114.5話 教会
レイ・クラウド帝国 教会ーー
清光な光が窓ガラスを通して辺りを神々しく輝かす時、その者は教会で静かに手を合わせ祈りを捧げる。
「どうしたんだい?」
男は、気配を最大限、ハル・クロ二クスを殺すつもりで消したのにも関わらず難なく近づいている事を見破られてしまう。
「こりゃ大将、参ったよ」
殺意には殺意で返せという教えの通り、今ハルは完全にその男を殺すつもりで捕捉している。
教会には似合わない構図だ。
「君か……てっきり他国の者かと思ったよ」
「おいおい……冗談はやめてくれよ大将」
その男は苦笑いになるが実際のところ以前暗殺を目論んだやつがハルを殺しにかかり返り討ちにあい殺されているのだ。
「そういや、この間あった会議どうだったんだ?」
「ああ……」
ゆっくりと立ち上がり、ハル・クロ二クスは天井に視線を向けながらしばし沈黙する。
「その様子だとやっぱ、敵になりそうな奴はいなさそうか?前回は唯一リゼラ・ファルセが大将の攻撃を防ぎきったんで期待はしてるんだがな」
「今回は君に譲ろう」
ふっと笑うと静かにハルは言う。
「いいのかよ!大将」
「ああ」
「こりゃいいぜ、ただでさこん学園生活は暇で暇で仕方ねぇんだ。こりゃワクワクで明日から寝られそうにねぇな!!」
「そろそろ行こうか」
そう言われた瞬間、教会にあるガラス全てから日の光が差し込み、視界が一瞬鈍る。
「これはわざとで?」
「まさか」
男をからかうように、おちょくるようにハルに軽い声音で応答され、言い返す気を潰された。
「今日はトレーニング付き合ってもらうぜ大将!」
「お前とやると十時間は拘束されるからやだ」
ハルはいつもこうは言うが週一ペースで付き合ってくれる。
「飯行こうぜ!大将!!」
「ああ、行こうか」
こっから先は男は思考が止まる。飯モードに入ったらそのことしか考えられなくなる。しかも今さっきまで個人でトレーニングをしていたので尚更だった。
二人はそのまま、朝早すぎて誰もいない食堂へ足を運ぶため教会を出る。
「いい朝じゃねぇかよ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。