第92話 助手役終わり!

レシピノート3に記されたガトーショコラの作り方

所々に専門用語が出てきて、はっきり言って意味が分からない!

どーすんだよ…これぇ……

なんでコレ見て分かるって思ったの⁉


俺「仁科さ~ん⁉」


仁科「何かな?」

ボウルで何かを混ぜながらこっちに来てくれる仁科さん


俺「コレ、全然分かんないんだけど⁉」


仁科「え?そう?どこ分かんない?」


俺「ここと、ここと、こっちと、コレと」

もう分かんない言葉多すぎだって!


仁科「あ~、そっか…その辺分かんないかぁ……。じゃあさ、ここまでなら分かるんだよね?」

まぁ、そこまでならなんとか


俺「一応は分かるけど」


仁科「じゃあ、ソコまで進めておいてくれる?出来たらまた声かけて、その都度教えるから」


キーンコーンカーンコーン

やべ、もう昼休み終わりか⁉

ってことは急がないと放課後までに間に合わない⁉


俺「了解、やってみるよ」


仁科「うん!よろしくね」

終始かき混ぜながら話しをして、戻っていく


俺「すぅ~、ふぅー……よし、やるか」

考えても分からないなら、考えるだけ無駄だよな

時間も勿体ないし、とりあえず手を動かそう


レシピに従って作業を進める

分からない所に来たら仁科さんに聞く

また作業を進める

分からない所は聞く

進める、聞く

進める……聞く

進める…………聞く




そうして作業を進めていき、なんとか焼く前の所まで辿り着く

焼き時間や設定温度はレシピに書いてある

それに従い、設定し、スタートボタンを押す

あとは焼き上がるのを待つだけかな


仁科「お疲れ~!」


俺「お疲れ~」


仁科「いやぁ……君の手際が段々良くなっていって、教えてる私の方が楽しくなっちゃったよ!」

そういうものか……?

あ~、でも……南城さんと生チョコ作った時、楽しかったかもなぁ


俺「それは何よりだ。のおかげで俺も色々勉強になったよ」


仁科「せんせい?」


俺「そう、先生。だって俺は仁科さんの助手なんでしょ?」

今日だけだけどね


仁科「へへへ……先生なんて呼ばれたの初めてだよ」

まぁ、そうだろうな


俺「師匠の方が良かった?」


仁科「う~ん……先生、師匠、先生、師匠」

そんな悩まなくても……


仁科「あのさ!名前+先生と名前+師匠で呼んでみてくれない?」

なんでそんなことを?

まぁ、減るもんじゃないし良いけどさ


俺「えっと……仁科先生と、仁科師匠」

なんか少しハズイな


仁科「違うよ!下の名前!」

下の名前?

なんだっけ……さっきクッキー食べた女子が言ってたよう……

えーっと……

あ、思い出した


俺「豊…先生?と豊師匠?」

コレ、苗字より何倍もハズイなぁ!!


仁科「ゔっ……」

呼んだ瞬間、仁科さんがふらつく


俺「大丈夫⁉」

貧血か⁉

偶に妹も同じようにふらつくんだよな……


仁科「う、うん。だいじょーぶ……もう一回、言ってくれる?」

なんで⁉


俺「それは、ちょっと」

恥ずかしいから拒否するよ


仁科「そっか……少し残念。でも、まぁ、いっか。これ以上は私の精神が持ちそうにないし」

なら何でもう一回なんて言ったの⁉


そうこうしてる内に5時限目が終わり休み時間になる


また試食担当が来るのかと身構えたが、家庭科室へ来る人は誰もいなかった

ちょっと拍子抜けするな


仁科「えっと……気持ち切り替えて、仕上げしていこう!」


俺「了解」


仁科「うん……。それじゃ、私が指示するからお手伝いよろしくね」

お手伝いっていうか、なんていうか

トータルしてみると、俺にマンツーマン授業してくれてただけみたいな感じがするな


俺「もう一踏ん張りだよね?」

流石に体力的に厳しいよ?


仁科「そうだね!今日作るモノはコレで最後だよ!頑張ろう!」

よし、最後が分かればまだ何とか頑張れそうだ


俺「おう!」








仁科さんの指導の元

ケーキの仕上げ作業をし、チョコレートケーキ尽くしの作業は終わりをみた






仁科「お疲れ様!後は私に任せて、少し休んでて~」

あ~……終わったぁ~!!!

と同時に今日の授業の全てが終わった合図のチャイムが鳴る




何か忘れてるような……

なんだったっけなぁ~?

外からガヤガヤと賑やかな声が聞こえてくる

早くも運動部の一部が騒ぎ出したようだ


あ!部活だ!

最近全然顔出してないから忘れてた!!

顔だけ出してくるかな~


俺「仁科さん、ちょっと部活行ってきていい?最近顔出してなかったから」

何かできる事あれば、そっち優先でいいんだけど


仁科「いいよ~。でも帰りは一緒に帰りたいな」


俺「あ、うん。顔出したらすぐ戻ってくるつもりだから」

どうせ幽霊部員だし


仁科「いいの?」


俺「うん?全然問題ないよ」

部員の子も幽霊部員みたいだし、会えたら謝ればいいし会えなければメモ書いておけばいいだろうし


仁科「じゃあ、待ってるね」


俺「うん、ちょっと行ってくる」


すっごく久々な気がするなぁ

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