第70話 南城さんの決意表明

結局、朝まで眠れなくて徹夜してしまった……


さて、どうするか……

多分休みの連絡は母さんが入れてくれるはずだし


寝る、かな


ベッドへ入ると、さっきまで全然無かった眠気が不思議と襲ってきた







どれくらい眠っていただろう……

ふと目が覚めた

枕元に置いてある目覚まし時計に目を向ける

12時……か

昼飯、食べようかな……

体を起こす、掛布団の足元が重く何かに引っかかる


その何かは、人だった……

何故俺の部屋に居る⁉

訳が分からないんだが⁉


ねぇ⁉南城さん⁉⁉


南城「う、ん……あ、起きた?」

あ、起きた?……じゃねーよ⁉


俺「えっと、何でここに?」


南城「えっとね……君に会いに来たんだよ?」

俺に?

昨日、あんなこと言った俺に?

あ、そうだ!

謝らないと!!


俺「南城さん、昨日はごめん!!」

ベッドの上で土下座をする


南城「え、なんで君が謝るの⁉」

そりゃ、あんな暴言吐いたんだし


南城「先に謝られちゃった……君に謝ろうと思ってたのにな」

俺に謝る?

なんで?


南城「改めて、ゴメンね。私たちが……ううん、私が関わって大変な目に遭って、凄いストレスだったよね……なのに気付かないで、浮かれて……君が消えなくて……ほんと、よかったぁ……」

なんで

そんなこと

名前持ちなんだから……そんな事俺の存在なんて気にしないでいいのに……


俺「その、昨日俺が言ったのは」


南城「うん。本当なんだよね。初めて私達への君の本音が聞けたんだよね」

ゔっ……

今更嘘って言っても無駄かな


俺「その……俺は……」

なんて言ったらいいんだ……


南城「いいよ、君には君の考えがあるもんね。でも、一つ覚悟しておいてほしいんだ」

覚悟……

なんだろ?


南城「私は諦めないって決めちゃったから……絶対に君を振り向かせてみせるから、覚悟しててね!」


これは……大変なことになりそうだ……

俺を振り向かせるって言っても、どうするつもりなんだろ

まったく想像できない……


南城「まずは手始めに、こう!」


勢いをつけ俺へ抱き着く南城さん


俺「え⁉ちょ⁉」

何してんの⁉


南城「隙あり、だよ。これが私なりの作戦、私なりのアピール方法」

ちょ、待って!

そんな抱き着いて耳元で囁かないで!!


南城「大好きだよ……」


うぁっ、くそ……こんなシチュ……

俺の好きなラノベみたいじゃねーか……


揺らぐな……俺は……mobだ

名前持ちとは釣り合いの取れない背景の一部なんだ

南城さんの肩を掴み引き剥がす


俺「南城さん……心臓に悪いから、止めてもらえないかな」


南城「ふふ、じゃ続きは今度ね」

続き⁉

いらないよ⁉


南城「あ、そうだ。ご飯食べる?」

そうだ、昼飯……

母さんなんか用意してくれてないかな?


俺「そうだね。着替えてから下りるから、先行っててくれるかな?」


南城「うん。待ってるね」

素直に部屋を出て行ってくれたか


さて、着替えるか

外出の予定はないし、部屋着でいいかな

普段着てるラフな恰好に着替えてリビングへ向かう


ドアを開けてリビングへ入るとエプロンを付けた南城さんが出迎えた


俺「その格好は?」


南城「えへへ、私がお昼ご飯作るからね。ちょっと待っててネ」

ウインクをしながら、そう言った南城さんにそこはかとなく不安を感じる……

前に遊園地行った時、料理苦手とか言ってなかったっけか?


俺「大丈夫?」


南城「たぶん!」

不安しかない!!


俺「よければ手伝うよ?」


南城「え、でも」


俺「酷い言い方しちゃったから、そのお詫びとしてね?」

なんとか手を出しても大丈夫な言い訳が欲しい

じゃないと食材が勿体ない


俺「どうかな?」


南城「えっと、じゃあ、お願いしようかな」

よしっ!!


俺「うん。一緒に作ろう」

セーフ!

これで昼飯にありつける&食材が無駄にならないで済む!!


俺「それじゃ、何作れるか冷蔵庫確認しよっか」


南城「ハ~イ!」





俺が教える

簡単!お昼ご飯の作り方講習が幕を開けた

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