106話 一幕
「よしっ!立てるようになった者はこの剣を持って学園内をランニングだぽよ!」
普段聞かない萌え声をウタゲが出しておりただのホラーでしかないなかった。
その思いは全員同じなのか皆の空気がこの加重レベルまでに重くなる。
「ごほんっ」
流石にウタゲも察したのかすぐにそのキャラを止める。
「立てるようになった者から順に走れるようにしろ今の目標は一日でランニング二十キロメートルを達成することだからな」
普段走っている者からすれば二十キロメートルなんて午前中で終わるが、今回はわけが違う。
アキトはバルト達に一声かけてからのろのろといつものランニングルートでまずは早歩きから始める。
早歩きと言ってもまだ普段どうりの速度で歩ける訳ではないのでこの段階では普段の歩きが早歩きとなる。
それを目指しえっちらこっちらと歩く。
アキト達が着ている制服には速度感知と歩いた距離を測る機能が付いるので、速度がある一定以上の時に計測開始とすればその速度を計算してどの程度の距離を走ったのか分かるようになっている。
なので、この制服に付与されいているであろう速度を維持して走らないと、計測されないので距離だけは常に見て走らないと走り損が出てきてしまう。
この速度も人によってまたは実力によって分けられている。
アキトが歩き始めて一時間が経ち、アキトはプールで歩いているおばちゃん程度の速度にはなっていた。
これでも大分進歩した方で、やればやるだけ体力が奪われるので早く慣らさないといけない。
アキトが始めた時よりも上級生をちらほらと見るようになってきたので、少しずつ対抗心が出てきている自分がいた。
理想は相手がえっちらこっちらと歩いている中、颯爽と走り抜いてく気持ち良さを想像している。
すると、前方にアキトがよく知る顔が見えてくる。
相手はこちらを視認するとこっちまでアキトと同じくらいの速度で近づいて来る。
両者間約五十メートル、普段ならこの距離を数十秒で詰めるのに二分以上かかる。
「やあ、アキト」
「お、おう。おはようハヤト」
ハヤトとアキトの二人は立ち止まり、お互いの現状を把握する。
「ハヤトならこれくらいだったらアイテムとか使えばどうにかなるんじゃないか?」
「またまたアキトこそ楽々でしょこんなの」
アキトがアイテムを使えばやりようはあるし、アキトにとってこういった加重は得意分野といっても過言ではない。
だがしかし、アキトはそんな簡単にしても面白くないし自分のレベルアップにならないのは分かっていた。それに、努力レベルにも関わって来るのでやらない理由がなかった。
「そんなことしてもつまらんだろ。みんなと同じ条件で達成出来るからこそのやりがいがあるからな。散々課金してきた分、こう言うのは新鮮だよ」
「確かに、僕もアキトなら同じ気持ちだと思う。まあ意地をはって無課金だった僕もこう言うのに燃えるのは間違いないな」
「修練際、ハヤトはどう思ってる?」
「うーん」
ハヤトは手を顎にやり少し考える。
「どう言ったルールか分からないからまだなんとも言えないけど……他校の人と戦えるとかだったら楽しそうだ」
「なるほど、今度は同じ学校としての参加だからなよろしく頼む」
ハヤトは少し驚いたような表情をすると、アキトより少し早く歩き距離をあける。
「そうだね。クラスは違えど大きく見たら同じチームだからねよろしく。それじゃあ僕はそろそろ自分のクラスの方に行くとするよ」
「おう、またな」
ハヤトと別れた後アキトはある程度歩き、自分のクラスの元へ戻る。
「アキトー!!助けてくれー」
すると、バルトがうつ伏せで倒れており、アキトに助けを求める。
アキトは面白いから放置しようかと思ったが、流石に今はかわいそうなので手を貸すことにした。
「ありがとうよーアキト」
身体中をまるで幼稚園児が泥遊びしたかのように汚かった。
「あれ?他の人たちは?」
いつもはバルトと特訓しているトルスやエル、ユイやエーフが見当たらなかった。
「あれ?ほんとだどこ行ったんだ?あいつら」
アキトは<和衷協同>でシロネに連絡する。
(どうしたのじゃ?)
(いや、バルトと一緒にいるんだけどみんなが見当たらなくてなどこにいるか分かる?)
(わしと一緒におるぞ、少し中央運動場から離れたところでゆっくり歩くのに慣れておるところじゃ)
(了解、だいたいわかった)
アキトはちょうどいいのでバルトを誘い今日の午前中一杯一緒に特訓することにした。
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