第53話 強盗殺神事件(家宅捜索)

 ユリカ:タイタン建設グループで起こった強盗殺神事件、おやっさんは捜査が進む毎に本当に強盗殺神なのかと疑問を感じ始めたんだけど。どうやら今回の家宅捜索で何かを掴むみたいだよ〜。


 AD:はい、オッケーで〜す!


 ユリカ:そういやあの無口なADのお姉さん最近見かけないね、どしたの?


 AD:さあ?


 ユリカ:それよかさ、まだこの番組の専属ナレーター決まんないの?私、永遠の女帝一本でやりたいんどけど。


 AD:ユリカさんが募集すれば良いんじゃないですか?


 ユリカ:う〜ん、やってみるか。


 天界時間12:55 聖皇都エデンクラウン 居住区マンション


 ヒロ:ここって、被害者の自宅マンションですよね?家宅捜索なら容疑者の自宅が定番みたいに思えますけど、どうして被害者の自宅マンションなのですか?


 ゲン:俺は今回の一件ゲオルグ・タイタニアが関わってると考えているのにゃ。


 ヒロ:ゲオルグ・タイタニアって、タイタン建設グループの社長ですよね?


 ゲン:直接的には関与していないだろうが、裏で糸を引いている事だけは確信出来る。そこで、害者と接点がないかを調べようってわけなのにゃ。


 ヒロ:成る程〜。


 ゲン:それしゃ、早速始めようか。


 ヒロ:はいっ!


 合流した捜査員と共に自宅マンションを調べるゲン達


 ヒロ:おやっさん!


 ゲン:何か見付けたかにゃ?


 ヒロ:これ、日記じゃないでしょうか?


 ゲン:魔界製のタブレットだにゃ。日記となると、容疑者が本社のデスクから探し出そうとしていた物かもしれないにゃ。どれどれ、何と書かれてるかにゃ?


『聖皇暦2019年3月10日 タイタン建設グループが旧カレイド王国の次元エネルギー精製プラント建設の入札に携わっていた事が判明。しかしながらこれは表向きで、どうやらこの精製プラントを隠蓑かくれみのにして地下に大規模なヴァルキリー製造工場を建設しようとしていた様だ』


 ヒロ:あれ?確かあの精製プラントはドラゴニックマフィア黒峰組の表の顔、黒龍建設グループが落札して建てたんですよね?


 ゲン:成る程にゃ、これはだにゃ。


 ヒロ:二重入札?


 ゲン:この日記の内容で言うなら表向きは次元エネルギー精製プラント建設の入札、これは中央政府の公正取引委員会監視の下で行われる。それが終われば奴等の息のかかった者だけ残してヴァルキリー製造工場の入札が始まるというカラクリなのにゃ。


 ヒロ:あ、続きがありますね。


『そこで私は旧カレイド王国の後に建国されたローラント王国に向かい現地調査をしようと思う』


 ヒロ:ローラント王国に行っていた様ですね。 


 ゲン:次を見てみるのにゃ。


『聖皇暦2019年4月14日 ローラント王国次元エネルギー精製プラント跡地を調査中魔族の気配を感じる。1人は農林水産超大国カントリア王国魔王ラクス・カントリア国王、もう1人は魔界宇宙4大メガバンクの1つ、妖魔銀行の浅倉善景あさくらよしかげ総裁だ。どうやら彼等もこの精製プラント建設に疑問を感じていた様だ』


 ※天空の架け橋2話参照


『調査を始めて3時間くらいが経過しただろうか、手持ちの設計図と照らし合わせてみるとがある。間違いなくこれがヴァルキリー製造工場の入り口がある部屋だ』


 ヒロ:どうやら見付けたみたいですね。


 ゲン:そうだにゃ。


『入り口を見付けて地下へ降りていくと製造工場は無傷で残っていた。というよりも、設計になってるみたいだ。警察もグルなのか、捜査はこの辺だけ手付かずの様だ』


 ヒロ:おやっさん、本社にある被害者のデスクから見付かった書類って・・・


 ゲン:間違いなく害者が執念で探し当てた精製プラントのだろうにゃ。


 ヒロ:続き、読みますね。


 ゲン:おう。


『聖皇暦2019年4月18日 会社には新規建設事業の見積もりに基づいた融資の件で魔界へ向かうと偽り妖魔銀行本店へ浅倉総裁に会いにいく。天界の大銀行と違い魔界の大銀行は突然の来訪にも関わらず暖かく迎えてくれた。そして事情を話したら門前払いする事なく総裁室へ通してくれた。天界と魔界の大銀行の格の違いを見せつけられた感じだ』


 ヒロ:多分、浅倉総裁が精製プラントの事を調べてたから情報交換をしに行っていたんでしょうね。 


 ゲン:だろうにゃ。


『浅倉総裁は最初から最後まで私の言う事を真摯しんしに受け止め聞いてくれた。そして私が本社で入手した2枚の設計図を見せるとと言った。あの規模であの融資額は多過ぎると思っていたらしい。それを聞いて私も合点がいった思いだった』


 ヒロ:互いが得た情報で1つに繋がったという事なんですね。


 ゲン:だにゃ。


『浅倉総裁の提案で私はこの2枚の設計図を預けて私のデスクにはを万が一に備えて入れておこうと思い浅倉総裁の提案を受け入れた』


 ヒロ:じゃあ、あのデスクから見付かったのは。

 

 ゲン:真っ赤な偽物だにゃ。案の定、害者が撒いた餌に喰いついたって寸法だにゃ。


 ヒロ:という事は女性社員を除いたその2つの聖紋の主こそが・・・


 ゲン:強盗殺神事件の真犯神しんはんにんだにゃ。


 警官:警部、聖紋鑑定の結果が出ました!


 強制捜査へ続く・・・





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