ハイスペック幼女に色々聞こう
昨日そのまま幼女とお昼寝したら、次の日の朝になっていた。
とりあえず幼女の機嫌は治っていたので、パンパンへと帰って来たのだけれど……
「はぁ…私は駄目な親なのよ…娘の幸せを邪魔するなんて…」
「……」
「……アレスティア、わっちは部屋に戻っているの」
「駄目です。一緒に慰めましょう」
バックヤードでいじけているリアちゃんが居た。
ウイスキーの瓶を片手に項垂れて…店員さん達が交代しながらリアちゃんの愚痴というか懺悔的なものを聞いている…
イツハさんはどこだろう…多分ホールかな。
……なんて声を掛ければ良いんだろうね。
「リアちゃん、駄目な親じゃありませんよ。今でもイツハさんと仲良いんですよね?」
「……アスきゅん…」
リアちゃんが私を幼女ごと抱き締めて立ち上がる。そしてそのまま私を抱っこして二階へと…
「ママっ! アスきゅんちゃんを部屋に連れ込もうとしても駄目だよっ!」
「イツハ…止めないで…アスきゅんに癒して貰うの…」
「止めるし! 私が勝ったんだからママは駄目っ!」
バンッ! とバックヤードに入ってきた茶髪の幼女…イツハさんが現れ、二階に上がろうとしていたリアちゃんを通せんぼ。目一杯腕を広げて可愛いな…
「イツハ…ちょっとだけだから。ちょっとだけ…ね?」
「ちょっとも駄目っ! そこの幼女に癒して貰えば良いでしょ!」
「アラステアちゃんに私を癒す能力は無いわ」
「イッたん…」
幼女がショックを受けている…可哀想に。
とりあえずこの隙に降りよう。そして幼女を近くに居たレーナちゃんに渡して、イツハさんを抱っこしてみた。
「アスきゅんちゃんっ」
「イツハさん…イッきゅんって呼んで良いですか?」
「もちろんっ! アッきゅんっ!」
「……かわぇぇ」
よしっ、お持ち帰りしよう。
…でも私の部屋はミーレイちゃん達が居るし…ムルムーの部屋はヘンリエッテとミズキとブリッタさんが居るし…ヘルちゃんの部屋はヘルちゃんクーちゃんフーさんが居るし…幼女の部屋は誰も居ない…エーリンの部屋はエーリンが寝相悪いから無理…ライラの部屋には蒼禍とムルムー…リアちゃんの部屋はイッきゅんが嫌がるし…
「レーナちゃん、お部屋行って良い?」
「あっ、はい。後で襲ってくれるならどうぞ」
「ありがと。じゃあゆっくりお話しましょうか」
「うんっ、沢山お話しようねっ!」
自己紹介も兼ねて、色々お話しよう。リアちゃんの事も聞きたいし。
「アスきゅーん! 行かないでー!」
「リアちゃん、どうせ後で会いますよね?」
「アレスティアー!」
「アテアちゃん、雰囲気だけで叫ばないで下さい」
さぁ行こ行こ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
レーナちゃんの部屋へ行き、イッきゅんを抱っこしながらベッドに座る。
……チューくらいさせて貰えるかな?
「イッきゅんもルビアに家があるんですか?」
「うんっ、他の世界にも別荘があるよっ」
「別荘…お金持ちなんですか?」
「そうだねー。私宝石を作る仕事をしてるから儲かっているよ」
「宝石…どんな宝石ですか?」
「こんなの」
イッきゅんが出した宝石…虹色に輝くダイヤモンド。
…めっちゃ綺麗…数秒毎に色が変わって、魅せられてしまうな。これを一から作っているらしい…一からって事はダイヤモンドを自作出来るのか…すげぇ。
「イッきゅんって可愛くて強くて宝石師で…モテますよね?」
「全然だよ。予約の仕事をこなしていたら恋なんてする暇無いし、出会いも無いの…だからアッきゅんが貰ってくれるなら嬉しいなって」
「…私変態ですけれど良いですか?」
「うん、私も変態だから大丈夫だよっ」
おぉ…幼女で変態なんて素晴らしい。
禁術で身体を退行させたから、元に戻るまでしばらく掛かるみたい。それでリアちゃんに勝てたから安い代償なのか?
