第107話「幕間――はかせの異常な愛情」

 企業のネットが宇宙を被い、電子や光が駆け巡って、国家や民族がなくなるほど情報化された遠未来――

 柳生十兵衛、ゴリハルト、はかせらの叛乱によって甚大な被害を受けた〈時空管理局〉が現れた。

 〈時空管理局〉ははかせ(一般人の想定するレールガン女子高生を監視する悪のはかせを指す言葉。本作でまだ明らかにされていないたいていの真相は知っている)よりもずっとレールガン女子高生の方を危険視していたため、まさか組織内部から時空管理局に攻撃を仕掛けるものがいるとは思っていなかった。


 ――ブラックホールを含むあらゆる天体は、その天体それぞれが持つ脱出速度というものが存在する。たとえば、第二宇宙速度は地球からの脱出速度を指すし、第三宇宙速度といえば、これは太陽からの脱出速度を指す言葉である。

 ニュートン物理学の範囲内でブラックホールについて説明するならば、ブラックホールとはこの脱出速度が光速を超える天体を指す。ゆえにこの天体は光さえもその重力から逃れることができない暗黒星ブラックホールと呼ばれるのである。

 だが脱出速度が光速を超えるということは、裏を返せば光速さえ超えることさえできれば、ブラックホールの事象の地平面シュバルツシルト面から脱出する糸口が摑めるということを意味する。

 この時代の素粒子物理学では、二十世紀にその存在が予測されたタキオンと呼ばれる虚数質量を有する素粒子が発見されており、このタキオンの速度が光速を超えることは、アインシュタインの特殊相対性理論と矛盾しない。

 つまり、このタキオンを利用することで、時空管理局は特異点に落ちることなく事象の地平面の内部に静止することが可能となっていたのである。時空管理局からはかせたちが奪ったUFOも、この素粒子を使った超光速航行タキオンドライブが可能であったため、ブラックホールから脱出することができたというわけだ。

 ――そして、はかせたちが超光速航行を実現したということは、同時にはかせたちが過去への時間移動をも可能となったことを意味する。


「やられましたね、主任。まさか類人猿ゴリラや江戸時代人にああまでやられるとは思ってもみなかった。はかせにしても、ただの駄菓子好きの子供だと思っていたらとんだ食わせ者ですよ」


 諸星隼人はあちこちの機能を破壊された時空管理局の復旧作業にあたりつつ、主任の真船に話しかけた。


「そして特異点に落ちて御陀仏になるところだった我々を救ったのが、他ならぬ〈長井零路〉だったというのがまた気に食わない。我々は彼女を捕まえなきゃならないはずなのに、今や彼女は我々の命の恩人というわけだ」


 諸星隼人は嘆息する。だいたいレールガン女子高生が一体どうやって自分たちを救ったのかさえ、依然として不明のままなのだ。

 タキオン制御装置はEMP攻撃で完全に破壊されていた。そんな中で時空管理局が、一体どうやって軌道上で静止できているのか、神ならぬ我々に判るはずもない。

「神か――」

 諸星は真船から渡された例の報告書を思い出した。


【確定された事項】


 ・レールガン女子高生があらゆる物事の頂点である

 ・レールガン女子高生はおよそ何でもできる


 初めてこれを見た時は、なんという馬鹿馬鹿しい文章だと思った。

 だが、こうしてレールガン女子高生が人知を超えた奇跡を具現するのを目の当たりにすると、彼も嫌でも認めざるを得なかった。


「彼女が神だとは言いません。だが、それに匹敵する力を持っているのは明らかだ」

「……」

「ちょっと、聞いてるんですか、主任」

「――――やられたわ」

「え?」

「いま、昭和四十三年以降の地球のデータを見ていたんだけど、先ほど起きた〈長井零路〉による大規模な歴史干渉の結果、この年以降の日本を除くすべての大陸や島々のデータが消失したわ。間違いなく〈長井零路〉は先ほど、……」

