第50話 俺の家でお菓子作りする会

今日は約束の日曜日

南城さんと堀北さんを家に招いて生チョコを作ることになっている

時間はまだ朝の8時半くらいだ

こんな早くに起きているのには訳がある





時間は少し戻り、昨日の夜の出来事だ




俺は冷蔵庫にある材料を確認し、普段作っているレシピも態々書き起こしメモを作った

準備は万全

そう思っていた……

しかし、一つだけ忘れていたことを思い出した

妹に堀北さんが勉強を見てくれると伝えてなかったのだ


とりあえず、妹の部屋まで行きノックする


妹「なーにー?」

ドア越しに室内から声が帰ってくる


俺「俺だけど、今いいか?」


妹「なに?今勉強してたんだけど…?」


俺「すまん、明日は出掛ける予定とかあるか?」


妹「ないけど、なに?」


俺「明日、南城さんと堀北さんが来るんだ」


妹「ふーん。私邪魔なんだ……」


俺「は?」


妹「二人も女の子連れ込むなら妹は邪魔だもんね」


俺「いや、どっちかっていうと家に居てほしいんだけど」


妹「はぁ⁉何?私が居た方がいいの?おにーって変態⁉」

へ、変態⁉

どういう思考してたらそんな話になるんだ⁉


俺「ちげーよ⁉どーしてそーなった⁉」

こいつ、何か変な勘違いしてんな⁉


俺「いいか、よく聞け?明日、堀北さんがお前の勉強見てくれるって言ってきたんだ。俺はそれを伝えにきたんだ。……理解できたか?」


妹「……それなら、最初っからそう言ってよ!!もう!!」

ぽかぽかと叩いくる


俺「痛っ、やめっ、悪かったって!」

ぽかぽか


妹「もう!信じらんない!」

ぽかぽか


俺「悪かったって!そんな叩くなよ」


妹「それで……なんでウチに来るの?私に勉強教えてくれるのは次いででしょ?」


俺「明日は、二人に生チョコ作りを教える事になってんだよ」


妹「なんで?」


俺「話しの流れで……かな」


妹「おにーってさ……実は二人の事好きなの?」


俺「そんなわけないだろ⁉恐ろしいこと言うなよ⁉」


妹「恐ろしいって……」


俺「ま、そういうわけだから」


妹「それはそうと、おにー一人で教えられるの?」


俺「大丈夫じゃないか?」


妹「私に教えてくれた時だって、けっこー大変そうだったじゃん?」

そうだっけ?


俺「そんな大変そうにしてた?」


妹「してたよ!」

そうか……

少し楽観視し過ぎてたか……?


俺「どうしよう……」

不安になってきた……

誰かの手を借りるか?

母さんとか、手伝ってくれないかな……


妹「お母さんは明日予定あるって言ってたよ?」


俺「あ~、さっき聞いたな……」

一線越えるならちゃんと責任取りなさいよ?とか

くだらない事一緒に言ってきたせいで、記憶から排除してた


俺「うーむ……どうするかなぁ……手伝ってくれそうな人なんて母さん以外いないぞ……」


妹「う、うん!」


俺「どうした?喉の調子悪いのか?」


妹「…………」

ん?なんか怒ってる?

さっきから怒りっぽいけど、疲れてるのか?


俺「疲れてるんじゃないか?」


妹「はぁ~……なんでそうなるの?おにーって鈍いよね……」


俺「は?え?」


妹「わ・た・し・が!手伝ってあげるって言ってるの!」


俺「でも、お前勉強があるだろ?」


妹「たまには息抜きも必要なの」


俺「いいのか?」


妹「いいの!!」


俺「すまん!恩に着る!!」


妹「明日の準備は終わってるの?」


俺「ああ、準備は終わってる。あ、そうだちょっと部屋来てくれ」


妹「え~……」


俺「じゃ、少し待っててくれ。取ってくるから」

妹の部屋の前から数歩の距離の自室へ戻る

すると、何故か妹が背後についてきていた

来ないんじゃなかったのかよ

まぁ、いいけどさ


机の上の紙を1枚妹へ渡す


妹「これ、レシピ?」


俺「うん。明日用に用意した」


妹「何これ……めっちゃ細かい……」


俺「出来るだけ必要な事詰め込んだんだぜ!」

かなり頑張った!

クッキー作るよりよっぽど難しかったんだぞ?


妹「これじゃ、よくわかんないと思うよ?」


俺「何⁉こんなに丁寧に書いたのに⁉」


妹「丁寧にって……ただの情報の羅列でしょ?こんなの見ても作れないよ」

ど、どう言う事だ⁉


俺「何がいけないんだ?」


妹「うーん……全部?」

……全部、だと?


妹「むしろ良くこんなに詰め込めたよね」

俺の頑張りは……無駄だった、のか……


俺「作り直す、か……」


妹「うーん。おにーってこういうセンス全然ないんだね……」

妹よ……今の発言はグサッと来たぞ


俺「でも、レシピは必要だしな……」


妹「しかたないなぁ、私が代わりに作ってあげる」


俺「勉強は」


妹「しつこいよ!息抜きも必要なの!おにーは明日のイメトレでもしててよ!」


俺「わ、わかった……」


妹「明日は何時に来るの?」


俺「10時半頃だけど」


妹「なら、私と練習するくらいは時間とれるね」


俺「練習?」


妹「私は、おにーほど上手にできないから……だからもう一回教えてよ。いいでしょ?」


俺「あ、ああ。それはもちろん良いけど」

まぁ、朝早めに準備始めれば間に合うけど

起きれるのか?

あんまり早起き得意じゃないだろ……妹よ


妹「それじゃ、明日の朝はリハね」

リハってリハーサルの事か?

変な言い回し覚えたな~……


俺「おう、それじゃ明日の朝な。ちゃんと起きろよ?」


妹「だ、大丈夫だもん!ちゃんと起きれるもん!」


俺「そかそか」

ま、本人がこんだけ自信満々に言ってるんだし大丈夫だろ


さーて、いよいよ明日は本番だ

俺がミスしたら大変だし、気を引き締めて頑張らないと!!






なんて事があったんだが……

予想通りというかなんというか、妹が部屋から降りてこない

やっぱり、俺が起こしにいかないとダメなんだな

手のかかる妹様だよ

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