第18話「Cogito ergo sum」

かつて、〈長井零路〉は神と呼ばれるものを根絶した。

だが、あらゆる神と定義されるものを殺した彼女こそが、機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナに他ならぬのではないかと唱える者が現れた。

〈長井零路〉は神(一般人が想定する物語を無理矢理終了させる存在を指す言葉。およそ万能の存在であり、レールガン女子高生も定義上それに該当する)と呼ばれるあらゆるものを根絶したが、もし仮に自分の存在も定義上〈神〉としての要件を満たしていると認めるなら、当然、自らもまたあの時に根絶されて然るべきだったのではないかと思い至った。

――では、神が根絶されたなら、此処にいる自分という存在は何なのか?

――もし神でないとするなら〈長井零路〉とはいったい何者なのか?

――そもそも自分は、本当にいま確かに此処に存在していると、自信をもって言うことができるか?

だがレールガン女子高生はいきなり長いレールガンを取り出して、とにかくすごい攻撃で疑問は消し飛ばそうとせず、とにかくこうしてレールガンを撃つ自分は存在していると認識しているのだから存在していると思うほかないと結論づけた。

レールガン在る、ゆえに我在り。

レールガン女子高生は次の歴史ものがたりへと歩み始めた。

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