第68話 脱出方法

佐々木「それで、これからどうしよっか」

まさかのノープラン⁉


俺「ここから出るには何が必要なんだ?」


佐々木「ん~……執着、かな?」

執着⁉


俺「執着でどうやって帰るんだよ」


佐々木「ん~……強く強く強く、願う感じ?」

感じって……また曖昧な……


俺「強く願うって、どれくらい」


佐々木「帰れるくらい?」

なんでさっきから疑問系なの⁉


俺「よくわかんないんだけど」


佐々木「そう?今までの人は皆それで伝わったんだけど?」


俺「え?」

俺以外にもいたのか⁉


佐々木「結構いるわよ?でも、う~ん……名前無しmobが来たのは初めてかな?」

え……?mobは初めて?


佐々木「ここって強い未練とか無いと来れない場所だからね?普通は名前持ちしか来れないと思うんだけどね~」


俺「そう、なんだ……」

そんな名前持ち程強い未練なんてあったかなぁ……


佐々木「まぁ、今まで来なかったってだけだから。きっと来れないってわけじゃないんだよ、きっと」

そういうものか


俺「そんで、今まで来た名前持ちはどんな未練を抱えてたんだ?」


佐々木「う~~ん……男の子だと、好きな子に告白したい、とか?あとは~……童貞のまま死にたくないとか?」

なんだその理由は⁉


俺「そんな事なのか……」


佐々木「君は?告白したい人とかいないの?」


俺「いないよ」

むしろ断りたい事ばっかだよ……


佐々木「ふ~ん。じゃあセッ○ス?」

ちょっ⁉

何言ってんの⁉


俺「そんな訳ないだろ⁉」

ったく…可愛い顔して何て言葉言うんだよ……


佐々木「ふふっ、そんなに驚かなくてもいいのに……可愛いなぁ」

かわっ……⁉

ふつーに驚くっての!


俺「それ以外は?なんか無いの?」


佐々木「う~ん、そうだなぁ……あとは、罪悪感かな」

罪悪感……


佐々木「目一杯死にたくなるほどの罪悪感を抱いてみるの」

え?払拭じゃなくて?


佐々木「罪悪感のせいでこっちに来る人もたまーに居るの、その人達の殆どは罪悪感を捨てて消えていくの」

罪悪感を捨てると消える?


佐々木「でも、やり直したいと言うか……まぁ、許されなくても謝りたいとか?そんな感じで未練を辿って帰る人もいたわね」

許されなくても謝りたい、か

分かる気がするな

きっと誰かを傷付けて、後悔して、謝りたくても謝れない

それな強烈な後悔が、未練になったんだ


佐々木「君にもいるのかな?」

そうだな……

あの場にいた全員が、謝りたい人だ

俺の暴言で傷付けただろう人達に謝りたいんだ


佐々木「謝りたいなら、謝るといいよ。今の君ならまだ間に合うから」

まだ間に合う?


佐々木「私の肉体は消えちゃったから、もう戻りたくても戻れないんだよ?でも、まだ君の肉体は残ってるでしょ?なら謝るために帰らないとね?」

佐々木さんの体はもう、無いんだ……

もしかして、成仏し消えたいってのは……もう帰る事ができないから……?


佐々木「私の事は気にしないで、早く帰りなさい!」

え……もう少しだけ話しを……

あれ?

なんか急に眠くなって……


佐々木「思い出して、君が謝りたい人たちを。君の帰るべき場所を」

俺の謝りたい人……南城さん堀北さん仁科さん妹母さん

俺の帰る場所……あの家に帰らないと……俺の家、に


視界は暗くなって意識が混濁していく

上下左右の感覚が曖昧になり、まるで眩暈でも起こしたような気持ち悪さだ


佐々木「向こうの私にもよろしくね?こっちでの記憶は残んないだろうけど……」


最後に佐々木さんが何か言っているけど、なんでだろ……理解できない……





























浮遊感で体が強張りビクッとする

恐る恐る目を開けると、見覚えのある天井だった

いつの間にか、眠ってしまったようだ


何か夢でも見てたような……

なんだろ……

女の子が出てきた気がするんだけど


あ、そうだ!

母さんに……みんなに謝らないと

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