14.5話 嫌々
魔導学園内の廊下を早歩きで女性は歩いていた。
イライラしながら大きな扉の前にその女性が立ち、一切躊躇なく思いっきりドアを蹴っ飛ばす。
「おい!じじい。私が試験官ってどういうことだ!!」
部屋の中央にいる白髪を生やした老人は女性の圧に全く怯むことがない。
「ほっほっほ。まぁ良いじゃないかたまにはそういうことをした方が気分転換にもいいぞ。ウタゲくん」
「はっ!ふざけんな!面倒くせぇ……学園長のくせに私ばっかに任せすぎなんだよ!他のやつにやらしておけばいいじゃねぇか!!」
「報酬はちゃんと払う。やってくれんかの〜」
全く引く気がない学園長は、ウタゲを呑気に説得する。
「ただ、いいのか?私が試験官だと入学者は今年ゼロになる」
「最近、我が校の実力が落ちてきてるからの〜それぐらいで構わん」
ウタゲは心の中で笑うと、その言葉を言う事が分かっていたのか学園長は答える。
ウタゲは思っていた解答と違い、学園長にすんなりと受け入れられてしまったのでこの流れでは断りきれなかった。
「はぁ……んじゃ報酬は通常時の三倍貰うかんな」
それだけ言い残しウタゲは学園長室を出る。
蹴飛ばしたドアを抜けようとした時学園長が一言添える。
「何人か教員を貸してやる、好きに使いなさい」
チッ…うるせぇくそじじい。
ウタゲはこのイライラをぶつけるようにシュガースティックをかじる。
シュガースティックはこの街の名産品でかじると味が染み出てくるお菓子でよく口直しで用いられる。
試験内容どうすっかなぁ……たく、くそめんどくせぇ。
はぁ〜とウタゲはため息をつき自分の部屋へ向かいながら試験内容を思考する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。