167話 守りに入る
「やっぱり、あいつがいなければ大した事ないないねぇ!!」
「ふっーー!!」
渦を避けきり、カッパの背後へ周り剣を振り抜くが、周りを固めている渦にルナの剣は止められてしまう。
なので、剣を捨て、撤退をし、立て直す。
さっきからその繰り返しだ。
「そろそろ時間もまずいですわね」
「ほんと、こんなやつ相手にしながら時間も気にしないといけないなんて困るわね」
「全くですわ!」
セアの白銀の騎士は大きく銀のランスを左から右へ振り払うと、巨大な風の刃がランスを振り抜いた後にカッパへ襲いかかる。
「まだまだ!」
両手に、水の球を乗せ、それぞれ二つの風の刃に向けて自分に当たるギリギリで接触させその渦が飲み込んでいく。
飲み込んだ渦はカッパの手に収まらないほどの大きさになり、それを私達にお返しと言わんばかりに跳ね返してくる。
「これは流石に無理ね」
ルナは手を胸元に寄せて強く握りしめる。
辺りに散らしていた花びらをあの風の刃に仕込んでいたので、それを飲み込んだ渦はルナの花びらによって水流を妨害され二つとも爆散する。
「いいねぇ!!」
「ルナ!下ですわ!!」
そのセアの声が聞こえたと同時に私もそれに気づく。
無数の小さな渦が、浸った水の下を使って気づかれないよう迫っていた。
「くそっ!!」
「かがんでルナ!!白銀騎士スキル<白銀の盾/シルバーシールド>」
ルナは膝を落として下から迫る渦を視界に入れながらわざわざ体勢を下に下げる。
すると、四方八方に白銀の盾が出現し渦からルナを守ってくれる。
隙間から水が流れ込んでくるくらいで、無傷だった。
「ありがとうセア!」
「お互い様ですわ」
「しぶといねぇ!!超水魔法<水流弾/ウォーターバレット>」
セアを狙って、カッパの両の手の指十本の指先に小さな水の弾が圧縮されこちらへ向け発車される。
物凄い速度で、セアも一発不意にかすってしまう。
かすっただけなのに切れ味の良いナイフに切られたような傷がつく。
「気をつけてルナ!」
「うん!」
花びらを私は付近に舞散らし、その弾丸をガードする。これは私の意思ではなく自動で防御してくれる……相当な防御力を誇る。
セアも白銀の盾を己に付与し、全ての弾丸を防いでいる。
「あの魔法厄介ですわね……一発撃っても再び補充される」
「そうね、全く……」
「「ーーうっ!!」」
「二人ともガードを過信しすぎだ」
何故か今の今まで防御できていたカッパの弾丸が、二人同時に突破された。
セアは肩に、ルナは腕に貰い、流血する。
その傷跡はさっきのセアが受けていたものとは全く別物で、皮膚が小さくえぐれるように傷ついてた。
傷跡に目が行った一瞬をつき、カッパは私の方へ迫っていた。
「しまっ!ーー」
ルナは咄嗟に桜蘭属性で作った剣でカッパへ向けて斬りかかっていた。
だが、カッパは私に攻撃する気が無いのか突如止まり、手を広げる。
「さあ、来るがいい!!」
「くそ!」
何かあるに決まっているのに、もう私の攻撃は止まらない。
花びらがカッパに触れようとした瞬間ーー
「えっ……」
ーールナは、トレインと同じように吹き飛ばされていた
「うぐっうっ!!痛っ……」
数十メートル吹き飛ばされ、身体中泥まみれになり木にぶつかったと思っていたらトレインが用意してくれた粘土質のクッションによって守られていた。
だが、途中で何度か地面に体をぶつけてしまったので、体の節々が痛み、頭もぼーっとする。
「まさか、トレインと同じになるなるとはね……」
「ルナ!」
セアは騎士で牽制し、私の元へ駆け寄って来る。
ここで、ルナがリタイアした事で、もう撤退しか選択肢がなくなってしまったのだから当然だ。
「私は大丈夫……」
「まさか、あの弾がすり替わっていたなんて」
「正解だ!俺の渦潮魔法<渦潮弾/ウィルプールバレット>、威力は違うが殆ど超水魔法<水流弾/ウォーターバレット>と変わらねえから擬態にはうってつけだ」
ーーやられた、だからカッパは私の不意をつき接近し、攻撃せざる終えない状況を作り、わざと攻撃を受けたのね。
そうすれば自動的にトレインと同じ状況が完成する。
「さ!諦めろ。一年だったら良くやった方だしかもルイン学園でな……」
「セナさん!あなたしか今攻撃できるのはあなたしかいません何とかお願いしますわ!」
セアはセナの肩を掴み必死に訴えかけているがセナは全く起きないし、どうやらもう遅かったようだ。
そう……さっき私を下から襲ってきた渦を二人も受けていたーー
トレインは何とか防いでいたようだが、セナは本当に寝ていたのでトレインも流石にそこまでは手が回せなかった。
「そんな……」
「だから言ってんだろ、良くやったって!諦めろ!超渦潮属性スキル<渦気流反三連波/ウィルプールブラストリプルス>」
さっきセナが受け止めたスキルを再び、今度はさっきよりも至近距離から撃たれる。
「くっ!!これも防御しますわよ白銀騎士スキル<白銀の盾/シルバーシールド>」
「当然!桜蘭属性スキル<桜吹雪/ハルブリザード>」
セアは私達四人を四枚の盾で守る。それに加え私もスキルを被せる。
白銀の盾は花びらにより桜色に様変わりし、周りには花びらの吹雪が発生し、ルナ達四人を隠すほどの花びらが辺りを舞う。
これなら、威力は殺せるーー
これを使うとカッパを見ることが出いなくなり、相手の動向がうかがえなくなるのが欠点だけどね。
今の状況わがままは言ってられない。
徐々に視界は無くなり、迫る渦潮の音だけが私達を緊張感という恐怖に陥れていた。
**
「おかしい……」
ルナ達の使用した防御スキルとあの渦潮はぶつかってつばぜり合いをしていておかしく無いのにさっきから渦潮の音は無く、辺りは静けさを演出していた。
「どうしますルナ」
「一旦解いてみようか」
「わかりましたわ」
セアと同時に発動していたスキルを解く、するとそこには信じられない光景が広がっていたーー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。