「イッきゅんの種族はなんですか?」
「んー…極智の黄皇っていうんだけど…分類的には魔王で良いよ。ルビアには赤、青、黄、緑の魔王が居て、私は黄色なの」
「へぇー、私も他世界の神に魔王って言われましたよ」
「お揃いだねーっ」
「他の魔王さんとは仲良くしているんですか?」
「うんっ、姉妹みたいなものだからねー仲良いよ」
他の魔王さんも美人なお姉さんだとしたら…いや、手を広げすぎると溢れてしまうから駄目だな。
ルビアの事を聞きたいけれど…先ずは素朴な疑問から。
「リアちゃんってなんでこの世界に来たか解ります?」
「ママ? あぁ…ここにルビアの女神の息子が暮らしていて、千年くらい前に様子を見に来たの。そしてたまたま近くで迷子になっていた幼女と仲良くなったんだよ」
「そうなんですかぁ……ん? 千年? 初代皇帝は千五百年以上前に亡くなっていますよね?」
「うん、彼は転生能力があるからね。今もこの世界の何処かに転生して生きているよ」
「へぇー、何処に居るか解ります?」
「転生して、思春期になったら記憶が戻るらしいよ。それまでは普通の男の子として生きていると思う」
へぇーそうなんだなぁ。
転生能力ねぇ…別に会いたいとは思わないから良いか。
一応先祖だけれど、私が会いたいのは母親の方だし。
因みに初代皇帝がこの世界に来たのは、親やその周りがウザいからだってよ。
まぁ…リアちゃんみたいな人が沢山居たら逃げ出すよね。
逃げて自由を手にしたいと思うのは仕方ない…思春期に記憶が戻る仕様なのは、リアちゃん達の目を眩ます為らしい。
…そんなに嫌なのか。
「過保護過ぎて嫌だったんです?」
「まぁそれもあるし…周りに強い女性が沢山居たら逃げ出すのも無理は無い…かな」
女子が強いのはこっちと同じなのか。
男子の気持ちは解らないけれど…
「ルビアで一番強い女子はどんな方なんですか?」
「一番強い女子は…まぁ…なんというか…ジョーカーになるくらい強いよ」
「ジョーカー…序列戦で引いてはいけないカードですね。お名前はなんですか?」
「Gだよ」
G…ルゼルと同じ領域に居るのか…会ってみたいな。
「ジョーカーってどうやったらなれるんです?」
「単独で序列一位に挑戦して勝つ実力を持つ事と、他にも条件はあるけど知らない」
「単独で…」
「うん、私だったら…五分生き延びれば良い方かな」
イッきゅんじゃ勝てないって事か。
私なら瞬殺って事かい。
「もうそこまで強くなって何を目指しているんですかね?」
「ふふっ、それは秩序だよ」
「秩序?」
「力を示しておかないと、馬鹿な事をする神が出てくるからね。神達も一枚岩じゃないんだよ」
なんかよく解らないけれど、色々大変なんだなー。私にはあまり関係無いか。
「色々話してくれてありがとうございます。あの…私の事をもっとイッきゅんに知って貰いたいです」
「うんっ、アッきゅんの事知りたいっ!」
私の事を話していこう。イッきゅんに比べたら、とてもとても短い人生だけれど…
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
次の日…帝都でやっている美少女グランプリの予選が終わったらしい。裏美少女グランプリが濃すぎてもうどうでも良い感じだけれど、次は本戦なのでヘンリエッテの付き添いでもしようと思っていた…
「……アレスティア、それで行くの?」
「うん、問題ある?」
「いや、折角だから顔がみたいなぁ…って」
「断固拒否。嫌なら行かない」
「分かった分かったっ! それで良いよっ!」
城へ行かなきゃいけないらしいので、白兜に白鎧…白騎士スタイルじゃないと嫌なのだ。
素顔で行く訳にもいかないし、地味顔は第一皇女側にバレているし、金髪ぐるぐる女は明らかに怪しいから消去法なのだ。
という事でミズキっ、お城へゴー!
「……レティ…なんで私が抱っこするのさ…幼女の癖が移ってるよ」
「ミズキさん、私は今から白雲ですよ? 白雲アレスティアです」
「なんかそれ良いかも」
「じゃっ、じゃあ私も白雲ヘンリエッテ!」
「それだとざわざわするから却下」
「仲間外れやだぁっ」
さて、ファイナリストの美少女でも拝みに行くかぁ。
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