ブラッディマリーさんの力を借りて誰にもバレずに絵画を船から盗み出します

ミュル「動画を見てるみんな〜!こんばんは〜!怪盗のミュルで〜す!」


ミュル「今、私は船内に……ではなく、なんと!自分の部屋にいま〜す!イェ〜イ!」


ミュル「………ということは?そう!みんなが考えている通り……絵画を船の外に持ち出すことに成功しました〜!」


ミュル「……え?『そこの部分をなぜ動画にしないのか』って……?」


ミュル「えっとね……まぁ……単純に撮れ高がないからしないだけよ。なぜなら……」


ミュル「私はから!」


ミュル「………今、『は?』って思ったでしょ?『何を言っているんだ』って」


ミュル「実はね……まぁ、話すと長くなるんだけど……昨日の動画が終わって色々考えたのよ。それはもう頭が擦り切れるぐらい!」


ミュル「だけどね……だけど!どう考えても見つからなかったのよ!バレずに絵画を船の外まで運び出す方法が!」


ミュル「途方に暮れたわ………もう駄目かもって何度も思った……だけど……」


ミュル「だけど!閃いたのよ!ひとり……ひとりだけいたのよ!この無謀な計画を達成できる人物が!」


ミュル「………ということで、今回はとある人物と協力して絵画を持ち出す所をみんなに見て貰おうと思います!」


ミュル「それでは………どうぞ!!」



*



ミュル「動画を見てるみんな〜!こんばんは〜!怪盗のミュルで〜す!」


ミュル「ただ今の時刻……午前4時……夜中なのか朝方なのか分からない時刻です……」


ミュル「なぜこんな時間に動画を撮っているのかといいますと……助っ人を呼ぶためです!」


ミュル「動画を見ているみんなはきっと頭の上に疑問符ハテナが思い浮かんでいると思う!」


ミュル「えっとね……助っ人は助っ人でも人間じゃないの!お化けなのよ!」


ミュル「これを聞いてさらに分からなくなっていると思うけど………」


ミュル「えっと……なんて説明すればいいのかしら……そうね………」


ミュル「みんなは『ブラッディ・マリー』って知ってる?あの夜中に鏡を見たら出てくる幽霊!」


ミュル「察しのいい視聴者ならもう分かると思うけど………今回はその方を呼んで盗んだ絵画を運んで貰おうと思います!」


ミュル「『なぜ彼女に頼むの?』って思っている視聴者も多いと思う!」


ミュル「それはね……まぁ、これから分かるわ!」


ミュル「ではでは、明け方にならない内に……」



(両開きのドレッサーの前に立つ。鏡には蝋燭の淡い炎に照らされているミュルの不安気な顔が際立って写っている)



ミュル「では……行きます……l


ミュル「ブラッディ・マリー、ブラッディ・マリー、ブラッディ・マリー……」



(しかし、鏡の前にはミュル以外何も写らない)



ミュル「………失敗?」


ミュル「もう一回やってみようかしら……ブラッディ・マリー、ブラッディ・マリー、ブラッディ・マリー!!」


ミュル「……出ない。ならもう一度!」



(それから何回もやってみたが、彼女以外の顔が出る気配がなかった)



ミュル「……はあ……疲れた……」


ミュル「時間帯が悪いのかしら。でも、どうしようもないし……」


ミュル「ちょっと疲れた。少しだけ寝よう……」



(蝋燭の火を吹き消し、部屋の電気をつける)



ミュル「さて……」



(寝ようと思ったベッドの上にオフホワイトのレースドレスを着た赤髪の女性がうつ伏せに横たわっていた)



ミュル「きゃあああああああ!!!」


???「うへえええええええええ!!!」



(赤髪の女性がミュルの悲鳴に飛び跳ね、ベッドから転げ落ちる)



