次は誰かなぁ

 

 あれから、ヘルちゃんとお話しながら…あっ、あとエーリンも一緒にお話しながらレイン王国を抜けた。

 抜けた頃にはヘルちゃんは時間切れ。


「アスティ、また時間を作って行くわ」

「うん、ありがとう。ヘルちゃんのお蔭で毎日楽しいよ」


 私の部屋でチューしてバイバイする。

 次のお友達は、夜になったら私の部屋で待機して、私が都合良い時間にお迎えという形。誰が居るかは解らない。お楽しみだね。


 エーリンの所へ戻るか。


「アレスティアー、二人きりですねー」

「うん、夜には誰かが来るから、またお友達増えるよ」


「えへへ、嬉しいですー」


 エーリンが楽しそうで、私も嬉しいよ。

 さて、現在レイン王国とアース王国の国境。

 一応街道には税関もあるし、検問もある。でも私達は空の旅なのでそのまま通り過ぎた。


 先ずは近くの町でアース王国の地図を買おう。

 ビッケの町の場所を調べないと。


 しばらく街道沿いを飛んでいると、小さめな町を発見。近くに降り立ち、歩いて町へと入った。


「なんか服装が変わりましたねー。みんなシンプルな服装ですー」

「レイン王国は婚活イベントがあったから、派手に見えただけだよ。帝都もみんなシンプルだし」


「アレスティアは都会っ子だから感動が薄いですよねー。私は田舎育ちなんで何でも新鮮ですよー」


 エルメシアやエルドラドは人口が少ないらしいから、小さな町でも人が多いイメージか。

 エーリンが懐から水晶球を出して占いを始める。

 …いつも懐から何かを出すけれど、巫女服の中身が気になるな。


「エーリン、水晶球って何処に仕舞っているの?」

「谷間ですよ」


「…ごめん聞こえなかった。もう一度」

「谷間です」


 ふざけんな。


「じゃあ横笛は?」

「腰にストッカーがありまして、そこに挿していまーす」


「…水晶球もストッカーでいいじゃん」

「傷付いたら困るんでー。谷間が一番安全な場所ですー」


 谷間は一番危険な場所だろ。

 身体の正面だぞ?

 ふざけんな。

 なんで落ちねえんだよ。


 ……ちっ、宿探すぞ。あっ、目の前にあったわ…


 宿を取って、近くを散策。

 雑貨屋さんを見付けたので入ってみた。


「すみませーん、アース王国の地図ってありますか?」

「簡易地図ならあるよ」


「じゃあそれくださーい」


 簡易地図を購入して、宿に戻って確認すると…簡易過ぎてよく解らない。

「アレスティア…町の名前がありませんよ」

「丸印の場所が町だね。まぁ小さな町だとこんなものか……でも中心に城があるから、ここが王都で間違いない。距離にして…よく解らない」


 旅の醍醐味として受け入れよう。

 中心にあるなら…王都に行ってから地図を買った方が早いな。

 王都ならまともな地図があるし、ビッケの町の情報も集まりやすい。

 それに、王都ならミズキが居る。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 夜になって、パジャマに着替えてから転移ゲートで私の部屋へ入った。

 ……ベッドがこんもりしている。

 これは、お友達当てクイズか?

 こんもりのサイズは…小さい。横向きに寝ているのは、胸のサイズで解るから…か。

 ふっ、解った。


「チロルちゃん?」

「せいかーい」


 ベッドに近付いてから答えると、パッと布団を上げたチロルちゃんが出てきた。

 でも布団を上げた瞬間に、至近距離に私が居るとは思わなかったのだろう…結構ビクッとしていた。


 ビクッとした隙を突いてベッドに潜り込んだ。そしてチロルちゃんをガッチリホールド。

 やっぱり身体のサイズが同じだとしっくりくるなぁ。


「チロルちゃん、捕まえたー」

「あぅ…アスティちゃん…会いたかった…」


「へへ、ごめんね。やらかしちゃってさ」

「ううん、無事なら良いの」


 赤茶色の髪を撫でてあげると、嬉しそうに目を細めてはにかんだ。少し目尻に涙が溢れていたので、寂しかったんだなぁ…と実感。チロルちゃんは単独行動が多いから、余計寂しかったと思う。

 きっとヘルちゃんが順番を決めているんだろうな。チロルちゃんを最初にする辺り…ちゃんと考えている。


「こっちで寝る? それともあっちで寝る?」

「…こっちが良い」


 上目遣いで瞳をウルウルさせられちゃあ、可愛がるしかないよねぇ。


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