から…つまり後天的に名前持ちになる方法……それは一番簡単で合法的なモノで移植手術だ」

移植……手術!?

それが簡単って、んな訳ねーだろ?

ドナーなんてどうやって探すんだよ?


俺「じゃあ、何か?山田が率いてった奴らは全員その手術を受けたとでもいうのか?」

あの人数全員を?


四季島「山田……?ああ、あの時のやつか。アイツの手下については検査した結果、山田の血を飲んで一時的に名前を得ていたに過ぎないんだよ」

血を……飲む?


四季島「因みにあの時のSPは、合法的な手段で苗字を獲得した者たちだ」

合法的ってことは


四季島「全員が移植手術によって苗字を得たんだ……しかし、いきなり苗字を得たせいで人生が狂った……。そんな者たちを父上が見つけてSPとしてスカウトしたんだ」


俺「苗字を得て、人生が狂った……のか」

プラスになるイメージがあるんだけどな

苗字とは言え、紛れもない名前持ちだろ?


四季島「そうだ。苗字を、名前を得た結果どうなるか分かるか?」


俺「いや、わかんないな」

だって俺名前ないし


四季島「一番顕著なのは、家族から距離を置かれることだ」

家族から?

なんで一番近い人たちから距離取られるんだよ

どうしてそうなったかも知ってるはずだし、一番の理解者じゃないのか?


四季島「わからないか?想像してみろ、お前の妹がいきなり苗字を得て帰ってきたら……お前ならどうする?」

妹が苗字を……ねぇ

家に常に名前持ちがいるって事だろ?

うむ……



例え妹でも

俺「絶っ対にイヤだな……」


四季島「容赦ないな、お前……妹と仲良いんだよな?」


俺「悪くはないけど、名前持ちになったら……もう妹とは思えないな」

それは全く別の、妹だった誰かだ


四季島「まぁ、そういう事だ……それぞれ事情は違うが、苗字を得て人生が狂った者たちはゼロではないという事だ」

そうか……

そんで、俺がただのmobじゃないから同じような事になるって?

でも、俺は手術歴も無いし誰か名前持ちの血を飲んだこともない

おかしいじゃないか


俺「ちょっと待てよ。俺は手術も何もしてないぞ?」

なんで俺の中にそのN-DNA?とかいうのがあるんだよ……


四季島「それについては……残念ながら原因不明だ、お前の中にあるN-DNAが少なすぎてそれ以上は分からなかった」


俺「わからないのか?」

検査したんだろ?


四季島「ああ、すまない」


俺「そうか……」


四季島「そして、問題は今のお前だ。現状近くにN-DNA持ちが複数人いるだろ?」

お前を含めれば……4人か


四季島「そのN-DNA持ちが近くにいることで、お前の中に眠っていたN-DNAが活性化してきているんだ」

はぁ?中二病かよ?

隠された力が覚醒するってか?

アイタタタタタタ!


四季島「このまま活性化が進めば、1年以内にN-DNAが完全に発現することになる。そしたら、お前は……名前持ちになる」

名前持ちになるって、そんなのあり得ないだろ……


俺「そんな話し聞いた事ないな。実は俺の事からかってる?」

こんな壮大な設定練ってまでからかうとか、暇人かよ


四季島「もし揶揄うなら、もっと違う話しにするさ。名前無しが自然に名前持ちになる……これは前例のないことだ。だから、まずはお前と二人だけで話したかった」


四季島「検査の裏付けのために、いくつか質問してもいいか?」

裏付け?


俺「答えられるか分からないぞ?」


四季島「もちろん、答えられる範囲でいい」

ならいいか

頷いて先を促す


四季島「まずは家族構成だ。母親と父親と妹とお前で合ってるか?」

頷く


四季島「祖父母も名前無しmobで間違いないか?」


俺「たぶんな。会ったのはガキの頃だけど、名前無しmobだったぞ」


四季島「そうか……。早産だったとかはないか?」

う~ん?

そうざん?


四季島「わからないか。じゃあ、幼児の頃に大ケガしたとか病気だったとかは?」

記憶にはないなぁ


俺「覚えてないな……そういう話しなら母さんが知ってるはずだぞ?」


四季島「そうか……君の母親なら確かに何か知っていてもおかしくはないか」

まぁ、生みの親だしな


四季島「そうか……よし、これからお前ん行くぞ」

えぇ~……


俺「今度にしないか?」

正直めんどくさいんだよなぁ

意味分からん話ばっかで疲れた


四季島「そ、そうだな……すまん。気が急っていた……」


俺「そんじゃ話しはもう終わったし、もう帰ろうぜ」


四季島「帰る前に連絡先を交換しておこう。お前の都合のいい時に呼び出してくれ、すぐにお前の家に行く」

え……

やだなぁ……四季島の連絡先とか一生使いたくないんだけど……

有無を言わさず連絡先を交換させられる


四季島「それじゃ、連絡待ってるぞ」

部室を颯爽と出て行く四季島を見送る






あれ?ちょっと待てよ……?

打開策を聞くはずだったのに……全然聞けてないじゃん⁉

どうすればいいのか全然分かってないままじゃん⁉

あ~……もう、何なんだよ!!

四季島めぇ……

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