赤髪の女性「いたた……今何時だと思ってるのよ。あまり大声出すと隣の部屋からドンドン叩かれるわよ」


ミュル「知らないわよ!そんなことより……あなた誰!?何処から出てきたの!?」


赤髪の女性「え?あなたが呼んだんじゃないの?」


ミュル「はぁ?……え?………あっ……もしかしてあなたが……」


赤髪の女性「そうよ。私はブラッディー・マリー。鏡に出没する幽霊」


ミュル「えっと……その……何処からきたの!?ドレッサー前に立っても何も出てこなかったわよ!?」


マリー「バスルームから」


ミュル「バスルーム!?なんで?!」


マリー「だって……怖かったんだもん。『あ、誰か私を呼んでいる』と思って来てみたら……真っ暗闇にボンヤリとお化けみたいな顔が写っていたから………」


ミュル「あなたもお化けでしょ」


マリー「あ、それもそうか」


ミュル「全く……まぁ、いいわ。とりあえず、私のお願いを聞いてちょうだい」


マリー「その前にお腹空いた」


ミュル「厚かましいわね」


マリー「じゃぁ、帰るわよ」


ミュル「はい、メニュー」


マリー「う〜ん……どれも美味しそうね………」


ミュル「あなたって幽霊なんでしょ?食べなくても生きていけるんじゃないの?」


マリー「何も生まれながらに幽霊やっているわけじゃないの。私だって幽霊こうなる前は普通のお嬢様だったんだから」


ミュル「なるほど……食の楽しさは生死関係ないってことね」


マリー「そういうこと……よしっ!決めた!ボーイ呼んでちょうだい!」


ミュル「その前に一仕事お願い」


マリー「食べた後にして」


ミュル「すぐ終わるから!すぐ!」


マリー「はぁ……何よ」


ミュル「この風呂敷に包まれているものを……鏡の中に入れて運んで欲しいのよ」



(ミュルはマリーにこれまでの経緯を全て話す)



マリー「なるほど……あなた、あの猫の知り合いだったのね」


ミュル「これからあなたの居場所になる住処アパートを一見するついでに……お願い!」


マリー「……じゃぁ、ルームサービスで一番高いもの頼んでいい?」


ミュル「どうぞ!どうぞ!好きなだけ頼んでちょうだい!お金はいくらでもあるから!」


マリー「よしっ!決まりね!やってやろうじゃない!」


ミュル「ほんと!?ありがとう!」



(ミュルは自分の住所と部屋の特徴を伝えると、マリーに大事な絵画が入っている風呂敷を渡す。彼女が戻ってきたのはそれから僅か30分後のことだった)



マリー「ただいま」


ミュル「え!?もう戻ってきたの?!」


マリー「以外と簡単に見つかったわ。もうちょっと綺麗に掃除しなさい」


ミュル「やかましいわね。まぁ、その様子だと無事私の家に届いたみたいね」


マリー「じゃぁ、頼んでもいい?」


ミュル「どうぞどうぞ!約束は約束だし、好きなだけ食べていいわよ!」


マリー「やった〜!ありがとう!……あ、だったらホテルの最高級レストランに行きたいわ!」


ミュル「……は?……え?ルームサービスじゃなくて?」


マリー「運んでくるついでにこの船を色々回ってみたの!そしたら良いレストランがいっぱいあるのね!」


ミュル「うん……そうだけど……でも、今の時間帯じゃぁ朝ご飯しかやってないわよ」


マリー「そう……じゃぁ、この船のレストランのモーニングを食べましょう!」


ミュル「はあああああ!?」


マリー「あら?悪い?」


ミュル「あ、あぁ……うぅ……い、いいわ」


マリー「ありがと〜!じゃぁ、さっそく行くわよ〜!」



(それからマリーの赴くがままに船のレストラン全てを周り、朝食メニューを端から端まで食べ尽くした。そしてマリーの提案で昨日盗みを行ったカジノにも寄り、散財して宿泊部屋に戻った)



マリー「いや〜、美味しかったわね!」


ミュル「……私の財布は空腹だけどね」


マリー「満足!満足!今日はありがと〜!じゃぁね!」



(そしてマリーは幸せそうな顔をして鏡の中へ飛び込んでいった)



ミュル「………はぁ………」


ミュル「私の200万が……彼女の娯楽のために……」


ミュル「……はい。ということで……無事絵画を外に持ち出すことに成功しました……」


ミュル「でもなんだろ……この気持ち……全く嬉しくない……」


ミュル「はぁ……終わります」



✳︎



ミュル「…………はいっ!如何だったでしょうか?」


ミュル「ブラッディ・マリーにお願いしたのですが……その結果、私がカジノで勝利して手に入れた200万?いや、もっとか……が、全部溶けてしまうという結果になってしまいました」


ミュル「ほんとに凄かったのよ、彼女の胃袋!『そんな細身でよく詰め込めるわね』って何度も思ったわ!はぁ……」


ミュル「あと、ギャンブルに対する熱意がすごい!私が何百回もやめようと言っているのに彼女は聞く耳を持ちやしない!その結果、残ったのは金貨1枚だけ……カジノで遊ぶ前に戻ってしまったじゃない!ふざけないで!」


ミュル「はぁ……まぁ、いいわ。この絵画で大金を手に入れてウハウハになってやる!」


ミュル「………ということで、この動画が面白かったら高評価とチャンネル登録よろしくね〜!バイバ〜イ!」

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