頑張りますよー!
ルゼルに抱っこされて移動しながら、裏世界についてざっくり教えてもらった。
広さはとてつもなく広い。どれくらい広いかというと…全ての次元世界を足して十で割った広さと言われた…よく解らない広さという事だ。眼下に見える景色は表世界とそんなに変わらないな…太陽っぽいものもあるから、夜も存在する。
星のような球体ではなく歪な形…重力点も各所にあるからとのこと…そのお陰で資源が豊富。
裏世界のルールは強い者が作る。
基本的に強者であるほど地位が高い。弱者は強者の下に就いて守ってもらう。
もちろん反乱等も日常茶飯事だから、世界のバランスを保つ為に破壊神、混沌神、邪神が各所で管理している。
一番の強者が住んでいる所を裏世界の中心としているので、あの城が世界の中心らしい。
「じゃあ…裏世界の神は忙しいんですね」
「んー…最近は上手くやっているから忙しくはないがな」
「どんな方々なんです?」
「破壊神は必要な時しか活動しないから会った事が無い。混沌神も同様だな。邪神はよく城に遊びに来るからその内会うだろう」
ルゼルはあまり他と交流しないのかな。
あっ、畑とかあるんだ…意外だ。
「ところで、何処へ行くんですか?」
「闘技場だな。序列五十位までは闘技場で上げる事が出来るんだ。だから入れ替わりが激しい」
「いきなり深魔貴族に戦えるんですか?」
「いや、その内だな。先ずは資格を取得する。資格と言っても登録するだけだからな」
資格かぁ…緊張してきた。
先ずは底辺からのスタートって事ね。
しばらく飛び進むと、巨大なキノコが幾つも立ち並ぶエリアにやって来た。キノコというか、謎植物? キノコで良いか。
キノコの上では戦闘が行われていた。
一対一の激しい戦い、一対多数の圧倒的な戦い、向かい合って微動だにしていない戦い等々。ここが闘技場かぁ…スケールが違う…違いすぎるよ。
「この巨木の上で戦う形だ。先ずは資格だが…あった、あそこだ」
キノコの下を飛び、中心にある背の低いキノコに到着。
受付っぽい場所があり、綺麗なお姉さんが座っていた。
赤く長い髪に少し切れ長の目…紅白の巫女服を来て…頭には角。なんかエーリンに凄い似ているな……
「あらぁ、珍しい方が来ましたねー」
「久しいな、クーリン。この子の登録を頼む」
名前も似ている!
「はいー。お嬢ちゃんお名前は?」
「アレスティアと申します!」
「元気一杯ねー。可愛いわー。じゃあこのカードに魔力を流してねー」
「はい」
手の平サイズのカードに魔力を流す。
すると、カードに『アレスティア。序列ーー』の文字が浮かび上がった。
「これで終わりねー。後は戦いたい時にこの付近で魔力を流せば自動でマッチングしてくれるわー」
マッチング? なんかよく解らないけれど、凄い機能なのは解った。
「ありがとうございます。あの…クーリンさんは赤鬼族ですか?」
「そうよー。こう見えて力持ちなのー」
「表世界に居る私のお友達も赤鬼族なんです。あの、凄いクーリンさんにそっくりで…」
「あらぁー、先祖が同じかもねー。何処の世界?」
「天異界同盟序列二十位のアラスです」
「アラスかぁ…行った事無いわねー。今度遊びに行っても良いかしらー?」
「はい! 喜んで!」
クーリンさんとニコニコしていると、ルゼルが私の服をクイクイ引っ張る。見ると少し寂しそう…やきもちですか? 可愛いですね。
「ではではー、最初は早速やってみますかー?」
「はい! 頑張ります!」
早速カードに魔力を流すと、カードが光って…
「ん? あれ?」
バシュンッと目の前の景色が変わった。
転移したのか。
ここは、キノコの上……この機能すげー!
上を見ると、上空にルゼルの姿が見える。
ぶんぶん手を振ると、小さく手を振り返してくれた。
カードを仕舞い、少し待つと前方に魔法陣が現れた。
そして、魔法陣から転移してきたのは…見上げる程の大きな人型の魔物。大きな斧を持ち、皮の鎧を装備し、鍛え抜かれた筋肉をアピールして自信満々に笑い掛けてきた。
『グハハハッ! こんな奴が相手か! 楽勝楽勝!』
「ふふっ、そうですね」
最初だから底辺のスタート…こいつの強さはSランクくらい。
このくらいなら余裕のヨーゼフさんだ。
そいじゃあやりますかぁ!
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