それは過剰戦力だよ……
「……」
「聞いているの!? 勝負をしなさいと言っているのよ!」
「すみませんが、私には闘う理由がありません」
「なんですって!」
おー、いきなり剣を抜いて斬り掛かって来た。
頭の中心を真っ二つにする起動。
殺す気か?
これくらいなら…手の甲で横から剣を弾く。
すると剣が横に吹っ飛んでいった。
あれ? 私の横を剣が通って格好付ける筈だったのに……
調子こいたから手の甲がジンジンする。
「なんですって……」
「あなたは殺人未遂を行ったので、捕まってもらいます」
「あっ…ぐっ…から…だが…」
深淵の瞳で拘束。
空に大きめのライトを放って『助けてー。アスティより』の文字を描く。
いくら躱せると思っているからと言って、流石に殺そうとするのは駄目だよ。
何か喋ろうとしているけれど、喋らせないよ。
弁明は騎士団にどうぞ。
しばらく待っているとガシャガシャと軽鎧を鳴らして全力疾走するベテラン騎士さん達。
あれ……えっ……ちょ……何人居るのさ……
路地裏一杯におじさん……間違えたベテラン騎士さん達が集結。
「アスティー! 大丈夫かぁー!」
「暴漢は何処にいるぅー!」
「俺達がぶっ殺してやるぞぉぉぉ!」
「「「おおぉぉぉおお!」」」
怖えよ。
良い年こいてぶっ殺すとか言うなよ。
ほらぁ…オレンジ女子がビビっているじゃないか。
「皆さん、わざわざありがとうございます。こちらを見て下さい」
地味メガネの機能…録画した映像を流す。
ポチっとな。
『――勝負をしなさいと言っているのよ!』
オレンジ女子が激昂して私の頭に剣を振り下ろす場面が流れ、私が手の甲で弾く映像が流れた。
……騎士さん達、おー! って感心しないでよ。
私が無事と解って気が抜けているのは解るんだけれどさぁ……
「という訳で、連行して下さい。私はこの人と話す気は無いので適当に絞っておいて下さい」
「あぁ…まぁ…仕方ない…か」
「あれを見せられたら仕方ないよなぁ…」
「よりによってアスティだもんなぁ…」
歯切れが悪いな!
何? 知り合い?
まぁ良いや…好きにして下さい。
騎士さん達にお任せして、その場を後にする。
あの映像を見たから調書はいらないらしい。楽だ。
皆私の為に時間を使ってくれたからなぁ…
来てくれた人は全員覚えたし、明日の学校帰りに何かあげようかな。
よしっ!
そうと決まればパンパンに行ってお菓子作りだ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます