第51話 妹様の部屋へ

二階の妹の部屋へ向かう

妹は滅茶苦茶、朝弱い

よって俺が起こしに行くこともよくある事だ


俺「入るぞー」

ドアを開けて中へ入る


まさかの出来事である

妹は起きていた⁉


俺「起きてたのか」


妹「もちろん、起きてたよ?」

やや怒気を孕んだ言い方だ

何怒ってるんだ?


俺「なら、早く下りてこいよ」


妹「あのね、おにー?」


俺「どうした?」


妹「いくら家族だからって!!着替えてるんだから出てってよ!!」

ああ、そんなことか


俺「今更だろ?」


妹「いいから!出てってよ!!」

モノを投げるな!

危ないだろ⁉


俺「わかった!わかったから、時計とか投げんな!危ないだろ⁉」

ドアの外へ退避して、もう一度声をかける


俺「早く下りてこいよー?」

ドンッ!!とドアに蹴りでも入れたような音の返事が返ってきた

全く、どうしてあんな乱暴に育っちまったんだか

昔は着替え手伝って~って言ってきてたのになぁ

はぁ~……



しばらくして妹は下りてきた


妹「あのね、おにー?女の子には準備に時間がかかるものなの!」

女の子、ねぇ……


妹「今、女の子って所で何か失礼な事思ったでしょ⁉」

よくわかったな

鋭いぞ


妹「だから、多少遅れても待ってないとダメなの!いい?」


俺「はいはい。分かったから、さっさと始めようぜ」


妹「絶対分かってない……」

と、いうかノックせずに入ったのは良いのか?

ソッチの方が大事じゃね?


妹「それと、コレ。作り直しておいたから」

おお!見やすく簡潔になってる⁉


俺「サンキュー、かなり見やすくなってるな」


妹「当たり前でしょ!おにーのセンスのなさに比べたら普通よ」

そんな言うほどセンスない⁉

地味にショックなんだが……

BとDには受けがいいんだけどなぁ


俺「そうか……」

いや、気持ちを切り替えろ

人には向き不向きがあるんだ!


妹「一応確認しといてね、間違ってると大変だし」


俺「了解。んじゃ、コレ見ながら作るか」


すでに俺たち兄妹の恰好はエプロンに三角巾、と何時でも調理が開始できる



調理開始!


妹の作ってくれたレシピは見やすくちゃんと注意点も書いてある

うん、コレなら問題ないな


妹「えーっと次は……」


俺「ああ、ソレとソレ混ぜるんだよ。それと混ぜる時は掬うようにな」


妹「あ、うん」

こいつ、菓子作る時だけやたら集中してんだよなあ

そんな緊張するようなモンでもないだろうに


妹「できた……」


俺「どれどれ」

妹の作ったモノを覗き込む

うん、ちゃんと混ざってるな

チョコの塊も見当たらないし、ちゃんと溶けてるみたいだ


妹「お、おにー……近いよ……」


俺「ん?どうした?」


妹「近いって言ってんの!もう……」


俺「おう、すまんすまん。しっかり作れてるみたいだし、後は冷やすだけだな」


妹「もう……。それじゃ、一度部屋戻るから……来たら呼んでね」


俺「おう、頼むな」

妹はスタスタと階段を上がって部屋へ戻った


さて、と

俺は残りの片付けと二人の分の材料の用意するかな



時間は~……あ、ヤバ⁉

もうそんなにないじゃん!

間に合うか⁉





うおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!









はぁはぁはぁ……


ど、どんなもんだい……


間に、合ったぞ!


さすが俺!やれば出来る!



少しだけ休憩を……


ピンポーン


くっ……休めなかった……


俺「はーーい!」


玄関を開ける


南城「来たよー!」


堀北「おはよう」


俺「うん。ささ、入って」


南城「うん!」


堀北「お邪魔します」


南城さんは手提げのバッグ、堀北さんはなんとリュックを背負ってきていた


俺「とりあえず、リビングそっちで待っててくれるかな?」


南城「はーい」


俺は階段を上がり、妹の部屋へ入る


俺「おーい。二人が来たぞー……」

あ、またやっちまった……


妹「あのさ、おにー?」

さすがに二度目となると……


俺「す、すまん……!!」


妹「もう!何でそうやって何の躊躇いもなく入ってくんの⁉⁉」

一先ず部屋を出る!


てか、なんで着替えてんの⁉

朝着てたのでいいじゃん⁉

エプロンしてたから汚れてないだろ⁉


俺「はぁー……意味わかんねぇ……」





階段を下りてリビングへ行く


南城「な、なんかあったの?さっき大声聞こえたけど……?」


俺「大丈夫大丈夫。ちょっと妹が騒いだだけだから」


堀北「何があったの?」

そこ気になるの?


俺「え?あ~……部屋にノックせずに入ったからさ」

怒ってた理由は別だけど……怒鳴った理由はコレだからな


南城「ダメだよー?妹さんも女の子なんだから!」


堀北「なにか分からないけど、心配ね……」


スタタタタと階段を下りる足音が聞こえてくる


俺「やっと下りてきたか」


リビングに入ってきた妹の姿を見て、俺は固まった



おまっ……なんでそんなカッコしてんだよ⁉


南城「わーーー!可愛い!!」


堀北「ええ、可愛いわ……」


何故か妹の服装は朝着ていた部屋着ではなくなっていた

普段見ないような、お洒落な服装をしている……だと⁉


妹「えへへ、ありがとうございます!」

うっわー……めっちゃ猫被ってる……


南城「ねぇねぇ!どうしたの⁉どっかお出かけ?」


堀北「出掛けちゃうの?」


妹「いえいえ、違いますよ~。今日は兄さんの手伝いをしますので。先輩方、よろしくお願いしますね」


堀北「そうなの?」


俺「あ、ああ。俺一人だと、教えるのも限界があるから助っ人を頼んだんだ」


南城「いいなぁ、妹ちゃんいるの~」


俺「別にそんなによくないよ」


妹「兄さん?」


俺「いや、なんでもないよ?」


堀北「えっと、勉強はどうする?」


妹「わざわざすみません。生チョコは冷やす時間があるので、その時にお願いできますか?」


堀北「わかったわ。よろしくね」


俺「さて!ではでは、始めますか」


南城「はーい!先生!お願いしまーす!」

せ、先生⁉


堀北「ふふ、そうね。今日の彼は先生ね……私もそう呼ぼうかしら、妹さんは助手さんかしら」


俺「や、やめ」


妹「助手?……兄さんの、助手……いいかも」

なんで助手って呼ばれて喜んでんだよ⁉

わかんねーな……


南城「せんせー!まずは何からしますか!」


俺「まずはしっかり手洗いして」


南城「はーい!」

くっ、南城さんめ

先生とか呼んで俺のことからかってるな……⁉


しかし、俺は屈しないぞ!


そんなあだ名とか二つ名とか付いたら嫌だからな!

全力で抗わせてもらう!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る