 諸星はあんぐりと口を開けた。

「――――嘘でしょう」

「本当よ」

 真船は苦々しげに首を振った。

「……もしかすると〈長井零路〉は、神などという生易しい言葉でさえ言い表わせない怪物なのかもしれないわね」

「…………とにかく、今ははかせやゴリハルト、柳生十兵衛たちの行方を追いましょう。我々を出し抜いたとはいえ、少なくとも〈長井零路〉に比べればはかせたちの方がまだ御し易いのは確かです」

「目下の危険人物は柳生十兵衛三厳、か……」

「ええ、幸いなことに、つい最近まで時空管理局が最大の危険人物と見なしていた宮本武蔵も、佐々木小次郎との邂逅以降は単独概念性が弱まって、今ではほとんど無害な存在になっているとの解析結果が出ています。となれば、いまや彼こそが最も歴史にとって危険な存在ということになる」

「柳生十兵衛……〈長井零路〉はなぜ、彼に興味を持ったのかしら……」

 真船は考え込んだ。

「諸星くん、確か前にあなた言っていたわよね、〈長井零路〉は自分の力で持ちあげられない石を作ることができるのかって……。私はもしかしたら、〈長井零路〉がやろうとしていることはまさにそれなんじゃないか、と思うことがあるのよ」

「……どういうことです?」

「〈長井零路〉は、およそ考えられる限り最強の存在よ。現在過去、未来においてさえも、彼女に並び立つ存在は絶無に等しい。……でもね、そういう存在って、ひどく孤独な存在なんじゃないかと私は思うのよ……」

「神さまはたったひとりでこどくでした……ってわけですか」

「そう。だからこそ、彼女は柳生十兵衛に目をつけた。なにしろ、慶長五年九月十五日の関ヶ原で、彼は歴史上初めて〈長井零路〉によるレールガン攻撃を防いだのだから。あの無刀取りの瞬間に、〈長井零路〉にとって柳生十兵衛は路傍の石ではなくなった」

「全能社が自分では持ち上げられない石――自らを倒すかもしれない存在――それこそが柳生十兵衛だった、と。随分と飛躍した説ですね……」

「ええ……もちろんこれは単なる空想よ。だいたい〈長井零路〉がそんな人間並みの感情を持つこと自体、私には信じられないけど」

「空想でもなんでもいいですよ」

 諸星は嘆息した。

「〈長井零路〉たちの歴史干渉によって、事態は加速度的に悪化しています。そんな空想でもして、なにか我々が前進しているような錯覚でもしないことには、気が滅入りそうになりますよ……」

 諸星はそれきり何も言わず、黙って作業を続けた。


 そして――彼らの会話は〈時空管理局〉の至る所に仕掛けられた盗聴器によってすべて記録され、二十一世紀の地球へと超光速通信によって送られていることに、彼らは一切気がついていなかった。



 ***



「……ふう」

 平成三十一年、夏。現代の日本。

 はかせはそれまで聴いていた盗聴器のイヤホンを耳から外し、ポッキンアイスを口に咥えると、畳の上に行儀悪く足を投げ出した。

 高高度核爆発EMPと逃走劇のドサクサに紛れてはかせが仕掛けた盗聴器は依然として〈時空管理局〉内部で機能しているようだったが、思ったほどの成果はまだ得られていない。彼らはまだはかせが手にしている情報の何パーセントも得られていないらしい。それどころか盗聴器から聞こえた彼らの「推論」は的外れもいいところだった。レールガン女子高生は彼らの言うような存在ではない。それははかせが一番よく知っていることだった。

 だが――レールガン女子高生が孤独な存在であるという意見だけは、はかせも同意せざるをえなかった。

 孤独で――そして孤高な存在だった。


 ――りん、と風鈴すずが鳴る。


 薄着の汗ばんだ身体に、涼しげな風が心地よい。

 はかせがいるのは、かつてこの時代に住んでいた頃に慣れ親しんでいた町の駄菓子屋"ハワイアン"だ。この駄菓子屋のいったいどのあたりがハワイアンなのかは、はかせにもよくわかっていない。

