第113話「火縄銃女子高生、跳ぶ」

 西暦二〇〇四年、冬木市の高校。

 英霊・ゴンサロ・フェルナンデス・デ・コルドバと火縄銃女子高生が屋上に現れた。

 火縄銃女子高生はゴンサロ・フェルナンデス・デ・コルドバ(一般人が想定する十五正規のスペイン王国の将軍を指す言葉。塹壕戦の父とされる)よりもずっとこの英霊は生前の祖父の姿に似ていると思っていたが、英霊コルドバは火縄銃女子高生のことを覚えておらず、ただ「マスター」と他人行事に呼ぶだけだった。しかしどういうわけか塹壕戦の狙撃手アーチャーとしての自分の戦い方を「好みでない」と発言するなど、どこか生前の祖父の面影を思わせる言動・行動が目に付いた。

 だが火縄銃女子高生はコルドバにそれ以上は深く訊くことはできず、とにかくすごい高さの屋上から飛び降りてアーチャーに着地を任せた。

 コルドバに受け止められながら、火縄銃女子高生は幼き日に祖父に抱かれた感触を思い出していた。

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