初生放送の翌日

【日常編】Chapter1 失態

「やっちまったー!」


 彼女は頭を抱えながらしばらくの間何回も寝っ転がっていました。


 幾重もの警察の手を掻い潜り、見事絵画を盗むことに成功しました。が、その盗むシーンが煙幕のせいで全く撮れていなかったのです。


 さらにそれだけではなく、盗んだ絵画がお目当の物とは全く違っていました。


『私はジャン=バティストの絵画が欲しかったのに、何でモッサの絵画を盗っちゃったの!?』


 悔しさのあまり何度も足をばたつかせたり、側にあるクッションを振り回したり叩いたりしていました。やがて、体力が無くなりますと畳の上で大の字になり、立てかけてある絵画に視線を向けました。


 盗んだ絵画は彼女が想像していた物とは裏腹にかなり不気味な物でした。


 何百人もの死体が山積みにされ、その上に艶めかしく座る裸体の女性が描かれていました。彼女は見た目は幼い子供にも魅惑的な成人にもみえ、何かを訴えるような瞳で真っ直ぐこちらを見つめています。


『こんな絵、誰か買い取ってくれるかしら』


 そんな疑問を抱きつつも写真を撮り、売買サイトに出品してみました。


 すると、10分も経たないうちに買い手が見つかりました。しかも破格の高値で買い取る交渉を持ちかけてきたのです。


 あまりの金額の高さに若干動揺しましたが、今後の家賃や食費などを考えた結果、受諾することにしました。


『物好きな人もいるのね』


 そんなことを思いながら出品の掲示を終了させた後、何となく絵画に視線を向けてみました。


 心なしか絵の中のは先程よりも少しだけ微笑んでいるように見えました。

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