 この店には奥の一角に履物を脱いで上がる小さな座敷があり、はかせはサンダルを適当に脱ぎ散らかしてそこに座り、気だるげな表情で棒をちゅうちゅうと舐める。

 はかせの豊満な肢体からだの稜線がはっきりわかるほど薄く汗で助けたワンピースに、だらしなく手足を投げ出したその姿は、ともすれば目のやり場に困る光景であった。

 だが、この場所を訪れるのは小さな子供か店主のおばちゃんくらいなもので、彼女の身体に劣情を覚えるような不埒は輩は誰一人として存在しない。


(いや……ひとりだけ、いたか)


 はかせは苦笑を浮かべた。

 日に焼けた畳の一角には分厚いブラウン管テレビが置いてあり、古紙の匂いを放つカバーがないマンガ本や、ハードとの接触が悪い64ロクヨンのゲームソフトが雑然と並べられており、外で遊び疲れた近所の子供たちがこの座敷に上がっては、二十年以上も受け継がれてきたソフトで対戦する。

 だが、今はこの座敷にははかせひとりしかいない。蝉しぐれにまぎれて、遠くで子供たちの声が聞こえる。


(しかしなんとも……平和だなあ)


 こうしていると、この平和が所詮は薄氷の上の平和に過ぎなかったとは、とても信じられない。

 この時代が――この国が――決定的な破滅を来たし、人がたくさん死ぬ時代を迎えつつあったことなど、とても信じられなかった。

「……」

 だが事実として、あの戦争は起こった。その未来を防ぐために、自分はここにいる。

「自分が『悪』だってことは、十分わかってるつもりだけど……」

 歴史とは、何だろうか、と考える。

 はかせにとってのそれは、無数の因果系の集積に他ならない。したがって歴史の中に生きるということは人類がこれまで背負ってきた因果の業を背負うことを意味する。

 悲しい出来事も楽しい出来事も、戦争の時代も平和な時代も、凡てがなければ現在いま自分わたしは存在しえない。

 それを否定することは、最低のエゴに他ならないことはわかっていた。

 けど、それでも――彼女はかせはもう一度会いたいと願ったのだ。

 この時代に。

 この場所で。

「もうすぐ、来る頃だと思うけど……」

 はかせは待ち人の姿を求めて、駄菓子屋の入り口のガラス戸に頻りに見ていた。



 ***



 西暦二〇XX年、三月十四日――

 その日、現実に起こった第三次世界大戦は、かつて想像されたものとはまったく異なる様相を展開した。

 冷戦期のような超大国の二大陣営による核戦争という単純な図式はそこにはなく、その人類にとってもっとも破壊的な戦争は、同時多発的なイデオロギー紛争の世界規模での発生という形をとった。

 それまでの世界では到底考えられないような国家間で同盟が結ばれる一方で、固い絆で結ばれていたかに見えた国家間で突発的に戦闘が勃発した。

 どの国が敵で、どの国が味方か、誰にもわからなかった。わかっているのは今この瞬間にも世界地図が加速度的に書き換えられていっていることだけだった。それはいわば、歴史というものが個々の国家や民族の挙動ふるまいからは予測しえない複雑系であることの証明に他ならなかった。

 結果、この国には主要都市を標的に四つの戦術核兵器が使用され、三つの陣営による十数年に及ぶ内戦状態に陥った。多くの都市と文化財が空爆によって破壊され、同じ国の同胞同士が憎しみあい、殺しあった。

 そうしたなか、もっとも自分の在り方に苦しんだ一人が、かつて米国風黒人少年と呼ばれた青年――中村ボブであった。


「……」


 もちろんそれは、この国に核攻撃をした国がアメリカだったということを意味するわけではない。むしろ裏切りと謀略が渦巻く戦況の中で、アメリカは最後まで日本の同盟国であり続けた国の一つだった。

