第57話「名もない星には名前をつけましょう」
時は西暦二〇〇一年、宇宙猿人ゴリハルトはスター・ゲイトを通り抜けて見知らぬ宇宙に出ていた。
ゴリハルト一二三世は人類(一般ゴリラが想定する進化の遅れた類人猿を指す言葉。ピテカントロプスになる日が近づいている)よりもずっと高い知能をもっていたので、もし負質量の物質が存在すれば特異点は異なる時空の二点を結ぶワームホールになる可能性があることは当然知っていた。だがさしも彼もこうして辿り着いたこの場所が果たして前に彼らがいた宇宙と同一の宇宙なのかはわからなかった。
だがいきなりゴリハルトたちが出現したいて座散光星雲M17ブラックホールの時空管理局では、とにかくすごい歴史干渉で急激に宇宙の因果律が乱れていく様子がモニターに映し出されていた。
ゴリハルトはこの宇宙計画に同行したたった一人の人類に囁きかける。
「さて――この宇宙はあなたが暮らしていたという並行世界の宇宙と同じ宇宙だと思われますかな、柳生十兵衛どの?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます