美少女に求める条件を先に教えてくれ

 

「さぁっ! 次は水着審査だぁ!」


「「「フゥゥゥ!」」」「「「待ってましたー!」」」


 …いやいや、五人中三人はおっぱい無いんだぞ。えっ、バックヤードに戻れと…

 はいはい。


「皆さん可愛いかったですっ! ではお好きな水着を選んで下さい! 着替え終わった方から会場へどうぞっ!」


「あっ、うん」


 水着は…ラックにズラーッと掛けられて、普通の水着から際どい水着まで様々…


「わっちはこれじゃな」

 幼女が手に取ったのは紺色のスク水と呼ばれる水着。胸の所に白い名札が付いていて、『あらすてあ』と自分で書いている。

 …ここで着替えんなよ。


「私は普通に攻めるわ」

 ヘルちゃんは普通の赤いリボンビキニ。普通だからこそエロい場合もある…考えているな。


「えー…と。これ、かな」

 ヘンリエッテも割りと普通…いや、ローライズの三角ビキニだ。ヘンリエッテにしては冒険している。


「どれが良いかな…」

 ライラが取ったのは…眼帯ビキニ…くそっ、狙っていたのに…

 水着被りは避けなければならない。


 私はどうしよう。みんなの水着が見たいから楽しんでしまった…あー…紐ビキニだ…エロっ!

 紐ビキニを手に取った時…レーナちゃんがラックを急いで片付けた…おいっ、まだ選んでいるじゃん!


「アスティさんはそれが似合いますっ!」

「これ一番エロい奴じゃん。フーさんくらいしか似合わないよっ!」


「次の準備がありますのでっ!」

「レーナちゃーーん!!」


 ちくせう…紐かよ…尻丸出しじゃねえか。

 なんだこれ着るの難易度高すぎっ…

 シエラ、寄ってくるなよ。まだここに居たのか。


「お先じゃっ!」

 幼女が出陣…

「「「きゃわいぃぃいい!!」」」「スク水最高っ!」

 おぉ…歓声が凄い。


「アスティ…やるわね」

 普通のヘルちゃんが出陣…

「「「素敵ー!!」」」

 みんなで海に行きたいなぁ…


「いっ…行きますっ!」

 ヘンリエッテも出陣…あっ、少し半ケツにしている!

 あざといっ!

「似合ってるー!」「姫さまぁー!」

 早く着替えなきゃ。


「お先に…」

 ライラが眼帯ビキニを少し緩めにして出陣…そんな技覚えよって…可愛いじゃねえか。

「「「きゃー!」」」「撫で撫でしたーい!」


 さて…行くか…

 ふっ…特と見やがれ!


 これぞ紐ビキニの力っ!

 辛うじて乳首を隠しているけれど横から丸見え!

 後ろを向くと尻に紐が食い込んで丸見え!

 股間に至っては全く隠せないから絆創膏ばんそうこう


 いざ出陣!


 どやぁぁぁあああ!!


 ……しーん。


 あっ、やべぇ泣きそうだ。


「アスきゅんアウト」

「なんでっ! バックヤードにあるもの使ったよっ!」


「エロ過ぎ」「うん、これはエロい」「絆創膏は反則です…」「十八禁でやりなさいよ」「清楚感ゼロね」「紐だ…しゅごい…」


「アスきゅん…美少女は清楚じゃなければならない」

「いや、清楚じゃん。見て下さいよこの肌…シミ一つ無いよ? 吸い付きたくなるでしょ?」


「美少女グランプリは吸い付きたいけれど、汚してはいけないという理性と背徳の葛藤を描くのが本筋よ」

「なに…エロ寄りじゃ駄目なんですかっ!」


「ムラムラしたらアウトなの」

「そんなの人それぞれじゃないですかっ! 先に教えて下さいよっ! 断固抗議ですっ!」


 ここで反則になったら主人公不在の美少女グランプリだぞっ! それは駄目だっ! 大人の事情で駄目なんだよっ!


「じゃあ可哀想だから水着審査は観客の点数をゼロで許してあげるわっ! 採点に入るわよっ!」

「……」


 ……あっ、裏美少女グランプリのプログラムが貼ってある。

 開会の挨拶。

 参加者自己紹介。

 水着審査。

 ときめき審査?

 結果発表。

 表彰式。

 閉会の挨拶。


 次はときめき審査?


 おっ、点数が表示された。

 アスきゅん、150点。

 ヘルたん、179点。

 ライラ、172点。

 ヘンリエッテちゃん、176点。

 アラステアちゃん、180点。


 ……ん? 80点にプラス70点で150点……おい、審査員満点じゃねえか。

 フーさん凝視し過ぎ…隣の人誰だろう…


「ここでヘルたんが巻き返したぁ! アラステアちゃんは逃げ切れるのかぁっ! アスきゅん頑張れー」

「アスティちゃん頑張れー!」

「レティ頑張るです」


 うん、頑張っているよ。

 レーナちゃんのせいで減点されたから後でヒィーヒィー言わせてやろう。


「さぁ最後の種目っ! ときめき審査だぁっ!」

「「「きゃー!」」」


 ときめき審査って何さ。

 …またバックヤード行くのね。はいはい。


「はいっ、皆さんエロ…げふんっ! 素敵でしたっ! お次は好きな服に着替えて下さいっ!」

「好きな服…ときめき審査って何をするの?」


「審査員の皆さんをときめかせたら高得点ですっ!」

「なるほど…」


 ときめき…そうか、男装で勝負すれば勝てるかもしれない…


 これは私のターンがやって来たのか。


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