第99話 四季島……お前……

四季島「それで、打開策というのは……っともう時間がないな。遅刻扱いになるのは良くないし、一旦教室戻るぞ」


俺「え?打開策は?」


四季島「あとでじっくり話す時間を取ろう」


俺「絶対だぞ?教えてくれないと……」


四季島「教えないと、なんだ?」


俺「泣くぞ。ガキみたいにわんわん泣くぞ」


四季島「そ、そうか……それは、困るな……お前みたいな男に泣きつかれるなんて、絶対にイヤだ」


俺「なら、絶対に教えろよ」


四季島「もちろん教えるつもりだから、そこは心配しないでほしいんだが」

コイツ、すぐ女子と一緒にどっか行くからな……

信用できん


俺「とりあえず、教室戻るか」

歩きながらでも、少しは話しが出来るしな


四季島「そうだな……。お前、俺のこと信用してないだろ」


俺「ああ」

もちろん信用してないよ

沢山の女の子侍らせてる奴なんて信用できるか


四季島「どうして、そこまで俺のことを信用してないんだよ」

わからないのか?


俺「はぁ……あのなぁ、お前みたいなモテ男を信用する男子なんているわけないだろ?」

まったく……これだからモテてる奴は……


四季島「……お前にだけは言われたくないぞ!ヒロイン3人も独占しといて……」

独占してるつもりは無い!!


俺「俺は独占なんてしてないからな⁉」

いいか⁉

俺は3人を独り占めにしたいだなんて、これっぽっちも思ってない!!


四季島「それは知ってるが、周りから見たら同じことだ。お前はもう既にモテ男の仲間入りを果たしてるんだ、自覚しろ」

いやだ!俺はただのmobだ!

断じて憎きモテ男ではない!!

一緒にするな!!!


四季島「それはそうと、昼休みか放課後のどちらか時間とれるよな?」

そうだ、俺の危機の打開策聞き出さないといけないんだ!!


俺「じゃ、じゃあ昼休み……はダメだから放課後にしよう、うん」

昼休みに教室を離れれば……また南城さんと堀北さんの意味の分からないバトルが勃発しちゃう……

それは回避しないと……


四季島「だが、放課後どうやって二人っきりになる?出来れば彼女達には聞かれたくない案件なんだが?」

そうだな……

何か言い訳考えないとな


何かないかな……………あ、そうだ!

あるじゃん!ちょうどいい絶好の言い訳が!!


俺「文芸部の部室なら人も少ないし、南城さん達には来ないでって頼めば大丈夫だと思う」

我ながら妙案だと思う!


四季島「文芸、部……?」

あれ?

四季島も知らないのか


俺「文芸部なら、ほぼ部員もいないしうってつけだろ?」


四季島「すまないが、文芸部なんて聞いたことないぞ?」

まぁ、メチャクチャマイナーな部活みたいだしな

俺が見つけたもの偶然だったし


俺「部活棟の最上階の一番奥が部室だから、そこで落ち合えばいいな?」

説明するには簡単なんだけど、わざわざ行くのは面倒という凄い場所なんだよな


四季島「そこに部室があるのか。わかった、俺も出来るだけ早く向かおう」

よし、とりあえずの打ち合わせは終わりだな

ちょうど教室も見えてきたし……廊下に南城さんと堀北さんが待ってる


俺「それじゃ、放課後な」


四季島「ああ」

小さな声でやり取りし、会話を終える


四季島「千秋ちゃん、春香ちゃんお待たせ」


南城「四季島くんを待ってたわけじゃないよ?」


堀北「私たちは彼を待ってたのよ?」


四季島「そう、だよね……ハハ」

うわぁ……

俺も大概だけど、二人は何でそんなに四季島に強く当たるんだ……?


南城「お話しは終わったの?」


俺「うん。終わったよ。あ、そうそう……今日の放課後は部活に行くから一緒に帰れないんだ。ごめん」


南城「そうなの?」


堀北「部活って文芸部だったかしら?」


俺「うん。最近まともに行ってなかったからさ」


堀北「そう。私たちは行っちゃダメなのかしら?」


俺「あ~、うん。遠慮してくれると助かるな。もう一人の部員が人見知りみたいだから、堀北さん達が来たら倒れちゃうかも」


堀北「そう。君がそう言うなら今日は千秋と一緒に帰ろうかしら」


南城「う~ん、部活ならしょうがない、かな」

コレで放課後の件は問題が無くなったな


四季島「千秋ちゃん、恋っていうのは離れている時間も必要なんだそうだよ?」


南城「四季島くん、何言ってるの?」


四季島「春香ちゃんはそんな感じの事、聞いた事あるよね?」


堀北「ええ、そうね。会えない時間があるからこそ、一緒にいる時がより幸せを感じられる。って本で読んだことはあるわね」


南城「へ~、そうなんだ。春香が言うなら本当なのかな……じゃあ、今日は君と一緒に帰るのは諦めるね」


俺「ごめんね」


ふぅ……

さすが四季島だなぁ

恋のいろはを良く知ってる……

あとは、放課後になるのを待つだけだ

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