 だが――戦争がこれほどまでに長期化し、日本という国名が地図上から消滅するほどの徹底した破壊がなされたそもそもの原因を作ったのは、日本の最大の同盟国たるアメリカに他ならなかった。

 ボブは、日本人であった。

 日本人であることに、彼は誇りを持っていた。

 しかし、彼の肌は米国風に色が黒く、その身体には確かにアメリカ人の血が流れていた。だから彼は、誰よりも日本人であろうとしたのだ。

 米国風黒人少年と呼ばれた少年は、いつしかと呼ばれる年齢となっていた。

 死地に赴く前日、空軍の撃墜王エースパイロットとなった彼は子供の頃によく通った駄菓子屋に足を運んでいた。

 それはちょうど、今日のような暑い夏の日だった。


「変わらないな――はかせは」


 ボブが言った。ボブが大人になっても、はかせの見た目は彼が子供の頃とまったく変わらない。

 心も、身体も。

 はかせは何十年、何百年経とうと歳を取らず、その精神こころはずっと子供のままだった。

「……」

 はかせは駄菓子屋の座敷に座って、ボブの顔を見ようとはしなかった。彼がはかせに別れを告げに来たことはわかっていた。

 だからはかせは、決して別れの言葉など言うまいと決めていた。

 言ってしまったら、それはきっと本当になってしまうハービィもウルフも、みんなそうやっていなくなってしまったのだ。

 だから、はかせは何も言わない。子供のまま成長することをやめてしまった彼女の心には、それはあまりにも耐え難い現実であった。


「……どうして俺が戦うのか、何年か前に訊かれたことがあったよな。あの時は、俺はただ何もかもが憎いだけだった。この戦争を起こしたアメリカも憎ければ、それに唯々諾々と従うしかなかったこの国にも無性に腹が立った……俺はなにかをぶっ壊したくて銃を握り、兵士ひとごろしになることを決めた……」


 ボブは拳を握り、そして開いた。

 彼には自分の右手に、いつも血に濡れている感覚を覚えているのだという。


「……だけど、いまはあの国を少しだけ客観的に見れるような気がするんだ。俺は今になってようやく、アメリカを許せるのかもしれない。けど、その頃には俺は俺自身を許せなくなっていたんだ。だってそうだろう。俺はあの戦場そらで、たくさんの敵を殺したんだからな……」


 空が好きだと、ボブは語っていた。

それは統計学よりも好きなのかと問うと、彼は笑って取り合わなかった。

 統計学は、人の死すらも数字にしてしまう。

 だけどその数字のひとつひとつにどれだけの悲しみがあるかを、ボブは知ってしまったのだ。


「……だけど、勘違いはしないでくれ。俺は別に死に場所を求めて戦っているんじゃない。俺が死んだところで、俺があいつらを殺したのがチャラになるわけじゃない。俺はただ、この町を――この場所を守りたいだけなんだ。俺には帰る場所が必要なんだ」


 ボブは駄菓子屋の柱に刻まれたキズを撫でる。かつてはかせより小さかった自分の身長は、はかせより随分大きくなってしまった。


「だから――『必ず戻ってくる』アイルビーバック』だ。はかせ、だからアンタはずっとその駄菓子屋で、ずっと俺を待っていてくれ」


 そう言って、ボブは不意に身を屈めると、はかせの額に優しくキスをした。

 はかせの顔に、驚愕の色が浮かんだ。

 だが、ボブはそれ以上は求めようとせず、ただ去り際にこう言い残しただけだった。


「俺はアンタのことが好きだった……もしアンタが嫌じゃなけりゃ、その続きは俺が生き残った時にしよう……」


「……ッ」


 はかせは、最後だけは何かを言おうとしていた。だが、結局のところ彼女は何も言えなかった。

 ここで何かを言うには、はかせはあまりに子供すぎたのだ。彼女はそうした男女の関係を理解できる年齢になる前に、大人になることをやめてしまった。


「……、…………」


 そして、結局ボブは約束を守ることはなかった。通信機に残されていた彼の最期の言葉は『イピカイエー・マザーファッカー』という叫び声だったという。

 彼は最後の瞬間まで米国風で――そして日本人であった。



 ***



 駄菓子屋の扉の軋む音で、はかせは回想まどろみから覚める。

 入り口に立っていたのは、あの日はかせと別れた時と同じ、米国風黒人青年となったボブであった。

「……遅かったじゃん。でもその様子だと、ようやく自分の本当の年齢を思い出したみたいだね……」

 はかせは揶揄うような口調で言った。

 ボブは表情を堅く変えないまま、ゆっくりと口を開く。

「……ああ、年齢だけじゃない。失われた未来で俺が何をやった記憶も、全部思い出したさ……」

「それはおめでとう……で、どうするの? もう一度キスする? それともおっぱい揉む?」

 はかせは自分の胸を両手で持ち上げ、自分でモミモミ揉みしだいて、その柔らかさをアピールする。

 今までボブなら、はかせにそのようなことをされれば胸から目が離せなくなっていたが、今日のボブは様子が違っていた。

「どちらも無しだ。……はかせ、俺はアンタは間違っていると言いにきた。アンタがレールガン女子高生にアメリカを消させたのは、?」

「……」

 はかせは何も言わない。だがボブはその沈黙を肯定と受け取った。

「アメリカという国さえなくなれば、この国が滅びることはなかった。だが、それはあの国にあった何百年もの歴史と人生を、すべてなかったことにしていい理由にはならねえ」

「……」

「だから俺は、もう一度この歴史を修正したいんだ。レールガン女子高生の力なら、消滅させた大陸をまた元に戻すことだってできるんだろう?」

「……それで、もう一度あの戦争でこの国が滅びるとしても?」

「そんなことはさせない。少なくともこの時代にはまだ戦争は起こってないんだ。戦争を止める方法なんていくらでもある」

「無理だよ。戦争は止まらない。世界は――人類の社会は複雑になりすぎたんだよ。どれだけ強力な力であっても、たったひとつの力に人の憎しみの連鎖を止めることはできない……そんな単純なことじゃないんだよ」

「世界を単純化して捉えているのは、はかせの方だろう。アメリカさえ消せば、世界が平和になるって? クレイジーだ! それじゃあまるで、アメリカがこの世全ての悪のような言い草だ。だがそのアメリカには、三億もの人間が住んでいたんだ。仮にアメリカが悪の元凶だとして、その三億の人間がすべて悪魔デーモンだったとでもいうのか?」

「……私はただこの国を守りたかった。それだけのことだよ。それに、もう遅いんだよ。今さら私がレールガン女子高生に会ったところで、もう彼女は私の話なんて聞かない」

「……どういうことだ」

「レールガン女子高生が、日本以外すべての国を沈めたのは君も気づいてるんでしょ。アメリカを沈めた時はまだ、あの子の意識もわずかに残っていた。けど、あの子がレールガン女子高生となることを選び、、あの子はもう完全にレールガン女子高生人知の及ばぬ不条理になり果ててしまったんだよ……」

「……?」

 ボブははかせが何を言っているのか理解ができない。だが、もはやレールガン女子高生がはかせにも制御できない存在となったことだけはわかった。

 ならば、もう自分がここにいる理由はない。ボブは自分の力でレールガン女子高生を探すことにした。

 ボブははかせに背を向け、一瞬だけ立ち止まる。

「……最後に聞かせてくれ。天使エンジェルたちは……ハービィたちはどうなったんだ?」

「……生きてるよ、どこかでね。私のそばにいると、みんなが不幸になるだけだとわかったから」

「……そうか」

 そうして、ボブはそのまま振り返らずに歩き始めた。




「――――――死ぬなよ、はかせ」

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